We are not alone…
独りじゃない
のん監督、主演の映画『Ribbon』を公開2日目に観た。
世の中の人たちみんな
芸術なんかなくたって
生きていけるんだって…
この言葉は、とても重くて深い…
〝不要不急〟という合言葉で芸術やエンタメ活動がクローズ(閉鎖)された。
飲食店の時短ばかりがクローズアップされる社会のなかで、隠れた理不尽がいっぱいある…
ルネサンス、古代ギリシャ…
いや、ラスコー洞窟の壁画を描いたクロマニョン人の年代から連綿と続く…
芸術の歴史…
人類の存在証明ともいえる芸術が、そうたやすく絶たれることはないだろうが…
たしかに、いつかの嘆くとおり、世の中の人々の多くは、芸術がなくても生きていけるかもしれない…
むしろ芸術の方が人を選ぶだろう…
人類の存在証明を残せる匠を…
世の中の理不尽さに苦悶する、いつかの絶叫こそ、芸術創作エネルギーの源泉のようだ。
本音で気持ちをぶつけ合い、また怒り、不安を受け止める平井、田中…。
モヤモヤした見えにくい世の中だからこそ、本当の気持ちを理解しあえる相手が見えてくるのかもしれない…
〝創作あーちすと〟のん自らの投影…、そして動くリボンの不思議さが、言葉では伝えにくい心情を、染み込むように共感させる…
みんなのモヤモヤを、代わりに発散しているような映画…
のん監督が話すとおり、コロナのモヤモヤで心の深層に沈殿してしまったようなドロドロした堆積物を、涙でデトックスしてくれるような爽快感があった。
ネタバレになるので
あまり詳しくは書けません。
是非、シアターで感動してください。
私は、映画界には疎いので、これだけの映画を、自ら製作する俳優さんを、あまり知らない。
〝映画俳優兼監督〟で思い着くのは、あの『未知との遭遇』で、フランス人科学者クロード・ラコームを演じたフランソワ・トリュフォー氏たが、トリュフォーの作品自体は観たことがない…
『大人は判ってくれない』(1959年)が有名なようだ。
『未知との遭遇』は、もちろんスティーブン・スピルバーグ監督による作品であるが
≪ トリュフォーは自作の映画にしか出演せず、またSF嫌いで「宇宙だのロボットだのは生理的に嫌悪感がする」とまで公言していた(wikipedia『未知との遭遇』配役より)≫
らしいので、スピルバーグ氏は出演オファーに苦心したようだ。
私自身も、UFOそのものには、深い関心はないのだが、この映画を観たときは、大きな衝撃を受けた記憶がある。
そして何十年も経って、コロナ渦が起きる少し前ぐらいになぜか思いついて、所有のDVDを見直した。
メキシコの砂漠で発見された世界大戦時に行方不明となった空軍機や、パイロットらが現れるシーンを見て、これはUFOが主題のSF映画というより、アインシュタインの相対性理論をわかりやすく表現する映画ではないか、と思った。
そして、もうひとつ気になったのが、原題である 『 Close Encounters of the Third Kind 』だ。
日本語に訳すと『第三種接近遭遇』となる。
これは、映画にも自ら出演した、元米空軍UFO研究部顧問のジョーゼフ・アレン・ハイネック氏による呼称だそうだ。
UFOと言うと、オモチャっぽい都市伝説的なイメージがあるが、航空関係では危険なニアミスや衝突を回避すべき対象としての「未確認の、何だかわからない飛翔体」という分類なのだろう。
ただし、ハイネック氏の分類にも、原題にも「未知」という語彙はない。ハイネック氏とっては、もはやUFOは未知ではないのだろうか?
それよりも私が気になるのは、close の意味。それは、私が英語の知識が浅いから、余計に興味深いのかもしれないが…
Close のふたつの意味
クローズ close には、複数の意味がある。
ひとつは「閉じる」「閉鎖する」など
もうひとつは〝クローズアップ〟などの「接近する」とか「近く」という意味…
「閉じる」と「接近する」では、意味が異なるようだが、そこに英語の妙味を感じる…
Close(閉鎖する…)
Close(接近する…)
クローズ(接近)してきたのはUFOの方で〝彼ら〟によって植え付けられた〝イメージ〟を追って、ロイとジリアンは、あの岩山にたどり着く。
しかし、その場所一体は、政府によってクローズ(封鎖)されていた。
貨物列車の脱線で、有毒ガスが流出したという報道が流れ、ワイオミング州のデビルスタワー周辺は『立入り禁止』とされ、住民は強制的に避難させられる。空からヘリで催眠ガスを散布して、家畜を眠らせる演出までやるという手の込みようだ。
〝クローズ〟のレトリックが、スピルバーグ一流の手法で表現されている…、と勝手に感心してるのだが…
We are not alone…
私たちは、独りではない
人間の感情のひとつである〝怒り〟とか〝モヤモヤ〟というものは、不安や恐怖と表裏一体になっているのだそうだ。
コロナも、いまの国際情勢も、どこか真相がクローズ(封印)されたような世相が続いており、モヤモヤは後を絶たない。
拙記事『あるがまま』で書いたが、不明確な情報に煽られることなく〝実相〟を静観することで、徒に不安を抱かないことが必要なようだ。
より多くの人々が〝実相〟を共有し、不要な不安や争いを回避しなければならないだろう。
We are not alone…
これは『未知との遭遇』のキャッチコピーでもあるが「人類は、孤独ではない」という意味らしい。
要するに、地球以外にも仲間がいる、ということだ。
『たんぽぽ計画』というプロジェクトを
ご存知だろうか?
私も、最近知ったのだが、ISS(国際宇宙ステーション)で、2018年から行われている実験らしい。
それは、人類誕生の由来が地球外にある、という『パンスペルミア説』を実証するものらしい。
Close encounter …
We are not alone.
もはやこれらは
SFではないかもしれない。
人類同士が、いつまでも
争っている場合ではない…