君に、胸キュン
屋根裏に秘密の部屋を探し出したアキは、見慣れない機械を発見する。赤くて格好いいラジカセだ。スイッチ操作も覚束ないが、大きなヘッドフォンから流れてきた曲は…
君に、胸キュン
屋根裏の『春子の部屋』は二十数年間、タイムカプセルのように保存されていた。
いずれ帰ってくるであろう娘のために…
二十数年間、壊れた機械のようだった春子と夏の関係は、アキの存在によって、徐々に動き出す。
動きは不器用で、音もうるさいが…
子は、孫は鎹(かすがい)というが、むしろ潤滑油のようだ。
いつからだろう?
見るからに反抗的な少年少女は、あまり見掛けなくなった。
そして子供も若者も、コメントやトークが饒舌で、その内容も模範解答的に見える。
でも、ほんとうに伝えたい気持ちは、はたして伝わっているのだろうか?
本当に伝えたいこと。それは不器用な訥弁のなかにこそ隠れているような気がする。
YMO、イエローマジックオーケストラという名前の由来を、ネットで読んだ。
細野晴臣氏の提唱する〝イエローマジック〟そのイエローには深い意味があるらしい。
また、雑誌のインタビューで、YMOのテクノポップについて質問されると細野氏は「YMOは言葉を否定したところからスタートした」と答えたという。
それは、坂本龍一氏逝去に寄せた細野氏のインスタグラム…、グレーの画像と「知らせはいつも不意に訪れる 言葉にはできません」というメッセージにも符合する。
グレーや言葉にできない、という意味の裏には、何があるのだろうか。
坂本龍一のピアノを聴くと、その切なさにイントロからジワッと涙が滲んでくる。
胸キュンマジックだ。
そんな坂本氏が、世の中に伝えたかったことは何か、伝えられなかったことは何か…
それは、もう言葉にはならないのだろうか?
坂本龍一さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。