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ひなたのイースター|日向坂46『君はハニーデュー』感想
いいスターの卵
こんにちは。
日向坂の新シングルの感想記事はゼロイチで最後にドロンしようと思っていたんですが、良い感じの楽曲が来たのもあって、なんだかんだ惰性で書き始めてしまいました。
密かに名曲探訪みたいなノリで書こう計画していた『君に話しておきたいこと』の記事は、強い意味性を帯びてしまいそうなので一旦やめました。
というわけで早速、君はハニーデューの感想を書いて
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いきます。
『君はハニーデュー』
4期生の正源司陽子(しょげこ、箱娘)がセンターを務める11枚目シングル表題曲。まずティザー映像の後半でイントロ部分だけ公開された。イントロだけを聴いてみるとひな図書のBGMっぽい。
↑毎度お馴染みひな図書のありがたメイキングですが、BGMはこんな感じ。具体的な共通点としてはキー(Dメジャー)やコード進行、全体の軽めなサウンド感などが挙げられる。自然派なベルや弦楽器の音が可愛らしくて、季節的にも陽気なイースターの雰囲気を想起しがちなパート。この長い冬の終わりを思わせる爽快なイントロが素晴らしい。アートワークを裏切らない春風。
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イントロを細かく見ていくと、最初の一音こそ小節の先頭から始まっているものの、以降はシンコペーションが多用されており(メロディが少し食い気味に始まっている)、屋外を爽やかに駆け抜けるような疾走感がある。ちょっと盛りました
コード進行はポップでありながら深みのある2536進行(王道進行の発展形)。コードが切り替わるタイミングのメロディでコードの3rdの音が拾われているのが特徴。これはJOYFUL LOVEにも共通する要素で、耳心地の良さを裏付けるものとなっている。
頭サビでは、イントロとは対照的にメジャースケールにない音が使用されていて、一筋縄ではいかない感じ。〈甘いメロンさ〉の「あ」や〈好きになってた〉の「好き」の箇所のファの音は、本来の音(ファ♯)より半音だけ低いもので、ブルーノートのようなどこか哀愁を帯びた雰囲気が面白い。このフレーズはブラスの音も相まって主張が強め。〈好きになってた〉では、加えて「た」の箇所(ミ♯)もスケールにない音を取っており、「好き」からの連チャンによって浮遊感というより、飛び跳ねる、ピョンとジャンプする様子が思い浮かぶ。
頭サビの終わりで語尾がピョンと上がるのは可愛らしい。裏拍のシンセベースもウキウキで基本的に楽しいサビ。
初めて音源を聴いた時は、ティザー映像で公開されていた折り目正しいイントロが、少しスパイシーな遊びを入れたサビのフリになっていた事実に衝撃を受けた。フレッシュ一辺倒ではない、新たな角度での日向坂らしさの提示と言えるのでは(日向坂46展「WE R!」のアートワークに感じたユーモアも私が期待していたもの)。
少し捻りを加える感じは小ボケ姫しょげこ様のセンターとも調和している。
サビ終わりのドタバタなブラスも印象的で、Aメロの頭にてコード(D)に対して9度のメロディでふわりと着地。上ハモも爽やか。ここではメロディの流れが穏やかになり、サブドミナントマイナーのGmコード(2番はEdim/G?)で切なさも演出されている。キュンではマイナー系のセブンスコードがこの役割を果たしていた気がする。
それに続く一音一音が長めなBメロは、ラジオが良い感じな相棒コンビ(ひらほーはるはる)の真面目ちゃんで少しつたない歌声が印象的。ラジオの記事で二人のことは触れてますね。ラヴィットに呼んでほしい二人。
2番の方はとにかく歌割りの富田鈴carが偉すぎる。すーじーまたラヴィット呼んでほしい。カラオケもやってたし。
Bメロの後半には恋逃げで見られたような音数を絞ったパートが出てくる。ディミニッシュの形で半音上に上昇するところ(〈確信〉の途中あたり)がアツい。
個人的には2番が好き。1Bと比較すると、2Bは歌詞が「そりゃ〜けど」とサビへの期待感を煽る逆接の形になり、メロディの引っ張り方も変化し、さらに日向坂の精神的主人公である丹生ちゃんの歌声が強く聴こえる(主人公補正)のでめっちゃ胸熱。皮肉にもOne choiceのジャケットにも合いそうな曲。
サビ頭のピューンと逃げる効果音も決意を感じる遊び心で、ひなた遊園地の園内BGMとして流すのに相応しい。いい意味でテーマパーク的価値観を全力でやれるのが(坂道グループの中では)日向坂だと思っているので、これは嬉しい要素。
ポップネスの光るサウンドとスケールを外したメロディに代表される遊び心、飽きさせない展開力で日向坂に求められていたものを軽やかにクリアしてしまうのはもう作編曲の野村陽一郎氏様々ですね。
各サビで出てくる〈いつの頃から〉のフレーズですが、1サビの前半〈フルーツなら〉の箇所だけ下ハモが「ファ♯ファミド♯ミファ♯」のフレーズで、地味にメジャースケール外のファの音を拾ってるんですよね、響きとしてはここが複雑で好き。
あと、うまくは説明できないものの2サビの最後がやけにアツく感じる。サビ全体の捻ったメロディに対して、最後の2小節だけはスケール外の音が使用されていないため無垢なイメージなんですが、歌詞の「否定的な目線→一転して肯定」の流れがこのような曲における感情の機微と合致しているから心が動かされるんでしょうか。
だって見た目はごく普通だし どこといって特徴ない
そういう感じにグッと来た
でも、これだけなら1サビでも当てはまることなので、1サビと違って接続詞を介さない2番の掌返しの感じが感情としてリアルに思えるのかも。どうなんでしょう。
そういえばTLで髭男のSOULSOUPに似てるみたいな意見を見かけた。確かにキーが同じでメロディやコード進行も部分的に共通しているので気持ちは分かる。似てないけど似てる(逆ブルラズ)。
2サビからCメロに穏やかに接続され、Cメロ後半〈誰も騒いでないから〉ではキュンのCメロ〈タイミングで〉の箇所と同じ表情付けがなされている。ハニーデューではメロディでメジャースケールにないコードの音を拾っているので効果がより分かりやすい。
その後の〈フルーツ界のお嬢様〉という歌詞は正源司家のお嬢様への宛て書きっぽい。
落ちサビのしょげこの歌い出しは河田さんっぽく聴こえましたが、「甘い」の母音の感じに個性が出ている気がする。数%のチョケを含有してる。
その後の〈世界中に〜〉のパートも、この曲はなぜかとしぱんの歌割りにちょうどトンチキが当たっているので、歌唱力とのギャップでちょっとオモシロになってますね。
そのままキュン同様、半音上に転調してラストサビへ。キュンにも通底するような「ポップで切ない」を念頭に置いたCメロ〜ラストサビにかけての展開に、第1.○章の形式で停滞していたグループを正式に第2章へと進める気概を感じます(そもそもはグループ活動を停滞させるな種花という話。腐ったメロンじゃないんだから)。そう考えるとサビの詞の汎用性が低めに感じるのですが、制作段階でコンセプトについて固める作業は十分には行われていないでしょうし、仕方がないポイントなのかも。先生のメロン攻めの是非やいかに。
本記事内でのコード解釈(Dメジャーキー)
イントロ
Em7 A F♯m7 Bm7 → Em7 A F♯m7 B7
サビ
Em7 A F♯m7 Bm7・B7 → Em7 A F♯m7 B7
Aメロ
D Bm G Gm・A7 ×2
(DとBmはストリングスでadd9、add11のような響き)
Bメロ
F♯m7 B7 Em7 A・A/G → F♯m7 B7 →
Em7 F♯m7 G ×2 → Em7 F♯m7 G G♯dim A
Cメロ
G G/A D/F♯ Bm7 G A D
G G/A D/F♯ F6 → Em7 Em7/A
(コード細かいところはあまり自信ないです……「細かいところを見ていくと」とか言っておきながらすみません)
MVの感想に移ると、とにかく春曲のMVとして正しすぎますね。否応なしにイースターを感じてしまうパステル調のセットで淡い色味が可愛い。空色のシースルー衣装も爽やか。全体を通してエフェクトが多めなのも合っていると思う。
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憧れの世界へと踏み出した4期生の合流を描いた王道のストーリーで、しょげこ・イン・日向坂な作品。体育館で制服のしょげこが先輩たちの残像に困惑する場面が面白くて好き。いくら何でも速すぎる。でも実際こんな感じなのかも。
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歴代センターが各楽曲のポーズを次々と披露する2Bのパートのクロスオーバー感がカッコよすぎる。やり尽くされた手法ではあるんだろうけど、心が動かされてしまうのは仕方がない。こんな調子だから私に批評とかは無理なんでしょうね。
ここでワンモーションで楽曲を表せること自体が日向坂のポップネスを体現していて良いと思います。またセンターの継承、みたいなグループアイドルでありがちな文脈が少年マンガ的な“アツい”ギミックとして活用されているのも好印象。
ちなみにここは金村さんの寿司手裏剣の音ハメが完璧すぎて気持ちいいのが見所でもあります。この一瞬だけ時間が止まる。
Cメロの修行編を経て、日向坂を内面化することで自信をつけたしょげこが鏡の扉を自らの手でこじ開けて屋上のヘリポートへ。まさかの超高層高等学校(ヘリ登校可)。期待していない自分のMVと同じ場所らしい。
ラストサビは金村さんの腕の使い方が見栄えがよくて好き(〈甘くはないし〉のとこ)。
最後の汽笛は転調後のキーの主音であるE♭(絶対関係ない)。ここからドレミソラシドとかに自然に接続することが可能です。
片足乗せしょげこの格好つきすぎない感じも個性。始まりのイェーイも可愛らしいですね。
ダンスにおいては足さばきがシュッとしてて良かった。Mステ出るときは空手の型とか披露してほしい。
選抜制度が導入されて初のMVなので、人数の減少によって迫力がやや低減している印象はあるけれど一方で見やすさも感じた。
アンダー曲とかはあるんでしょうか。そちらにもリソースを割ける余力が残っていると信じたい。
春曲にピッタリなポップネスが息づく中で趣向もあって楽しい『君はハニーデュー』、
俺らが盛り上げな〜〜???
「「「どないすんねん〜〜!!!」」」
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のむヨーさんのモラトリアム大満喫編の記事はこれで終わりです。私も日向坂も頑張りましょう。
それでは。