人肌程度の温もり|乃木坂46 『ここにはないもの』感想
乃木坂46 31枚目シングル表題曲『ここにはないもの』感想
こんにちは
少し前、いちごみるくのあのキャンディにハマってた時期があるんですが、昔食べていたあまあまな飴でも、今食べてみると意外とおいしく感じたりするんですね(自分が甘いもん好きなのもある)
お笑いの方法論の一つに、とりあえず過去の自分を無垢なアホと置いて自虐するというものがありますが、それだと過去の自分がかわいそうなので、たまには甘やかしてあげたり、あるいは今のステキなわたしづくりに寄与していると認めてあげたりしたいですね
私の推しちゃんは活動初期に纏っていた黒歴史にしやすそうなキャラクターを、まぁそれもええやんと抱擁してあげていたことがあって、それに影響されてしまったということです
「そんな私が、その言葉を〜〜」ですかそうですか
おおお〜〜 おお…… おお、
感想
ブログを読んで「乃木坂一色」という言葉が印象に残って 周りと影響しあってできた乃木坂の色、ちょっと前にインターネットがアンミカさんだかアスミカさんの「白って200色あんねん」ミーム一色になってた時期があるけど、それで言うと乃木坂の色も元々の色に200をゆうに超える種々の経験が加わって染められた色なんだなぁと思う。なんか加入時と比較したら今の方が乃木坂っぽいとか言われそう
現代のアイドルのシステムでは人として成熟するのが難しいみたいな話もある中で、人間としての厚みを得られたと感じられていたらいいなぁと思った
あの寒空の下の生配信(まゆたん曰くそこまで寒くはなかったらしい)はなんかうっとり観ていた
その配信の少し前は将棋の伊藤匠五段ー羽生九段戦を見てたんだけど、その対局も羽生さんが最後に桂と角だけでぬるっと詰ましていて、なんか不思議な感じだった。それがずっと続いていた
つかみどころのない感じ サビのクリスマス感のあるコード進行やメロディが心地よくて、新しめな人たちも脇を固めて素敵なサヨナラに寄与して、冬曲のほんのりと温まる感じを思った
特に翼のところは衝撃的な美しさで、
ほら言ってる言ってる もうこれが全てです(ではないけれど)
人間的な温もり、乃木坂46・齋藤飛鳥ちゃんのラストは良い言葉や音楽、優しさとかで満ちた檜舞台になるといいな…
ファン冥利に尽きたい
※ここから先はちょっとマニアックな人向けの内容になっていきます……
思ってたこととか①
・テレビで紹介されるときに握手会とかを参照して「アイドルっぽくないアイドル」みたいな表現がよく使われてた 最近はアイドルとかじゃなくそういう人として扱われてることが多い?
そういえば本人も「人間になれた」みたいなことを一時期よく言ってた
・4期生が出だした辺りからは、先輩キャラのユーモアや(司会のときは)大学生みたくメタいツッコミをすることが増えた気がする
(私の乃木坂モチベが一番低かった時期 それがのこのこ7000字も書きに来るようになって)
・後輩ちゃんたちの先輩・飛鳥ちゃんエピソード群から浮かび上がってくる人物像が完全に尼神インターの渚さんみたいな感じになってる。頽れそうな後輩ちゃんをなんとかしないと組織として〜的な 飛鳥ちゃんはよく表象されてるいわゆる強い女とはまた違う、強くて格好いい女性だと思う
(かっこ悪い感じが逆にかっこいいみたいなのも含んでいる)
MVの話
・力のこもったMVでよかった、と思った
・ドラマ仕立てではたらくのぎざか 思い出すのは小さい頃に見たSMAPのドラマ
>こういうカメラの動きがほとんどないのは楽曲がBGMみたいで、と思えば映像がBGM(ovie)のようで アパレルやってるのがリアリティあってなんかゾワゾワしますね
・賀喜ちゃんがたまにやる珠玉の熱弁顔がここでも
・ベストお部屋ヘアバンダー飛鳥ちゃん
・カーテンをシャッからデザインをポイっで使う1サビの勇気すごい ドラマ系のMV観るたびに思う
・朝ドラさんのけだるげ芝居なんかウケる
・元最年少筒井ちゃんと二つ空いたベンチ(別に数は関係ないと思う) これまた関係ないけど筒井ちゃんが写真を「お写真」と言うのが好き
・エスカレーターからシームレスにランウェイ歩いてくのおもしろくて好きだった 肩のやつがすごいやんちゃんが最後透けてく飛鳥ちゃんの妄想タイム
>リミナルスペースな渋谷駅で満を辞して踊ります(妄想というかシミュレーションというか)。ゆらゆらカメラの動きもついてよりしなやかな感じ 圧巻のダンス
・今回のサーナイト衣装が結構好き 全体的に足跡のついてない雪みたいな感じで、くるっと回ったときに出てくるちょっと質が異なる下層のスカートやアクセサリーの感じもいい塩梅に思う(解像度激低でごめん)
・てかそんな人の案勝手に提出してええんか(パターン違いは自分らで補完してる?)
>そういえばガチのデザイン画は毎回もっと分かりやすく伝わりやすくな感じで てか“衣裳”表記なんですね
・Cメロの音ハメお裁縫タイムからの歌詞どおり空見上げてるの珍しい(珍しかったらダメでしょ)
>続くDメロ?ラス前サビ?ではじめて人の手のひらが触れて
・落ちサビ やっぱり緑が入ってくるとホッとしますね。そばにある幸せ(お花)と遠くの幸せ(お空)? なわけ
・立つ鳥跡を濁さずと言うけれど、ホコリ一つ落ちてなくて姑も重箱の隅つつけないくらいキレイな部屋になってる
(あと、能ある鷹は爪を隠すとも言うけれど、飛鳥ちゃんは本当によく磨いた爪とリングだけごく稀に見せてくれる)
・恋は光の監督らしい そんな偶然が
思ってたこととか②
・ブログタイトルもそうだし生配信でも言及していた「恥」について よくテレビやラジオで要塞っぷりを披露しているし、昔から「こんな小娘が〜〜」とか「自分はプロのダンサーとか歌手ではないからクオリティでは勝てない、〜〜(この続きは『だから精一杯やるしかない』みたいな感じだった気がする?)」みたいなことも言っていて、特に折り合いつけるのとか難しいだろうなぁと思った 恥も大事で難しい
・そういえばPop of the Worldを卒業したときはガチ卒業を覚悟したけれどガチ卒業はけっこう後だった ここでは割とプライベートなことを話していたから、今でもこういうレギュラーがあれば……と思ってしまう(この点では放送部はあってないようなものだと思っている 披瀝とは縁遠い)
飛鳥ちゃんの声はさら砂みたいで聞き心地も良いのでラジオは本当にあってほしかったんですよね……
・いつのまにか表現・ダンス/ことばの人みたいな感じになっていた。御立派です…
(でもラジオとかにあんまり出てなかった理由の一つがこれなんかな〜とも思う 飛鳥ちゃんのスタイルだと手垢の付いてない上質な表現は安定供給が難しいと思うので)
詞や曲、パフォーマンスとかの話(長い)
・テレビ披露を観るたびに飛鳥ちゃん可愛すぎて吹聴して回りたくなる
・イントロ ンタタタンタタタと半拍ぶん遅れて始まるピアノフレーズが軽やかで印象的。他にもメロディの中で目立つ音が裏拍に置かれていたり、シュッとした飛鳥ちゃんっぽいと思う(例えばサヨナラの意味のピアノとかはすごいどっしりしてる)
硬い質感のベースも心地良い
・パフォーマンスだとしょっぱなからひとかたまりになって蠢くスイミーな乃木坂ちゃん。乃木坂的フラクタル まるで雪の結晶
・Aメロは意外なフォーク調というか趣のやつ。個人的にフォークはなんか古い感じがしてあまり好きではないのだけれど……でも飛鳥ちゃんに言葉をあてがうと考えるとアリ?
>いつでき期らへんを境にAdoぐらいテレビで歌ってくれなくなっちゃった気がするけど、今回もあきまへんか~と思う(すいません黙ってダンス見ときますリップシンクを)
あとテレビだと卒業で一演出入っちゃいがちなのも何とも(もちろん良い効果もあると思っています)。 やっぱり残された数少ないパフォーマンスだとシンプルに見たくなるんです 一挙手一投足を
・歌詞でいうと〈予測変換の日々〉と自動的に生成されてきた評価関数付きの惰性に従うルーティンワークみたいなものを表現してるのは結構好きだった
・2オクターブぐらいを動き回るピアノは妖精さん的なのが高/低音域でバトンタッチしながら舞い踊っているよう
>舞いおどれ! そういえば同じナスカさん作曲the Thirdさん編曲の櫻坂の条件反射で泣けて来るという曲のピアノフレーズも軽快なステップみたいで好きなんですが同じ人が手掛けたフレーズなんでしょうか
>ばらもん凧も飛ばしちゃうよ! 冬曲で出てくる高音域ピアノフレーズはだいたいリフを基調とした感じで降雪を表現していることが多いと思うんですが(Merry Christmas, Mr. Lawrenceの最初とか、歳月の轍とかもおそらく)、この曲のはメロディの流れがすごい軽快でしんしんと雪が降るというよりは小ちゃい何かが踊ってるようなニュアンスを感じますね。
・Bメロに入る直前のピアノが天使の跳躍で勢いよく(妖精と天使どっち)。メロディとかじゃないパートから飛び立ってからは安定王道美味J-popな感じ
・パフォーマンスではBメロ後半で出てくる黒髪ショート林ちゃんの見栄えが良いというか、シンプル似合ってる+他にそんな短い子いないから目がいくの相乗効果を感じる
・終盤でF#m(Ⅱm)から一つずつ登っていってC#(Ⅵ)を境にどやとEメジャーからF#メジャーへ全音上転調(サヨナラの意味っぽいと言われていたのはⅡm→転調後から見たドミナント→主和音のことだと思う)。安定した転調の裏で〈瞬きさえ~~〉からドラムが「もう行くよ?行くよ?!」と圧をかけてくる。分かってはいるけれど……(I see…)
・このBメロ終わり~サビにかけての飛鳥ちゃんの表情の変化(やわらかく笑顔になってく)が水流のように繊細で見入る。
>てかこの曲思ったより笑顔多め 目バキさんもえくぼ解放してる。素敵なサヨナラはそういうのなのね
・1サビ頭の歌唱音源のファイバーの切れ端みたいな声の分かれ方が気になる?……というか山下とか久保ちゃんがすごい聴こえる。そういえば、3期生の歌声ってそれぞれ結構個性的だと思っていて、それこそ久保ちゃんの芯のあるアルデンテな歌声は人数が多くても分かりやすい
・サビ 飛鳥ちゃんのダンスがフレームレートが高くて(滑らか)慣性キャンセルもお見事(チャキチャキ)ですごい。 飛鳥ちゃんから波動が伝わってく感じの振り付けもあって、テレビとかのパフォーマンスだと珍しく飛鳥ちゃんのまっすぐな”めいっぱい”感を観測できる気がする
>この曲の飛鳥ちゃんOut of the blueの聖来ちゃんぐらいわきわき張り切って見える(張り切りチャイティーヨとかあったなぁ)
・サビ2回し目 フィギュアスケートのジャンプみたいに勢い付けてスピンするところ 聖来ちゃんが滑らかに次の動作に移行するやつ見てて楽しい
・サビのコード進行は16253625からの派生みたいな感じで、まずはクリスマス感のある1625進行にうっとり。サビ全体を通して各和音とぶつかってテンションっぽく響くメロディの置かれ方や半音での動きも幻想的で、そこからさらにパッシングディミニッシュのDdim→D♯mと繋いでくるので、まだ上がるの?!降ろして降ろして!と足先をバタつかせたくなるようなもの悲しさを覚えちゃう。 悲しみの過剰包装を
>でも、その後は安定のツーファイブワン(デデンデンデデンも)で力強く解決して進んでいく。サビの歌詞も自分の弱さ〈寂しさ〉や〈悲しみ〉に対し〈それでも〉と強く形を決めていて、音の流れとしてはまぁ一局ですよね。覚悟パートのサビ2回し目(〈それでも〉以降)の方ではDdimだったところがA#7っぽくなってたりして、雰囲気が若干違って聴こえます
(雰囲気が似てると言われてたディズニーとかキンプリの曲とか洋楽をいくつか聴いてみたんだけどパッシングディミニッシュ差し込んでるのは意外となかった(すごいJ-pop的) 確かに音の彩度は2回し目の方が高く聞こえるけど色味が薄いのも乃木坂に合うと思う)
・続くサビの締めメロも朗らかで地に足がついてる感じ。やっぱり大きく踏み切るには地面を強く蹴らないといけないということで
>個人的にここのメロディがキスマイのSNOWDOMEの約束という曲に少し似てる気がして、ここでも勝手に冬曲感を覚えています。
(この曲を推しメンで聴くと可愛すぎるのでおススメしません。君の手が不意にポケットに忍び込んでくれたり)
>よく考えたらこういう曲調で恋愛/失恋ソングじゃないの珍しいのかも しいて言うなら円満破局
・2番Aメロ 1番と比べてピアノが落ち着いていて(差し色のピアノも綺麗)ドラムの音がチチチチ最初から入ってるぶん社会が動いているというか生活に根差してる感がある。この曲の歌詞とかMVは社会なんですね
・2Bあたまの〈ごめんね〉が耳に残ること残ること。1番の〈さよなら〉もそうだけど波打つメロディの急所を見抜いて分かりやすいトップティアの言葉を持ってくるのは秋元先生らしいというか、こういうのはいいんですけどねー、と思う
・間奏 ポチャリと打たれた静水が放つテラスタルな輝きのような響きが唐突にやってきて、フルサイズのパフォーマンスでここがどうなるか楽しみ。曲を通してここが一番冷た~い気がする。神秘的で見入っちゃいそう
(関係ないけど飛鳥ちゃんがポケモンSVやったらジムリーダーの中でアオキさん一番好きって答えそう)
>乃木坂の上品な美しさは結構「水」だと思うんです ナビエストークス方程式は解けないし水は鮮やかに流れる
・ピアノをお供にラス前サビ(Dメロ?) 〈そばにいる~〉の切なさがすごい。特に〈君がいてくれるから〉は催涙的で、C♯ Fdim/B A♯7 → D♯m C♯ Cm7(-5)みたいに下降していく和音とかもエモい(コードは合ってるか分かりません)
>間奏もそうだけどこうドラマチックに展開していくのはナスカさん作曲っぽさある
>ところでこの歌の〈君〉って誰なんでしょう。笑顔の裏で瞬き我慢して涙を隠してるのが〈君〉なんですが、強がりとバレたくないのは〈僕〉なわけで、〈僕〉は自然に飛鳥ちゃんとして〈君〉は誰?生きる理由を教えてくれてるし背景的にもめっちゃ普通に乃木坂46なんでしょうけど、〈君〉もやたら飛鳥ちゃんっぽく見えるんですよね。じゃあ飛鳥ちゃんに影響を与えたOGのお姉さまたち? でもそれはシャバすぎるか。
普通にいい答え思い浮かばないので、〈君〉は後ろ髪を引いてくるぐらいパイセンを慕っている、乃木坂と乃木坂的要素の継承者としての乃木坂ちゃん、みたいな凡庸な結論で濁しておきます……
(生まれてから初めて見た夢というアルバム名が好き グループ内で高みにいると後輩ちゃんにつきっきりで空見上げなくなるみたいなことか)
・パフォーマンスだとここの大きな翼が見どころ。君が羽根になってくれたから、いつか君もきっと羽ばたいてくれるから、素敵なサヨナラを言える
>翼全体で見たときに綺麗なのはもちろん、羽根ポージングしているメンバーそれぞれも美しいのがすごい
・そういえばラスサビでドミナントを半音上に移調して転調してるのもサヨナラと似てるかも(珍しい手法ではないと思うけれど)。
>落ちサビは裏でピアノが踊ってて良いです 卒業が悲しいので序盤の妖精たちも冬将軍ももうやけくそで踊り出す 大団円です
・アウトロ サビメロをピアノで再解釈してるわけですが、最初の主要な音が表拍で鳴っていて気持ち穏やかな感じ。
(・前作が初解禁ラジオで聴いたときにそこまでときめけなかった、近藤麻理恵だったら手放してるタイプの楽曲だったから(こんまりメソッドは音楽に適用できないよ)、そういうカードを消費できた分大きく下振れた歌は来ないでしょう、しかも歌詞集の帯書かせた人の卒業ソングだし、ぐらいのほのかな期待をしていた。ちょうどよく良い曲が来てよかった)
・やたら軽い感じのつぶやきの強者感毎回すごい
・テレ東音楽祭では中村ちゃんがフロントに入ってたり、たぶんお茶の間でも割と違和感なく見られてそうな仕上がりでよかった。層の厚さと選抜もうちょっと流動性あってもいいんじゃない?を同時に感じた場面
・Mステの豪華版のも綺麗だった
思ってたこととか③
・Rの法則に出てる「あしゅ」って子めっちゃ可愛いな~、、とか思っていた(初期から乃木坂好きな友達がいたからある程度の情報は知ってた)。でもその頃はどちらかというとすイエんサーに出てた「はるん」という人に夢中で、乃木坂にドハマりする前はドラマとかも追っていた(それが今では朝ドラ主演なんて本当にすごい)
・裸足でsummerのサビを初めて聴いたとき、夏曲にしてはさらさら流れる上品なメロディが音に聞く乃木坂らしくてちょっといいなぁ、、と思った。
今年の紅白ははだサマを演るらしい