犬を飼う、幸せ
2007年 帰省中に母の車で当時流行っていたCDを聞いていた。
ある曲が流れたとき、はっとして、思わず隣をみた。
隣には、実家で飼われている犬がゴロンと寝そべっていた。
思えば幼い頃から家に犬がいた。
血統書なんて無縁の、雑種の犬たち。
外で飼われて雨や雪にもさらされ、お世辞にもキレイとは言い難い。
それでも私は犬たちが大好きだった。
世話を焼くわけではないけど、ただ一緒に遊んでいた。
私には幸せな時間だった。
私には。
あの曲の歌詞を聞いたとき、犬にとってはどうだったのだろうと、疑問が湧いた。
あの頃の子たちはもう虹の橋を渡ってしまったので、実家の犬に聞いてみる。
「キミは幸せなの?」
しっぽをふり、まっすぐに目を見てくるが、答えはない。
犬を飼うのは、人間のエゴだろう。
人間のエゴイズムにより、飼われる犬は幸せなのか?
自然の中で暮らせた方が幸せなのではないか?
人間と暮らすとしても、うちではなく、ほかの人に飼われたほうが幸せかもしれない。
ずっとそんな疑問を抱えてきた。
答えはでていない。
それでも、今うちには犬がいる。
いぬ助けという保護団体から譲渡してもらった保護犬だ。
茨城県の山で生まれた野犬の子らしい。
既に一緒に暮らして1年半が過ぎている。
とんでもなく臆病な性格で、最初は誰も何も受け付けてくれなかった。
少しずつ人間との生活を受け入れてくれるようになり、今では人間の布団の上でごろっと横たわり、一人前にスペースをとって寝ている。
1年半前からすると、とてつもない進化だ。
娘と気が合うようで、ふたりは親友のようだ。
今幸せなのか、うちの犬に聞いてみたいが、答えてくれないだろう。
人間のエゴでもいい。
今はキミがいる幸せな時間がいつまでも続いてくれたらいいな。
娘と犬が遊んでいる姿をみて、そう思っている。
犬の気持ちは、いつかドラえもんに遭遇した時に翻訳こんにゃくをお借りして聞いてみることにしよう。
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