白ワインの原料とは!?代表的な白ブドウ品種を覚えよう!
ワインには、大きく分けて赤ワインと白ワインがあります。
赤ワインは黒ブドウを原料としていますが、一方で白ワインは、「白ブドウ」から造られます。
ここでは、白ワインに使用されている主要品種を学んでいきましょう。
白ワインは白ブドウから造られている
白ワインの原料は、果皮が緑色または薄緑色である白ブドウです。
赤ワインを造る赤ワインの原料は果皮が赤色や青紫色、黒色の黒ブドウが原料となっているため、使用されるブドウの種類で赤ワイン・白ワインが分けられています。
白ワインの醸造工程は一般的に果皮と種子が取り除かれた、“果汁のみ”でアルコール発酵が進められるため、フレッシュで香り豊かなワインが仕上がるところが特徴です。(赤ワインは果皮と種子、果汁が一緒に醸されます)
赤ワインが赤色をしているのはブドウの果皮に含まれているポリフェノールのひとつ、「アントシアニン」が関連しており、これが果汁に溶け出すことにより色合いが赤紫に色へと変化します。
さらに、果皮または種子由来のポリフェノールも豊富に果汁に含まれるため、赤ワインは総じて渋みのもととなるタンニンを含有することになります。
一方、白ワインは果皮と種子を取り除いたかたちで果汁のみで醸されるため、もともとアントシアニンが少ない果皮や種子からのポリフェノールなどの成分が溶出されず、味わいはすっきりと軽快。
タンニン由来の渋みはほとんど感じることはありません。
また、白ワインは一部のワインを除いて樽熟成が行われず、さらに空気中の酸素から徹底的に守られるためブドウ由来のアロマティックな香りが多く感じられているところも特徴です。
近年、白ブドウの果皮を果汁にあえて触れさせて色やボディ感を付与した、“オレンジワイン”などが登場しているものの、世界に流通する白ワインのほとんどが、すっきりとした、「フレッシュ&フルーティー」な状態で造られています。
白ワインに使用されている主な黒ブドウ品種
白ワインに使用されている主な黒ブドウ品種を下記にまとめました。
ワイン用ブドウと呼ばれるヨーロッパ原産のブドウ品種「ヴィティス・ヴィニフェラ」
生食用のブドウ品種「ヴィティス・ラブルスカ」
といった学名で分類されています。
ここでは、「ヴィティス・ヴィニフェラ」を主体に学びますが、補助的に「ヴィティス・ラブルスカ」についても紹介しましょう。
★シャルドネ
白ブドウの王様とも称されている白ブドウ品種が、シャルドネです。
フランス ブルゴーニュ地方の主要品種として有名ですが、イタリアやスペイン、ドイツ、アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、日本など世界各国で栽培されています。
栽培環境への適応能力が高い品種であり、冷涼な産地、温暖な産地問わず、それぞれの栽培環境に合わせて栽培することが可能です。
柑橘のニュアンスやフレッシュな酸、トロピカルフルーツのような香りが特徴ですが、樽との相性も良く、樽熟成を経たものも存在するなど、多種多様なスタイルな白ワインを生み出します。
★ソーヴィニヨン・ブラン
フランス ボルドー地方、ロワール地方の主要品種として知られている白ブドウが、ソーヴィニヨン・ブランです。
爽やかでフルーティーなワインを生み出すこと、さまざまな栽培環境に適応することなどから、今では世界中で栽培されています。
香りはグレープフルーツなどの柑橘、パイナップルなどのトロピカルフルーツ、爽やかなハーブやスパイスのニュアンスを含んでおり、冷涼な産地か温暖な産地かで香りの出かたが変わるところも特徴です。
一般的に夏場に冷やして飲んで美味しいフレッシュ&フルーティーなタイプの白ワインが造られますが、一方で樽熟成させたボディ感のあるタイプも見受けられます。
香りと爽やかなハーブのニュアンスを利用するために、ブレンド用としても広く使われているなど、汎用性の高さもソーヴィニヨン・ブランのポイントです。
★リースリング
ドイツ、フランス アルザス地方の主要な白ブドウ品種が、リースリングです。
冷涼な産地で優れたワインを生み出すと考えられていますが、温暖な気候でもよく育つため、世界中で栽培されている人気品種として知られています。
白い花や青りんご、柑橘、洋梨といった華やかな香りを持ち、熟したものだとパッションフルーツや黄桃のようなまろやかな果実味、さらに長期熟成させたものは石油のようなペトロール香もあらわれるユニークな品種です。
リースリングはフレッシュな辛口ワインだけでなく、良質な甘口ワインの原料にもなり、世界最高峰の甘口ワイン「貴腐ワイン(トロッケンベーレンアウスレーゼ)」を生み出すことでも知られています。
産地によって多種多様なスタイルのワインを生み出す、魅力溢れる白ブドウ品種です。
★セミヨン
フランス ボルドー地方でブレンド用として使用されている白ブドウ品種が、セミヨンです。
ボルドーでは、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドされるかたちで辛口ワイン、また貴腐ワインとして活用されており、補助的なイメージが持たれています。
一方、セミヨンは世界各国で栽培されており、生産国によっては単一品種で柑橘のニュアンスが感じられる辛口ワインも造られています。
まろやかな果実味、ほど良い酸味とミネラルのニュアンスがあるため、辛口ワインでも大変親しみやすい仕上がりとなるのが特徴です。
★ピノ・グリ
フランスの北部、イタリア北部、ドイツ、ニュージーランドで多く栽培されている白ブドウ品種が、ピノ・グリです。
有名黒ブドウ品種ピノ・ノワールが突然変異によって果皮の色が灰色(グリ)になったもので、仕上がるワインは透明というより、やや黄みがかった印象になります。
香りは穏やかであるものの、グレープフルーツなどの柑橘、アプリコット、黄桃、トロピカルフルーツの香りがあり、酸味の強すぎないまろやかな味わいに仕上がるのが特徴です。
製法によってもスタイルに違いが見られますが、ミディアムボディな厚みのある白ワインを生み出します。
★ヴィオニエ
フランス コート・デュ・ローヌの主要な白ブドウ品種が、ヴィオニエです。
近年、アメリカ カリフォルニアやオーストラリアなど世界各国で栽培されており、そのアロマティックな香りに魅了される方が多いことで知られています。
白桃、杏、オレンジ、ジャスミンといった華やかな香り、口当たりはまろやかでリッチな印象の白ワインを生み出します。
単一品種はもちろん、ブレンド用としても広く使用されている白ブドウ品種です。
★甲州
日本の山梨県を主要産地とする白ブドウ品種が、甲州です。
生食用としても利用されていますが、ヴィティス・ヴィニフィラの仲間でありワイン用ブドウであることが証明されている、日本を代表する白ブドウ品種になります。
日本のような高温多湿な気候条件でもよく育ち、さらに、棚栽培か垣根栽培、区画にこだわることで、より品質の高いブドウが収穫できることが近年解明されるようになりました。
ソーヴィニヨン・ブランに含まれている成分と似たグレープフルーツ様の香りを持ち、酸味は穏やかで後味に少し渋みを感じるところが特徴です。
穏やかな性格であることから、フレッシュ&フルーティーなタイプから樽熟成、シュール・リーなど、幅広い製法に活用することができます。
グリブドウの一種であることから、近年はオレンジワインも多く製造されているところも特徴です。
★そのほかの主要な白ブドウ品種
これらのほかには、フランスのミュスカデやスペインのマカベオ、イタリアのトレッビアーノ、フランスや南アフリカのシュナン・ブランなども有名です。
まずは、上記でお伝えした世界でも広く栽培されている国際品種を押さえた上で、さまざまな白ブドウ品種を理解していくことをおすすめします。
以下では、補足的に日本で多く使用されている「ヴィティス・ラブルスカ」の白ブドウ品種を簡単に紹介しましょう。
生食用のブドウ品種「ヴィティス・ラブルスカ」
★デラウェア
生食用としても人気のデラウェアは、近年ワイン用としても広く使われています。
ラブルスカ特有のブドウジュースを思わせる甘い香りがありながら、パイナップルやトロピカルフルーツ、梨など複雑な果実の香りも楽しめます。
中甘口タイプも多いですが、酸味もほどよくあるため辛口ワインはフレッシュでアロマティック、さらに口当たりが優しいためスパークリングワインとしても優れたワインを生み出しているのが特徴です。
★ナイアガラ
日本ワインで多く使用されている白ブドウ品種のひとつが、ナイアガラです。
アメリカ系ラブルスカ種で、生食用として広く認知されていますが、ブドウジュースを思わせる甘酸っぱい香りと穏やかな酸味、ブドウらしい甘みを兼ね備えた白ワインに人気が集まっています。
スパークリングワインにしても大変爽やかな味わいに仕上がるため、ワイン初心者の方や気負わずにワインを楽しみたい際にはおすすめです。
主要品種からまずは学ぼう
白ブドウ品種と一口に言っても、その数は膨大です。
まずは下記の白ブドウ品種のベースを押さえた上で、さまざまな白ブドウ、そして白ワインの特徴をつかんでいきましょう。
シャルドネ
ソーヴィニヨン・ブラン
リースリング
セミヨン
ピノ・グリ
ヴィオニエ
甲州
品種を知れば、ワイン選びがぐっと楽しくなります。
基本品種だけは、しっかりと頭に入れておくようにしましょう。