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ワインの原材料は何?ワインはブドウ100%から造られているシンプルなお酒!
ワインは、ブドウを原料とした醸造酒です。
ワインは、ほかのお酒と違いブドウのみを原料として造ることができるため、ワインの品質は、「ブドウの品質」に大きく左右されます。
しかし、なぜワインはブドウのみで造ることができるのでしょうか。
ここでは、ワインの原料について学んでいきましょう。
アルコール発酵の基本知識
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ワインの原材料を理解するために、まずアルコール発酵の基本を知るところから始めていきましょう。
アルコール発酵とは、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスを生成させる反応です。
ワインをはじめ、お酒が造られる過程で欠かすことができない反応で、中でも酵母と糖分は必ず必要な要素になります。
酵母はアルコール発酵に適したものが使用されており、さらにワインに適したもの、日本酒に適したもの、ビールに適したものなど、その種類は膨大です。
どんな酵母を使用するかによって酒質に変化がもたらされるものの、一方で酵母の餌となる糖分がなければアルコール発酵を行うことはできません。
お酒のアルコール発酵における糖分は、一般的に原材料由来です。
しかし、ここでワイン日本酒、ビールに大きな違いがあらわれます。
アルコール発酵の工程は3種類ある
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アルコール発酵の仕組みは、大きく分けて3つの種類があります。
単発酵
単行複発酵
並行複醗酵
それぞれ詳しく解説しましょう。
単発酵
単発酵とは、糖分を多く含む原材料に酵母を加え、その糖分からアルコールと炭酸ガスを生成させるアルコール発酵になります。
そして、単発酵を代表するお酒がワインです
ワインの原材料はブドウであり、ブドウには多くの糖分と水分が含まれているため、そこに酵母を加えるだけでアルコール発酵をスタートさせることが可能になります。
また、ブドウの果皮には天然酵母が存在するため、ワインの種類によって酵母は添加されずにアルコール発酵が行われることもあります。(ナチュラルな造りのワインなど)
単行複発酵
単行複発酵とは、アルコール発酵の前に原材料に含まれているデンプンを糖分に糖化させた上で、酵母を加えてアルコール発酵させるものです。
原材料そのものに糖分が含まれていない場合、デンプンを含む原材料を糖化させることで糖分を生成させる必要があります。
糖化によって得た糖分を利用してそこに酵母を投入してアルコール発酵を行う、「糖化」と「発酵」の2つの工程があるところが、単行複発酵の特徴です。
例えば、単行複発酵を代表するお酒がビールになります。
ビールの原材料は麦ですが、麦だけではアルコール発酵ができません。
そのため、麦に含まれるデンプンを麦芽によって糖化し、そこから得られた糖分を利用してアルコール発酵が行われています。
並行複発酵
並行複発酵とは、「糖化」と「発酵」を同じ1つのタンクで並行して行うアルコール発酵です。
主に日本酒で用いられている方法で、原材料の米のデンプンを麹の酵素で糖化させながら、同じタンク内でアルコール発酵を同時に行うといったユニークなアルコール発酵として知られています。
並行複発酵では、酵母に対する濃糖ストレスが軽減されるため、高いアルコールの生成が可能となるところが特徴です。
そのため、多くの日本酒は飲みやすいアルコール度数にするために加水が行われています。
ワインはブドウ100%から造られるお酒
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上記でお伝えしたように、ワインのアルコール発酵は単発酵で行われています。
単発酵の特徴は、“原材料のみでアルコール発酵ができる”ところでした。
ワインにおけるアルコール発酵の流れを下記にまとめました。
原材料となるブドウの収穫
破砕・除梗
圧搾
ブドウの糖液に酵母を添加
アルコール発酵
ワインの原料であるブドウにはブドウ糖と水分が含まれており(果皮には天然酵母)、圧搾したブドウジュースに酵母を添加するだけでワインを製造することが可能です。
一般的に1kgのブドウがあれば600mlから800mlのワインを造ることができるため、ブドウの量=ワインの生産量といったかたちで見ることもできるでしょう。
一方、穀物を原料とするほかのお酒の原材料も下記にまとめました。
日本酒→米、米麹、水(醸造アルコール)
ビール→水、麦芽、ホップ、酵母(米、コーン、スターチなど)
これらお酒と比較して、ワインの原材料はブドウのみ。
つまり、ブドウ100%で製造することができます。
また、ブドウが含んでいる糖分と酵母の関係上、アルコール度数が11%から15%の範囲に収まるため加水の必要もありません。
これが、ワインがほかのお酒と大きく違う特徴と言えるでしょう。
良いワインは良いブドウから
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ワインは、ブドウのみで造られているお酒です。
そのため、ブドウの品質がダイレクトにワインの品質に影響を与えます。
健全なブドウであることはもちろん、ブドウ品種それぞれが理想的な熟し方をしているのか、糖分や酸度、ポリフェノール量はどうか、これらブドウひと粒一粒の品質によってできあがるワインの味わいにも大きな影響を与えるのです。
アルコール発酵の際に使用される酵母はワインの風味や香り、アルコール度数に大きく影響しますが、原材料となるブドウが持つポテンシャル以上の味わいを生み出すことは難しいでしょう。
ワインの世界では、ブドウの栽培環境を表す、「テロワール」と呼ばれる概念が存在します。
どのような場所、気候条件、土壌条件で育ったブドウが原料となっているのか、それこそがワインの醍醐味になります。
「良いワインは良いブドウから」と言われるように、ワインの命はブドウでもあるのです。