オレンジワインの色調や香りの秘密!オレンジワインの製法を学ぼう!
ワインの世界にも、トレンドがあります。
さまざまあるワイントレンドの中でもとくに注目されているのが、「オレンジワイン」です。
日本におけるオレンジワインは今やこだわりのワインを提供する飲食店だけでなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも販売されるほどの人気を博しているワインになりました。
ここでは、オレンジワインの製法について学んでいきましょう。
オレンジワインの基本情報
オレンジワインは、オレンジ色の色調を持つワインです。(琥珀色をしていることから、地方によってはアンバーワインとも呼ばれる)
白ブドウを原料としていることから、厳密には“白ワインの一種”と考えておくと良いでしょう。
オレンジワインの起源はワイン発祥の地と言われているジョージアと考えられており、クヴェリと呼ばれる粘土製の陶器(甕)で造られていました。
長くその存在は忘れ去られていましたがイタリア北部のフリウリ・ベネチア・ジュリア州の生産者が当時のオレンジワインに影響を受け、現代的なオレンジワインを生産。
そのワインが話題となった上に、その数年後にイギリスのワイン輸入業者がそれらオレンジの色調を持つ白ワインを、“オレンジワイン”と呼んで広めたことをきっかけに世界中に広がっていったと考えられています。
また、オレンジワインの製法はオーガニック系のナチュラルな造りのワインと相性が良いことでも有名です。
近年、オーガニックワインブームが到来していますが、それらワインを造る生産者の多くがオレンジワインを手掛け出していることもブームの要因とされています。
オレンジワインの製法
オレンジワインは、オレンジ色のワインですが厳密には白ワインの一種です。
オレンジワインの製法を知るための知識を下記にまとめました。
赤・白ワインの造り方のおさらい
オレンジワインは白ブドウを一緒に醸すワイン
ロゼワインとの違い
それぞれ解説しましょう。
赤・白ワインの造り方のおさらい
オレンジワインの製法について考える上で、赤ワインと白ワインの造り方を理解しておく必要があります。
まず、赤ワインの原料となるのは、果皮が赤紫色の黒ブドウです。
赤ワインの場合、原料となる黒ブドウを果皮と種子、果汁(梗も一緒にされることもある)を分離せず、それら醪に酵母を添加してアルコール発酵が行われます。
黒ブドウの果皮にはアントシアニンと呼ばれる色素に関連するポリフェノールが豊富に含まれ、さらに種子には渋みに関連するタンニンも多く含まれていることから、赤ワインは、“色調が赤紫色で、渋みを持つワイン”に仕上がるのです。
一方、白ワインは薄緑色などをした白ブドウを原料としています。
白ワインの場合、果皮と種子などは取り除かれ、果汁のみに酵母を添加するかたちでアルコール発酵が進められます。
果皮由来のアントシアニン、果皮や種子由来のタンニンなどは果汁とほぼ接触しないため、透明度の高い色調を持ち、味わいもフレッシュ&フルーティーで渋みが少ないワインが仕上がる流れです。
これら赤・白ワインの基本的な製法を押さえた上で、オレンジワインの製法について学んでいきましょう。
オレンジワインは白ブドウを一緒に醸すワイン
オレンジワインは、白ブドウを原料として造られます。
上記でお伝えしたように、通常の白ワインは果皮と種子を取り除き、果汁のみで発酵へと進みますが、オレンジワインの場合は果皮と種子を取り除かずに醸されるところが特徴です。
白ブドウと一口に行っても淡い薄緑色の果皮だけのものではなく、中にはグリ系(灰色)ブドウなど、色合いが濃いものも存在します。(通常の白ブドウよりもアントシアニンが多い)
また、白ブドウが淡い色合いだったとしても果皮にアントシアニンが存在しないわけではありません。
赤ワインほどではないものの、白ブドウも果皮と長期間接触させる、一緒にアルコール発酵させることで果皮由来のアントシアニンが果汁に溶出し、オレンジがかった色調になります。
さらに上記でお伝えしているように果皮や種子には渋みに関連するタンニンのほか、果汁だけにはない成分が豊富に含まれています。
そのためオレンジワインには渋み、さらに果皮にはアルコール発酵時、酵母の力によって生み出される香り成分が存在することもあり、コンポートや桃、ヴァニラアイスのようなアロマティックな香りも付与されるのです。
オレンジワインと一口に言っても生産者によって製造方法に違いはありますが、端的に言えば、「白ブドウを、赤ワインのように醸したワイン」と考えると理解しやすいのでしょう。
ロゼワインとの違い
オレンジワインは、「白ブドウを、赤ワインのように醸したワイン」です。
赤でも白でもないワインという意味では、ロゼワインとオレンジワインのどこに違いがあるのでしょうか。
ロゼワインには、大きく分けて下記の製法があります。
セニエ法(黒ブドウで赤ワインのように途中まで造り、途中で果汁だけの抜き取る製法)
直接圧搾法(黒ブドウをプレスした後、淡く色づいた果汁のみで発酵させる製法)
混醸法(黒ブドウと白ブドウを混ぜた状態で発酵、果汁のみを取り出しさらに発酵させる製法)
ブレンド法(赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインを造る製法。EUではシャンパーニュ地方以外は禁止されている)
ロゼワインの製法にはさまざまな種類がありますが、基本的に、“黒ブドウ”を原料としているところは共通しています。
黒ブドウの果皮に含まれるアントシアニンの影響で赤ワインは赤紫色の色調になりますが、その抽出量をコントロールすることでワインの色調は、“淡いピンク色”。
つまり、ロゼ色になります。
ほんのり色づいた醪から果汁だけを抜き取ることで、これ以上そのワインの色合いは濃い色にはなりません。
白ワインのように抜き取られた果汁のみでアルコール発酵が行われるため、最終的にフレッシュで華やかなロゼワインが仕上がる流れです。
オレンジワインとロゼワインの最大の違いは、オレンジワインの原料は白ブドウ、ロゼワインは黒ブドウであるところになります。
そして、オレンジワインは、「白ブドウを、赤ワインのように醸したワイン」。
ロゼワインは、「黒ブドウを、白ワインのように醸したワイン」と考えると理解しやすいでしょう。
オレンジワインの製法を知れば味わいも理解できる
オレンジワインは、白ブドウを原料に赤ワインのように醸されたワインです。
果皮や種子の影響を受けるため、通常の白ワインとは違う色調、香り、風味、さらにほのかな渋みも感じることができます。
オレンジワインの製法を理解することで、なぜオレンジ色なのか、なぜこの香りや風味がするのか、ボディを感じるのか理解することができるでしょう。
醸造方法は専門的な知識ですが、ワインを知る上では大切な内容です。
繰り返し学び、しっかりとその内容を理解するようにしておきましょう。