Bad End 1
「私はあなたの一番の味方だからね」
そうこの子は私の一等大切な子。何を代償にしても守ってあげたい子。だからあなたの「毒」になるものは、全部私がとり除いてあげる。そして代わりに「薬」のように効くものだけをあなたに与えるわ。あなたはきっと素敵になる。私の望む「我が子」の姿に。
なのにどうして。
ぐしゃりと赤くつぶれた何かに。変わり果てた姿の何かに。今朝まで見ていたあの子の面影をついぞ見つけられなかった。白く冷えていく頭の中によぎる言葉は一つ。
「誰のせいでこうなってしまったの」
あぁ、この人には。
私のことが、自分の叶わなかった望みを具現化する傀儡にしか思われないのだ。かわいそうなことに。私が死んでもなお、そのことに気づけないのだ。それならば私は、この人の今までの仕打ちに対し反逆してやったことを喜ぶよりも、むしろこの人が二度と自身の誤りに気づけなくなってしまったことを憐れまなければなるまい。
この人への憐憫の情がまだかすかにでも自身に残っていると気づき、私は自嘲ぎみに首を振った。 「誰のせいでこうなっちゃったんだろ」