映画『なれのはて』(粂田剛)を観て

定期的にミニシアターの上映スケジュールを漁る。画像と題名で気になった映画のあらすじを確認する。『なれのはて』はそんなルーティーンの中で見つけた作品だ。歯抜けで笑う顔。なれのはて、といういかにもなタイトル。さらにさらに、たった3日間の日程限定上映ときた。すぐにカレンダーに入れて1ヶ月くらい、楽しみに待った。

映画館についてまず驚いたのは、映画館の外まで、高齢者の行列ができていたこと。本当に何事か、と目を疑う光景。近くのボートレース場にいるタイプとはまた別の、しかし何かしらの刺激を求めている目。団体とかではなく各々が各々の興味関心で集まっているようで、Googleで調べても特に話題性もなかったので不思議が増した。席は120%で、おかげで劇場の左後ろの隅でパイプ椅子に座ってみるというレア体験をした。

内容については、目が離せないまま引き込まれて、最後にズシリと重い一発を喰らう、後に引く系映画。そして優秀な映画特有の、映画館出た後の日常の非日常化も味わえる。

もう少し具体的に書くと、4人の困窮邦人のリアルを追っていくドキュメンタリーなわけだけど、淡々とした記録だけでなく、この録画の裏では何が、どんな会話があるんだろう、実は何が起こっているのか、という想像もかき立てる映し方。そして7年。この年月の長さが超重要なポイントになり、長いが故のストーリー展開が、かきたてられた想像通りだったり、斜め上いってたり、衝撃を受けたり、と引き込まれていく要素になっていた。しかも、当然、この「ストーリー」は生身の実在する人間の記録である。

困窮邦人なんて、なんだかんだ笑ってて楽しんでるでしょう。

底辺、と思われる人たちの暮らしを見て学んでおくのも良い。

なんて、楽観的な気持ちがあったことを否定しない。

だけど、この映画が実録であることを思い起こしながら、たったいまも、鳥肌が立つ。それほどに痛くて呆然とするリアルが映っていた。

そして、愛は、あるところには、ある。ないところには、ない。ってことも

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