‐子どもたちと学びのその先をつなぐ架け橋になれるように‐ キャリア教育に関するコンテンツづくりに関わった話
こんにちは。Libryでコミュニケーションデザイナー(1人目)をしている、のむらです。社内では「のむさん」と呼ばれています。
突然ですが
みなさんは高校生の頃、こんなことを思ったことはありませんか?
「なんとなくどこか役に立つ気がするけど、何の為なのかわからない」
「受験や将来の選択肢を増やす為に勉強していただけ」など
学びのその先になにがあるのか、勉強していることは世の中のどこにつながるのかは漠然としていたのではないでしょうか。
学んでいることと、社会をつなぐコンテンツの誕生
2022年春からLibryはキャリア教育に関するコンテンツ「Li-Bridge」を提供開始しました。
背景
2022年度より高校で施行される新たな学習指導要領では、”幸福な人生を切り開くために周囲や社会とどのように関わっていくか”という観点で、「学びに向かう力、人間性等」が重要視されています。
また、株式会社Libryが掲げる「一人ひとりが自分の可能性を最大限発揮する社会をつくる」というVisionを実現するために、子どもたちが自分自身の可能性と、その可能性を最大限発揮できる手段(キャリア)を認知している状態にする必要があります。そのため、「キャリア教育」はLibryにとっても重要なテーマのひとつです。
特に「いま学んでいる内容が社会とどう繋がっているのか」に気づき、学ぶ楽しさを感じることは、この資質・能力を育むための第1歩になると考えました。
※本コンテンツは、リブリーで「数学」のデジタル教科書・デジタル教材を購入した高校1年生〜3年生を対象に配布予定されているものです。
※詳しい背景は上記プレスリリースを御覧ください。
前提のはなし
ところで、Libryとは
株式会社Libryは、主に高校生向けのデジタルプラットフォーム「Libry(リブリー)」を提供している企業です。
「Libry」は、出版各社が発行している既存の教科書や参考書、問題集をデジタル化し、生徒一人ひとりの学習履歴に基づいたアダプティブ・ラーニングを可能にする中高生向けデジタル教材プラットフォームです。
Li-Bridgeとは
Libryを使用している生徒がデジタル教材で学んでいる「単元」に関連する「職業」を紐付け、キャリア教育に関するコンテンツのことです。
ここで言うコンテンツとは、社会人のインタビューを通して、高校生が学びに向かう姿勢を育むための記事です。
Libryが目指す、キャリア教育に関する体験
今、学んでいることと、社会をつなぐことによって新しい知識を得ることにワクワクしてもらいたい!
「この勉強、僕の将来に何か意味があるんですか?」に直接の解を与えるものではありません。
本コンテンツは、高校生が学ぶ専門的な知識がテスト以外にも、社会で役に立っていることに気がついてもらうためのコンテンツです。
※これらはあくまでLibryが提供したい体験の一部です。
デザイナーとして企画に参加
私は入社した時点で「Li-Bridge(社内の呼び名はキャリアコンテンツ)」の企画は進行中でした。
企画参加時に既に決定していたこと
「単元」に関連する「職業」を紐付け、1つの単元につき1つの記事を制作すること
本コンテンツが目指す体験
リリース時期と記事のサイズ
求められていたこと
記事は専門的な話になるとこが想定される為、デザインによって出来るだけ高校生に伝わりやすくこと
上記の為のデザインコンセプト策定・レイアウト設計を行うこと
やったこと|ざっくり
しくみづくりなど
デザインコンセプト
キービジュアルのデザインコンセプト
記事のデザインコンセプト
記事のレイアウト設計:記事原稿のルール
記事のレイアウト設計:各ページのルール
他のデザイナーとの協業の為の制作フロー・マニュアル
具体的なデザイン業務(一部ライティング)
キービジュアル 各科目(数学Ⅰなど)ごとの表紙
ネーミング
フォント検証→導入
約30記事のデザイン
アイキャッチイラスト
挿絵/図解のイラスト
組版
別丁扉
セルフ校正(目を皿のようにして頑張るやつ)
けっこうたくさんやったな〜
途中からアイキャッチイラスト・挿絵/図解のイラスト・組版の3つは他のデザイナーと分担をしていました。
それでは、以下いくつか具体的に紹介します。
やったこと|具体的に一部紹介
キービジュアルのコンセプト
「今、学んでいることと、社会をつなぐことによって新しい知識を得ることにワクワクしてもらいたい」というこのコンテンツにかけるLibryの想いや、CEOによる導入文「はじめに(※)」を受けて「学びと社会の架け橋である」をコンセプトに設定。
象徴するモチーフとして「架け橋」を各教科ごとに描き起こしています。
記事ページのコンセプト
正しく・ワクワク・シンプルであること
目の導線は上から下へ
スタイリングなどには余計な情報を入れず簡潔に
記事のアイキャッチ(見出し)は、記事の内容を理解し、その上でワクワクする絵を描くこと
専門的な話を図解する挿絵は、記事の情報を正しく、わかりやすく伝えること
多様な特性を持った子どもたちも、できるだけ読みやすくすること
UDデジタル 教科書体を採用
特に読字に関わる特性を持った子どもたちも、できるだけ読みやすくする為このフォントを採用しました。
使用範囲は、表紙・別丁扉・導入文・記事本文。
ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザインで、読みやすさについてのエビデンスも取得されているフォントです。
私は初見でこのフォントを「丁寧な手書き文字のようだな」と思ったのですが、モリサワさんのサイトに拠れば「硬筆やサインペンを意識し、手の動きを重視しています」とのこと。なんとなく、学校で先生が黒板に書く文字を思い出します。
※詳細はこちらから→https://www.morisawa.co.jp/topic/upg201802/
もちろんフォントだけで読字の課題を補えるわけではありませんが、LibryのVISION「一人ひとりが自分の可能を最大限発揮できる社会をつくる」を実現する為の一歩になると考え導入をしました。
記事デザインにおいて大変だったこと
それは、単元に紐付いた記事内容を理解し、それをイラストという手段を使ってビジュアルで翻訳することです。
特に、私は数学苦手の民なので記事内容が数学であることが個人的にはネックでした。
こういうときは、もう他の人の意見をどんどん取り入れることが良いなと思いました。助けて〜!と言う強さ、良い意味での図々しさが大事。
でも、それも助けを求めたら誰かがちゃんと助けてくれる、という環境ありきなのでLibryのみなさんに本当に感謝です。
ビジュアルで翻訳する
とは、どういうことなのか、ある記事の挿絵を一つ例にとってみますね。
インタビュイーの方から共有されたのは以下の図でした。
図は正しいものですし記事内容とリンクしていて、全く悪くはないのですが、これだといかにも教材っぽいですね。
この記事の挿絵において大事なのは
・大気をサイコロ状に分割して考えていること
・気象予測に必要な力を三角比によってx軸、y軸、z軸に分解し三角関数の理論などを応用していること
これをビジュアルで翻訳すると以下のようになりました。
どうでしょうか?伝わっているでしょうか。
数学苦手の民なので、数学の教科書を開いて頭を抱えながら、他の社員に助けを求め、救われてここに至ります。
助けていただいた方々に圧倒的感謝…
ビジュアルで翻訳する|おまけ
※長くなってきたので、この段落は飛ばしても大丈夫です。
一番悩んでいたのが「建築物は、”方程式の集合体”で表される」の記事です。
このような図=教材っぽい図を、同じくビジュアルで翻訳しようとしたのですが、苦戦しました。
この記事は「図形と方程式・軌跡」の知識が「建築設計」に関わっているという内容ですが、それをすぐには表現できず、このときもまたいろんな方に助けれました。
それでは、完成までの「軌跡」を御覧ください。
生徒向けの広告
おつかれさまです。すみません、あと少しで終わります。
ここまでついてきていただき、ありがとうございます。
さて、この「Li-Bridge」初回リリース後、生徒向けの宣伝広告をコミュニケーションデザインチーム+コンテンツ部でつくりました。
※先生を通して生徒たちへ配布・配信されるものです
おそらく生徒が一度は思ったことのある疑問をメインのキャッチコピーで投げかけ、Li-Bridgeがどんな想いでつくられたのかをボディーコピーで伝えます。Libryではめずらしい、やや情緒的な訴求です。
社内では「エモい!」との評価でした
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました!
気がつけば5000文字を超えています。
この「Li-Bridge」は、このコンテンツにご賛同いただいたたくさんのインタビュイーの方々、編集プロダクションの方々によって支えられ、Libryのキャリアコンテンツチームも含め、多くの人が関わっています。
皆さんに共通していたのは「子どもたちに学ぶ楽しさを伝えたい」という想いです。一方で、それを伝える手段や機会がなかったという課題も見つかりました。
今回の取り組みをきっかけに「学びと社会をつなぐ重要性」に気付いてもらい、より多くの企業や社会人が子どもたちの教育に関心を持ち、行動を起こす「呼び水」のようになれば、と思っています。※プレスリリースより引用
私が高校時代に勉強しているときにこんなコンテンツがあったら、数学への苦手意識からくる「こんなの将来使わない」「楽しくない」というネガティブな気持ちが小さくなっていたのではないかと思います。
子どもたちが「Li-Bridge」に触れることで、学びのその先を知り、自分が何に興味があるのか、何に心が反応するのか、知っていくきっかけとなれば幸いです。