たったひとりのGACKTさんコピーバンド 17 タイムリミット花火のように
「来年こそは戸田で花火を」
いつのまにか駅の中にそんなポスターが飾られていた。
ああそうか…
本当だったら僕の家があるこの戸田でも花火大会があるんだな・・
僕が岡山から東京へ(家は埼玉県戸田市)に出てきてまもなく半年になる。
いつの間にか僕はこの戸田で花火を見上げることができる日を心から楽しみにするようになった。
特にこの戸田で、日常的に会うような知り合いがいるわけではなかったが、この街は僕のことを無言で優しく受け入れてくれた、そんな気がしている。
来年の夏に、僕らはどんな想いで花火を見上げるのだろう?
世界は変わった。
花火はもう、「夏の風物詩」ではない。
「夏の夜に咲く奇跡」だ。
たぶんじっと待っていても向こうからは来てくれないから、迎えに行こう。「奇跡」というやつを。
☆
「たったひとりのGACKTさんコピーバンド」
これは僕にとってとても大きなチャレンジだ。
そしてそもそも、35歳からの上京。
大きなチャレンジというかもう無謀としかいえない。我ながら。
そう、このチャレンジにもタイムリミットはある。
「2年間」だ。
今の時点で半年が過ぎている。
だからあと1年半。
この期間で「何者かになれなければ」撤退せざるを得ないだろう。
「何者かになれば」この2年間は「はじまりの2年間」に変わる。
不思議なもので、僕のもとには僕にとってその時1番必要な言葉が舞い込んでくる。
そしてこの言葉が今の僕を支えそして突き動かしてくれている。
「過去は変えられる」
どんなに苦しいことも辛かったことも、悔しかったことも、それが報われた瞬間に美しいものに変わる。
過去にどれだけ美しい意味を添えていけるか?
それはたぶん、未来を切り拓くために走り続けることと同じことなのだろう。
だから今日も、精一杯やってみよう。
何かが変わると信じて。
・・・
・・・
電車のアナウンスで顔をあげる。
もう渋谷に到着だ。
では行ってきます
あなたもどうか最高の1日を。