本番まで2ヶ月。コンディションについての正直なところと、それでも僕はやりたいんだという話。
とにかく呼吸が苦しい。
約10年連れ添ったその症状の原因はよく分からないし、そしてようやく分かりかけてもいる。
僕のソロキャリアは、この症状と共に過ごした記録でもある。
そして30歳を過ぎてようやく始まったボーカリストとしてのキャリアとも同じ期間だ。
そして今のこの幸せも、この症状と歩んできた証だ。
「ライブをやる」
でもこの状態で重いエレキギターを背負って歌うということは困難だった。
「歌かギターか?」
もしどちらか選ばなければいけないのなら、
作曲者としてその曲の主旋律である「歌」に注力しよう。
もちろん(歌とギターを別々に注力できる)レコーディングではギターも自分で弾いている。
ギターリフと、いわゆる曲の「サビ」は僕の音楽においては同格かそれ以上だ。
だからなおさら、絶大な信頼のおけるリードギタリストの力を借りたかった。
それがRYUTAROさんだ。
ギターレッスンの仕事で生計を立てる日々。
酸欠に近い状態で足を引き摺りながら自宅を出て、なんとかスクールへ辿り着く。
自宅から少し離れた最寄り駅。
ふたつの電車を乗り継いで勤めるスクールへ。
別に通勤距離としては大した距離ではない。
でも今の僕にはそれが本当に本当に長く感じた。
なるべくレッスンの始まる1時間前にはスクールに到着するようにしている。
大したことはないはずの通勤で消耗した呼吸を取り戻すために
それくらいの時間を必要とするようになっていた。
レッスンに来てくれるみんなには本当に申し訳なかった。
決して安くない月謝。
スクールに通うための交通費や時間・手間。
そして音楽に馳せる想い。
そうやっていろんなものをかけて開いてくれたスクールの扉の先で、
僕の顔が曇っていたことは何度も何度もあったはずだ。
それでも
星の数ほどいる音楽講師の中から僕を選んでくれたことが本当に嬉しかった。
僕より上手い演奏家なんて星の数ほどいるというのに。
それでも僕を選んでくれたことが本当に嬉しかった。
「僕が人に何か伝えられることは何か?」
最近は暇さえあればそのことを考える。
「作詞作曲」
「演奏もアレンジも」
「作品のプロモーションも」
音楽活動にまつわる全て。
自身の手でやってきたこと。
その一つ一つについて、
その道を極めたプロには到底敵わないだろう。
でも作品に対する愛着や思い入れに関しては誰にも負けない。
それがそのまま、作品やライブと歩んでいく上での苦しさでもあるんだと思う。
「自分の歌が下手だからダメなんじゃないか?」
「自分の演奏が下手だから」
「自分の歌詞が」
「メロディーが」
「・・・」
「・・・」
全てを自分で手がけるということは同時に逃げ道もないということだ。
この数年間・・
特に今年の生誕ライブの開催を決めてからは文字通り寝ても覚めてもずっとうなされている。
でもそれと同じくらい、
僕は自分の音楽に自信を持っていた。
だって今よりもっと苦しかった時に、
自分を励まし鼓舞するために生み出した言葉とメロディーだから。
自分を取り巻く状況に落ち込みながら、
自分の曲を弾いて歌って自分を鼓舞していた。
時々自分の作品を聴き返すことがある。
溢れてくるのはやっぱりいい思い出ばっかりじゃなくて、
悔しかったことも憤りも。
そして作品を聴き終えていつも思う。
「それでもこの作品が完成したのは自分と、関わってくれた人たちのプラスのパワーがあったから」
完成した時点で作品はもう過去のもの。
もし仮に歩みを止めなかったなら、1日ごとにその作品は(自分にとっては)
「未熟の証明」
になる。
でもそれを愛せるのは、
むしろ時を経るごとに不思議と愛おしくなるのは
「その時どれだけ一生懸命だったか?」
それだけだと思う。
話を戻そう。
「僕に伝えられることは何か?」
今僕には幸運にも、
全てをかけて成し遂げたい公演がある。
それを共にしたい仲間がいて、
それを見守ってほしい人たちがいる。
そもそもこの上記の4行があるということがどれだけ幸せなことか?
そのことを噛み締めながら、この冒険をまっとうすること。
この作品を通じて
「きっと大丈夫」
という可能性を提示すること。
その本番まであと二ヶ月ほどとなりました。
最後まで見守ってやってくださいね。
2024/10/12(土)
Taishi Nomura 40th Anniversary Live
「The world calls you」
会場:月見ル君想フ(東京/青山)
open/17:30/start18:00
チケット予約↓ http://9lick.me/AN28D