何を言ってもいいと声を大にして言いたい
昨日大阪で開催された音楽フェスに行ってきました。
雪のせいで交通が乱れる恐れがあったため、早めに会場に向かい、1組目から8組目までじっくり楽しみました。
その中に、Creepy Nutsというユニットが出演していました。
時々テレビで見かけることもある男性二人組のヒップホップユニット。「かつて天才だった俺たちへ」という曲とかが有名ですね。
恥ずかしながら私は顔と名前位しか分からなかったのですが、昨日初めてライブを見て、どんな人達なんだろうと思いネットで検索したりしました。
すると検索ワードのサジェストにこのようなものが出てきたのです。
「クリーピーナッツ 炎上」
なぜ炎上したんだろう…?と思ってそのワードで検索してみたところ、過去に複数回炎上したことがあるようですが、
直近ではこのような事があったそうです。
(本人発言が詳しく文字起こしされているnote記事です↓)
「マツコ会議」に出演された時のDJ松永氏の発言が「ミソジニーの肯定だ」と言って叩かれたとのことです。
本日はこの件について急遽考察記事を書くことにします。
リンク先記事にある文字起こし読めば分かるように、松永氏は取り立ててミソジニーを肯定した訳では決してありません。話の流れから読み取るならばミソジニーは一例として挙げられたに過ぎないと言えます。
ミソジニーに限らず、何かを「ディスる」という表現がラップの一種のスタイルであるのに、それが自由に出来ないという現状を氏は憂いていたのでしょう。
私個人はこのラップの「ディスる」というスタイルは好きではありません。しかし松永氏は番組内でそのスタイルのルーツがどこから来るものなのか、しっかり説明なさっていたようです。それはSNSで「批判」と称して飛び交う、相手を否定する為だけの非難や罵倒、愚弄などというものではなく、確かに「カルチャー」として確立されたものだと思います。そのカルチャーの中においては存在することを認められていいものなのです。
昨今フェミニストの抗議活動に、所謂「萌え」コンテンツを愛好する人々(=オタク)が猛反発しています。
彼らの主張は「エロもグロも、あらゆる性的志向を扱った表現を認めるべきだ」というものです。それらはあくまで表現、創作の範疇であり、現実の性犯罪などに影響を及ぼすものでは断じてない。現実とは切り離され、表現の自由のもとに保護されて然るべきものである、と。
この理屈は当然前述のラップにおける「ディスり」にも当てはまります。誰をどのように揶揄してもそれは「ラップ」という表現の中でのこと。ネットの言論のように誰かを貶め、社会的に殺すためのものではなく、音楽という創作活動の一環であるということです。であれば、保護されて然るべきものだという事になります。
「このジャンルは守られるべきだけどこのジャンルは蔑ろにしていい」等という事はありません。表現に貴賤など存在しない筈です。萌えコンテンツが守られるならばラップのディスりも守られるし、刺青の文化だって守られるのです。
表現の自由が絶対不可侵の尊いものであるならば、私はラップにおいて誰をどんな風にディスっても許されるべきであると思います。重ねて言いますがオタクが萌えコンテンツへの干渉を許さないのと同じように、ラップも一つの確立されたカルチャーなのです。
そこに干渉や制約が生まれる事への苦しみを吐露した、松永氏の思いは決して安易に否定されるべきものではありません。
なのにそれすら非難されてしまう、有名人という立場はつくづく気の毒であると思います。
一般人がネットで好き勝手言うのは許されるのに、何故有名人が思いを言葉にすると逐一それを値踏みされ評価されなくてはならないのか。彼らも私達と同じ人間です。そして、価値観は人それぞれです。
自分に合わない価値観を持つ人も勿論存在するし存在していいのです。松永氏の発言を気に食わないと思っても、その気に食わない発言は存在し続けていいのです。いちいち否定されなくていいのです。
有名な人達も、もっと思いを自由に口にしていいし、その思いは容易く否定されるべきではないと思います。
否定的な感情を持つなとは言いません。この人の意見嫌だな、と思うことは自然なことです。その自然な思いを捨てろとは言いませんが、その感情の火種を煽って怒りを大きくし、言葉という「形」にして相手にぶつけるべきではないと思います。それはラップとは違ってカルチャーでも何でもない、ただの攻撃です。
ネットという「手段」があるからといって有名人の意思表示に対し、何かを返す必要などありません。別に双方向のコミュニケーションなど求められていないのです。
だから「なんだコイツむかつくな」と思ったらそれ以上関わらなくていいのです。怒りを燻らせる為に関わり続けようとするのはやめましょう。「やだな」と思ったら意識から追い出しましょう。相手を傷つけない為にも、自分の精神衛生的にもそうするべきです。
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