PUBG GLOBAL CHAMPIONSHIP 2019 解説③ 何故LiquidはPGCグループステージで敗退してしまったのか?

こんにちは!! Sunsisterがエリミネーションステージの突破を図り、見事準決勝ラウンドへの進出を決めました!おめでとうございます!

そんなSSTの突破と裏腹に、今大会の優勝候補であったTeam Liquidがまさかの予選脱落。最も知名度があり、国際大会での成績も優秀だったLiquidの予選敗退を予測していた人などほとんどいないでしょう。実際に事前の戦力分析では常に上位にランクインしており、僕も優勝候補と捉えていました。

普段ヨーロッパリーグを観戦している僕としても、不可解な出来事だったために要因を分析してみました。

優勝できたかどうかはさておき、Liquidの予選敗退は起こるべくして起こったというのが僕の推論です。

この記事ではLiquidの実際の動きを確認しながら、「もし~~だったら」というあまり意味の無い推論を重ねていきます。
「こういう見方もあるんだなぁ~」くらいにご参考下さい。

そして全世界のLiquidファンの皆様、申し訳ございません。

仮説1 ヨーロッパリーグとのルールや環境の違い

今回は16チーム中上位8チームが上のラウンドに進めるということで、例えばいつもよりも人口密度が高いゲームが展開されたり、猛者が多い故にいつもよりもキルペースが速く、人口密度が低いゲームが速いゲームが展開されたりする可能性があります。

調べてみたところ、今回の予選で行われたエランゲルの平均生存人数は
15:00で51.2人、20:00で34.4人でした。
EUリーグの直近の12試合を調べてみたところ
15:00で51.3人、20:00で34.2人でした。

人口密度に関しては普段と比較して高低は無く、同じような密度のゲームが展開されたと言えるため、この仮説は否定されます。

仮説2 降下地点から初動の距離が長かった

基本的にこのゲームでドン勝を取るには、ある程度円の中央を引き寄せる必要があり、強チームといえど毎回ドン勝を取れない理由はその円の動きがランダムだからです。Liquidといえばエランゲルはポチンキに、ミラマーはペカドに、サノックはブートキャンプにと、常にマップの中心に降下して円の中心を狙いに行くチームのため、今回だけ運が悪かった可能性があります。

こちらの投稿を参考にすると、Luquidは運が無いわけでなく、むしろエランゲルでは初動のアドバンテージを取りやすい位置に居たと言えます。

普段と違う展開だったわけでもなく、初動の運の悪さがあったわけでもなく、謎は深まります。

そもそもグループステージ突破の条件とは?

まずはドン勝をとることです。グループ①でもグループ②でも、ドン勝を取った全てのチームは予選突破をしています。ドン勝ポイント10点は予選突破ポイントの約1/4に当たりますし、ドン勝を取れるポジションというのは中距離からのキルを稼ぎやすい場所が多いです。(敗者復活戦はグループステージでの得点を引き継ぐため、それだけでは足りないチームもあった)

では次に、グループステージを突破したにも関わらずドン勝をとっていないチームについてみてみます。

グループ①では、VENとGhostが未ドン勝で突破をしています。この2チームはラウンドあたりのキルポイントがそれぞれ4.5点、5.5点と極めて高い値を出しています。Ghostに至っては順位ポイントが1.8点しか獲得できておらず、かなりつらい闘いだったと思われます。

グループ②では、ENFとAFFの韓国勢がそれぞれ未ドン勝です。5.2点、4.7点と先述のポイント数と同じようなキルを獲得しています。両チームとも順位ポイントは3.0点を下回っています。LZRも未ドンでしたが、3位を三回獲得するという惜しい立ち回りを続けていました。

当たり前のことですが、ドン勝が取れないならキルポイントで進出するしかありません。そしてドン勝は運も必要です。では、ドン勝が出来る状態とはどんな状態でしょうか?

ドン勝の条件とは

このゲームは円の中心ほどドン勝に近く、終盤になればなるほどどれだけ円を引き寄せられるか、円の中心にアプローチできるかが重要になります。そして重要な指標が、15分30秒の段階で発表される円に4人生き残った状態で入れていないチームは基本的にドン勝できないということです。ここでエランゲルとミラマーの各ドン勝チームの挙動を確認してみます。

グループ①
round1 TSM 15:30in 4名生存
round2 SDV 15:50in 3名生存
round3 Ahq 15:30in 4名生存
round5 SDV 15:30in 4名生存
round6 GNS 15:30in 4名生存

グループ②
round1 entusA 15:30in 4名生存
round2 FaZe 15:30in 4名生存
round3 SKT 15:30in 4名生存
round5 TS 15:30in 4名生存
round6 Gen.G 15:30in 4名生存

敗者復活戦
round1 VC 15:30in 4名生存
round2 AG 15:30in 4名生存
round3 TL 15:30in 4名生存
round5 GEX 15:30in 4名生存
round6 RED 15:30in 4名生存

なんと15回のドン勝のうち、15分30秒の円に4名生存でアプローチしていないチームは1チームしかいません。それくらい大事な指標ということになります。

仮説3 そもそも15分30秒まで生き残れていない

ここでLiquidの各ラウンドでの15分30秒のアプローチを観ていきます。

round1.
序盤からスプリットして中央を広くとるも、ことごとく円には嫌われて15:30でのINには失敗してしまい移動が必須となりました。この時空いていた家屋に即移動していれば円に入ることが出来たのですが、1分ほど待機してしまい、入れるはずだった箇所をSDVに奪われてしまいます。この場所は直前までEntusForceが確保していた箇所だったため、仕方ないと言えば仕方ないかもしれません。

round2.
拠点確保のタイミングがたまたまLZRと被ってしまい、インファイトで撃ち負けてしまいます。他チームからの横やりもあったため、これは不運があったと言えます。

round3.
位置取りが悪く、15分手前に大きく集中砲火を受けて全滅してしまいます。先に円に入っていたにもかかわらず、あとから入った2チームの包囲を受けてしまいました。

round5.
14:00ごろ、またもや円に嫌われましたが先でスプリットしていたDTNに対して突撃をしかけ、15:30での4名生存を達成します。その後も安全な円へのアプローチは諦めてWclickの拠点に再度突撃、このラウンドはキルポイント4点、順位ポイント3点と躍進します。

round6.
15:30での4名生存は達成しましたが、円への侵入はルートが取れない状態でした。

5ラウンドのうち、3回15分30秒での4名生存を達成しています。エランゲルでの15分段階の平均生存人数は51名前後のため、だいたい人口の20%が死亡することを考慮した場合、大きくミスがあったとは思えません。5ラウンドあれば、平均4ラウンドで4名生存が期待値です。とはいえ、4名生存の状態で移動せずに15分30秒の円に一度も入れなかったということは、運が良いとは言えない状態だったというのは間違いでは無いでしょう。

仮説4 運が悪い状態での動きが悪かった

これが結論です。グループリーグのエランゲル、ミラマーともに、ドン勝があり得る状態で15:30を迎えることは一度も出来ませんでした。つまりこの時点で、ドン勝を見据えたアプローチでなくキルポイントを稼ぐアプローチを行わなければ勝ち目はないのです。

グループステージでの敗因は、round1とround6にあるはずです。round2は円が南の島に寄り、カオスでコントロールの難しい状態でした。round3はほぼ同時に移動箇所が重なってしまいました。しかしround1とround6では中途半端な戦闘をしてしまい、ポイントを取れずにデスを重ねてしまうという一番やってはいけない動きをしてしましました。そして敗者復活戦でのミラマー2戦では、15分30秒での4名生存を達成することができず、にも関わらずスプリットを展開して各個撃破され、キルポイントを稼げずに終了してしまっています。

結論 プランの分岐点のあるチームが勝ちあがる

運命の別れ道となった敗者復活戦、ミラマーラスト2戦では、勝ち上がりを決めたSunsisterとINFANTRYの動きがLiquidと対照的な動きでした。

ラウンド5では、15:30でのサークルインに絶望的だったSunsisterはドン勝を諦めた動きをします。(諦めていなかったらすいませんです…)サークルインなどお構いなしに、G2とQMが戦闘を開始した瞬間に車で突撃を仕掛けます。最終的に一人まで削られて全滅したSunsisterでしたが、ここで稼いだ3キルポイントが無ければ敗退していました。

ラウンド6でも同様に、15:30でのサークルインが絶望的だったINFANTRYは、なんとか後発で入れるポジションを見つけて、そこから自分たちより都合の悪そうなチームに当たりをつけて狩りを開始します。大外で戦闘を行っていたAGとNVが、戦闘終了後に満身創痍でサークルインしてくるのを待ち構えるプランを立てました。INFANTRYは最終的に6キルポイントを稼ぎ、ギリギリで決勝ラウンド進出を決めました。

またこの二チームは、グループステージ、敗者復活戦ともにsanhokでもキルポイントを稼いでいます。インファイトでポイントを安定供給するという選択肢を持っていたチームであるというのが良くわかります。

とはいえ、Liquidも同様にファイト出来ない、撃ち合いの弱いチームなのかといえば決してそんなことは無いでしょう。インファイトでの火力、ではなくプランそのものが大きな決定打となったことは言うまでもありません。
つまり、泥臭くキルポイントを稼ぐのではなく、常にドン勝を狙う、もしくは順位ポイントを狙うといった動きがハマらなかった可能性があるということになります。合点がいかなくはありません。世界レベルになればクリアリングの精度や撃ち合いのレベルが上がります。少数になってから生き残る術や、スプリットした状態でも生存し続けるのは難しいのかもしれません。

次の準決勝ラウンドでも、「ドン勝が取れないならキルポイントを稼ぐ」がテーマになるように思えます。SunsiterとINFANTRYの海賊ムーブメントに期待です!

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