スパイスとジャワーン
インド&アジアン食材の店にふらっと入ったら、インド人の店員さんが「どうぞ見てって!」とすっくと立ち上がった。
劇場近くのお店だったので、
「これから映画?」
と訊かれ「そうです」と答えると、
「まだまだ寒いから映画観るのにもこれいいよ!」
「こんなに大きくて安いの」
「巻いてみて」
と、あれよあれよと可愛い大判ショールをくるくると首に巻きつけられた。
あったかい。可愛い。しかも2500円という破格の安さ。
しかし巻き物(呼び方よ)は間に合っているので食材を見させてもらう。
すると今度は胡椒瓶サイズのスパイスを手に取り、
「このスパイスは何にでもかけられるよ!」
と 見せてくれた。
「味見してみて」
手を出してと促され刹那躊躇ったのは間違いないが、人生で初めて、手のひらに乗せられたスパイスを舐めて味見した。
ペロッ。
う、うまい。
塩気も効いているが、華やかな香りが鼻を突き抜けてうまい。
唐揚げにかけたら絶対うんまい……。
「サラダにかけてもいいしフルーツにかけてもいいし、何にでもかけられるよ」
「これ買ったら、次またこれ探しにくる」
自信ありのスパイスのようだった。
見れば一瓶200円ちょっと。よし買った!それも二本ね。
タンドリーチキン用のスパイスキット、甘いお菓子、本格レトルトカレー、たくさんのクラフトビール、スナック菓子、小さなお店ではあるものの、お店一周分、売っているものと特徴・オススメすべて説明してくれた。
平日のど昼間の暇な時間帯、ロックオンされただけといえばそれまでだが、ホスピタリティとフレンドリーさに感動してしまった。
スパイスとスナックとカレー、まんまと購入したけれどそれぞれのお値段も懐に優しい。
なにより、
「インドの映画もたまに観る?」と訊かれて
「この前『ジャワーン』観ました。すっごく面白かったです!」
と答えたら
「面白いね!あれはみんな好き」
と答えてもらったのが嬉しかった。
自分に置き換えたら、突然海外からの旅行客に日本映画を褒められても何とも思わないのかもしれないけど、本国の方にその国の映画の感想を伝えられるのって嬉しいもんだな。これは忘れないでおこうと思った。
「映画終わったらチャイもあるよ!(店内にイートインスペースがあった)」
と言ってもらったけど行けなかったので、また今度足を運んでみようと思う。
ちなみに今、買ったスナックを食べながらこれを書いてるけど結構辛い。
「これは子どもでも食べられる辛さ」
というのはインド基準という盲点……。
しかし辛うまい……うま辛い……。