
【能登半島地震】寄付先っていろいろあるけど何が違うの?
支援業務と自分の生活再建のため書く時間が取れなくなっています。このためしばらくの間、@Nahomamamuu さんに校正や編集をお手伝いいただいています。ありがとう。
地震発生から100日が経過しました。壊れた建物はほとんどそのままですが、自然の力は偉大です。
草木が芽吹き、桜も咲き奥能登にも春が来ました。

自分の家はボロボロのままですが、庭にはふきのとうやつくしなど、去年と同じ春の景色が広がるのがなんとも言えない気持ちになります。
桜の木は全く何事もなかったかのように咲き誇り、 被災から変わらなかった風景を彩ってくれます。

去年撮影した私の住む集落の春の写真とだいたい同じ場所から写真を撮ってみました。


今年は仮設住宅の建設ラッシュですね。
来年には建物の公費解体も進むので、また違った風景が広がるんでしょう。
私たちも遅まきながら生活再建モードに入っています。とはいっても協力してくださる方や先立つものがなければここから先へはなかなか進めません。
そんなわけで、今回は寄付金や義援金の話をしたいと思います。
たくさんの寄付をありがとうございます
震災以来、全国の多くの方から寄付をいただきました。本当にありがとうございます。 またたくさんのボランティアの方にも入っていただき、いろんなご支援をいただいています。本当にありがたい限りです。
私の周囲でも何か支援をしたいというお申し出をたくさんいただきました。 それと同時にどこに寄付をしたらいいんだろうといった相談もたくさん頂いています。
たくさんの寄付先がありますが、どこに寄付をするかによって何が変わるのでしょうか。
支援金と義援金の違い
寄付には大きく分けて義援金と支援金があります。 義援金は被災者に直接届くお金になります。 多くの義援金は入り口がどこであろうと最終的には都道府県に送られ、都道府県で配分が決められて被災者の口座に届きます。
石川県などの被災地の自治体や赤十字などが募集しています。
支援金は被災者に直接届くのではなく、被災者を支援している団体に配分されます。 例えば私たち公益財団法人ほくりくみらい基金にいただいた支援金は、 炊き出しや緊急支援物資の調達、簡易井戸の掘削、復興拠点の整備といった民間のボランティア活動を行っている団体に審査の上で配分されています。
たまにインターネット上で、中抜きされる支援金ではなくそのまま被災者へ還元される義援金のほうがいいよ、と言う声を聞きますが、実はそう単純なものではありません。
現金が被災者に直接配布されますが、被災者がそれを何に使おうと自由です。極端な話私がいただいた義援金でパチンコに行っても全く問題はありません。 そんな余裕は全くありませんけどね。
あと、公平な配分のために、都道府県で一定期間プールをして、しかも配分の方法についても充分検討されるため、被災者のもとに届くまでかなりの時間がかかります。
このため、義援金は何回かに分けて何年もかけて振り込まれることになります。
石川県の場合は、1番最初の義援金が 先月の後半から今月にかけて被災の全市民に5万円が振り込みされているところです。
今後は、被害の状況に合わせて配分状況が変わってきますが、それだけに時間がかかります。
ところが私たち被災者は今が一番お金がありません。
被災直後は避難しなければいけないし、引っ越しもしなくてはいけません。それによって職を失ってしまった方もたくさんいます。 しかし義援金が届くのはずっと後になってからなので、 ほとんどの方は、3月までは収入がないまま数十万円がでていっている状態です。
このため、支援物資や炊き出しがすごくありがたいのですが、これらを行ってくれる団体もまたボランティアです。
もちろん、自衛隊など公的な支援もありますが、 各自治体が被災直後は機能回復していないことと、 被災者の数があまりに多いため、最低限の生命を守るレベルでの物資提供以外の炊き出しや物資支援は、多くが民間ボランティア団体によるものとなっています。
支援金はこういった民間ボランティア団体に配分されます。 どういった団体に配分されるかは、支援金を寄付した寄付先の判断となります。
例えば、ほくりくみらい基金の場合は、 石川県のコミュニティ財団という成り立ちから、石川県を拠点に今現在被災地での直接支援の活動をしている団体に対し、できるだけ早くきめ細かく助成すると言う方針で団体助成を行っています。
発災以来、とるものもとりあえず現地に飛び込み様々な支援活動を行っている団体は、すぐに資金が枯渇します。
そういった団体にとって、支援金による助成は継続的な支援活動を行うにあたっての大きな力となっています。
支援金は中抜きされてる?
支援金は多くの場合、運営費が差し引かれたうえで助成先へ助成されます。 ネット上で見受けられる「中抜き」と呼ばれる事象はたぶんこれを指しているのだと思います。
運営費で何をしているのかと言うと、情報収集と助成先の決定と助成したお金がちゃんと使われていたかの確認です。
私たちの場合は、今までに延べ60団体に助成を行っていますが、すべての団体に対して審査をかけています。
審査会は、最初の2ヶ月ぐらいはほぼ毎日、その後は1週間に1回位の割合で行い、 審査のための情報が不足していれば当然その確認も行います。
また、審査方法が偏らないよう、外部の有識者に審査員として入ってもらったり、 申請する時間や手間が取れないという団体のために、いろんな方法で申請をお手伝いすることもあります。
また、助成先の団体に対しては様々な方法でレポートをしてもらったり、会計報告をしてもらったりしています。
私達は運営費として寄付の中から15%をいただいていますが、正直足りません。 とは言え、出来る限り支援団体に助成したいと思っているのでなにとぞご理解をお願いします。
このほか使い方を指定できる寄付の方法としては、返礼品無しのふるさと納税や各種のクラウドファンディングもあります。
(ふるさと納税は義援金として使われるものや支援金として使われるものがあります。それぞれの自治体でご確認ください)
支援金については、たくさんの団体が寄付募っていますので、自分のお金がどう使われるのか、ぜひ関心を持って選んでいただければと思います。
税金が返ってくる寄付金について
寄付金の中には、税金が返ってくる性質のものがあります。(正確には払った税金の中から寄付の分の全額もしくは一定割合が控除されて差し引かれて戻ってきます)
どういった寄付が控除の対象になるかと言えば「特定寄附金」に該当するものであれば寄付金控除の対象となります。
・「著しい被害が発生した地方公共団体」に対して直接寄附した義援金
・日本赤十字社の該当の災害義援金口座へ直接寄附した義援金
・認定NPO法人に対し被災者支援活動に特に必要な費用に充てるために行った寄附金
・公益社団法人又は公益財団法人に対し、被災者支援活動に特に必要な費用に充てるために行った寄附金
などがそれにあたります。 ほくりくみらい基金は公益財団法人なので、寄付金控除の対象団体です。
ただし対象団体ということは、それだけ公共性を大事にしなければならず、事務作業や審査を厳密にしないといけませんので、運営費もかかってしまいます。
自分の寄付したい先が寄付金控除の対象となるかどうかは、 ウェブサイトなどから問い合わせて確認してください。
また、寄付金詐欺に合わないと言う観点では、こういった控除対象の団体の中から寄付先を選ぶという手もありますね。
ちなみにどれぐらいの金額まで控除になるのかという計算は便利なシュミレーターがありますので使ってみてはいかがでしょうか。
緊急助成はまだまだ募集中です
公益財団法人ほくりくみらい基金では、引き続き災害支援基金への寄付を募集中です。
1月から継続的に災害支援活動を行う現地のNPO等の活動団体への助成を行っています。
緊急期のみならず、復旧期・復興期まで、中長期的な支援を行います。
どういった団体のどういう活動に助成しているかはこちらのページをご覧ください。
ボランティアしたいと思っているあなたへ
公式のボランティアの受入も始まりましたが、まだ人数もかなり限られます。
とはいえ、障害物で入ることもできない家、雨で濡れてゆく家財と被災者の支援も急を要しています。
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現場はとても厳しいので条件は多いです。よく読んで応募くださいね。
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