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能登半島の現在地と年末のご挨拶

ご無沙汰してます。

奥能登にまた冬がやってきました

また大雪かとビビりましたが、このときだけでした

長い間noteを書くのサボってました。
元旦の発災以来アドレナリンが出まくっていたのか結構猛烈な勢いで動いていましたが、ゴールデンウィーク位あたりで気が途切れてしまったようで、心身ともに疲れが急激に出てしまい、寝込むことも増えてnoteもそのまま書かずに今まで来てしまいました。
コメント欄などで続きを要望してくださった方ありがとうございます。

私は7月にみなし仮設として契約していた志賀町のアパートを出て、輪島の三井に戻りました。とは言っても全壊した自宅ではなく、プレハブの仮設住宅です。

住んでいる仮設住宅、9月豪雨で「これちょっとやべーんじゃね?」と言っていたとき

仮設住宅は狭いので、最初はこんな台所でまともに料理なんかできないなと思っていたのですが、慣れとは凄いもので普通に3食自炊できてます。人間の適応力って凄いですね。

奥能登全体がそうですが、近所は公費解体が進んでいて、うちの集落の並びは3分の1程度の建物が既になくなって更地になっています。

近所の公費解体済みの土地、1年前はびっしり家が建ってました

私の家も先週から解体準備に入りました。おそらく1月中旬ぐらいには更地になっていることと思います。
この集落には30件くらいの建物が並んでいますが、25件ぐらいは取り壊しになるんじゃないでしょうか。
今まで見えなかった景色が見えるのが寂しいですね。

遠くから訪れる人には、壊れた建物が目立つので全然復興進んでないなと見えるようですが、住んでいる私たちから見れば、毎週のように建物が消えていくのでむしろ早いペースに感じます。

解体してくれないと次のステップに進めないので夏あたりは早く解体してほしいと思っていたのですが、いざ解体業者から電話がかかってくると、もうちょっと待ってほしいと思ってしまう自分もいたりします。

道路もまだまだ片側通行や迂回路ばかりですが、その迂回路のカーブも毎晩の工事で日に日に緩やかになっていき平均速度も上がってきました。
ようやく金沢まで震災前の1.3倍程度の時間で行くことができるようになりました。

秋ぐらいまではコンビニエンスストアでさえ19時で終わっていて、夜は全くものが買えない状況でしたが、今は22時くらいまではどこか空いています。
ほとんどのスーパーもほぼ平常の営業に戻り、日常生活を送る上では不便な事はなくなりました。

豪雨もありましたから、場所によってはまだ水道の来てないところや、雪が降れば孤立してしまう地域も残ってはいますが、奥能登の大部分は仮設住宅に住みながらではありますが、日常生活を送れる状況になっています。

みんな自宅の再建や子どもの教育など重いテーマを抱えつつ、それなりに暮らしているのが最近の状況です。

来年は復興元年?

さて、馳知事によれば、来年は復興元年とのことです。
今年は復興してなかったのかよ、とかいろんなことを言われていますが、基本的には私も来年からが復興と思っています。

言葉遊びみたいなものなので復旧と復興の境目は人それぞれですが、今年は壊れた道路を応急的に復旧し、破れた水道管をつなぎ直し、電柱の傾きを直し、壊れた建物を取り壊す1年でした。
新しい建物はたくさん立ちましたが、全て仮設建築物です。なので新しいものを作り出すという意味では年明けからが本番ということになります

では、人の暮らしはどうかと言うと、今年はまず家がなくなりライフラインが全て途絶したところから始まりました。
私たちは元旦の夜、水をどうしようと言うところからはじまり、寝るところどうしようとなり、翌朝トイレどうしようという問題に直面しました。

介護にも通じるものがありますが、人の自立には順序があります。
まず自分の口で食べられること。その次は自分の足でトイレに行けること。それができたら次は自分で買い物ができること。
そしてその次は自分で生産的な活動ができること、ここまでたどり着いて初めて自立と言えるかと思います。

今年はほとんどがいただくだけの年でした。
炊き出しをいただき、仮住まいをいただき、着る服をいただき、家電製品をいただき、当面の生活費をいただき、半年以上経ってようやく買い物ができるところまで戻りました。でも、その買い物をしているお金は支援金や義援金でという人も珍しくありません。

人はそれぞれ役割があります。働いてお金を稼ぐ役割、みんなのご飯を作る役割、家庭菜園で野菜を作って近所に配る役割、誰よりも早く噂を聞きつけて近所に広める役割、歌って踊ってみんなを元気付ける役割、
普通人は何かのコミュニティーの中にいて、その中で役割を持ってそれを生きがいに暮らしています。

奥能登は、買い物まではできるようになったけれど、人それぞれが自分の役割を取り戻して活動しているかと言うと、まだそこまでは行けていません。
来年はみんながそれができるような環境ができるといいなと思いますし、私自身も自分の役割をきちんと作りたいと思っております。

今年1年本当にいろんな方のご支援をいただきました。ありがとうございました。
引き続き能登に関心を寄せていただければ幸いです。

来年もよろしくお願いします。


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野水克也(nominomi)
今は寄付ページへの寄付をお願いしていますが、こちらも気に留めていただきありがとうございます。 この先どうなるかわかりませんが、サポートいただけましたら、被災地支援活動がおちついたら自分自身の生活再建に使わせていただきます。