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【回文〆日記】 #38 春の夜の愉しみ

5月の
晴れた日の
日没後の空気は
なんて
いいにおい
なのだろう。

毎年
この時期


洗濯物を干しに
ベランダに出ると

かなりの新鮮さで
そう思う。

すっきり青く
すずやかで
ほのあまい
あのにおい。

昼間はなぜか
あのにおいを
感じない。

夜ならではの
なにか
なのかもしれないし

実は
昼も漂っているけれど
嗅覚より視覚聴覚が
優位になっていて
気づかないだけ
かもしれない。


梅雨入り前の
乾いた日は

年間を通して
湿気の多い
北陸に住んでいると

とても貴重で
すがすがしい。

そんな日に
新緑の力が
発揮されると

あの
いいにおいに
なるのではないかと
ふんでいるが

ほかにも
活動期の命から
発せられるものが
複雑にからみあって

あんな
独特のにおいに
なるのかもしれない。


ほんとうに
いいにおい。

だいすきだ。

自然が多い
郊外に
住んでいるから

なおさら強く
感じられるのだろう。

何度も
鼻に
屋外の空気を
通過させ

お気に入りのにおいを
存分に楽しむ。

期間限定であることを
心から惜しみ

来年までの分を
たくわえられたらいいのに
と思いながら

くりかえし
深く
吸い込む。


昨夜は
晴れた空の下
満月を眺めながら

心ゆくまで
愛する
においを
堪能できて

大満足。


田舎、春、宵、良い。夜、儚い。
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