【ゲームエッセイ】おきのどくですが ぼうけんのしょ は きえてしまいました
「ドラゴンクエストビルダーズ」のセーブデータが消えた。いや、正確に言うとオートセーブだと思って電源を切ったら、セーブされていなかった。
まさかスキップできないチュートリアルを二回も味わうハメになるとは。ただでさえ「ドラゴンクエストライバルズ」のリセマラでチュートリアル漬けだというのに。たいまつの作り方なんかより、オートセーブじゃないことぐらい教えてくれよ、大地の精霊ルビスさま。
くだらない逆ギレに文字数を費やすつもりはないけれど、いまやオートセーブのゲームがほとんどでセーブの重要さを忘れていた。
10年前、20年前のゲーマーにとって「セーブ」は、親に顔を見せることや墓参りよりも忘れてはならないことだった。だらだらしながら画面もろくに見ず「FF」を遊んでいたら、いつの間にか死んでいて数時間がパー……。こんな経験、みなさんも一度や二度は経験されているだろう。しかもタチの悪いことに昔のメディアはこまめにセーブしても、よくデータが消えた。
ボクが小学校時代に狂ったように遊んでいたゲームは、GB版「テリーのワンダーランド」だ。モンスターを交配させてより強いモンスターを誕生させる配合システムが、ボクを引き込んで離してくれなかった。友人のKとボクは、どちらが先に最強のモンスター・ダークドレアムを配合できるかを競い合っていた。
ボクは攻略サイトを見て最速でダークドレアムへの配合順を導きだすという、たいへん大人げない作戦を実行したため大幅にリード。グフフ、このまま一直線でダークドレアムを手に入れて、Kの悔しがる顔を見てやる。と興奮したクソガキ改めボクは、その場でゲームボーイアドバンスSPを持ちながら小躍りした。
その時、ボクの手からゲームボーイアドバンスSPはするりと滑り落ち、本体は床に直撃。「本体が家の床に落ちたくらいでデータが消えるもんですか」とお考えのそこのアナタ、SPにゲームボーイのカセットを差し込むと、カセットの半分以上が本体から飛び出す状態になるのをお忘れなく。
案の定消えているデータ、カーソルはむなしく「はじめから」を指して佇んでいる。結局、またはじめから遊んでダークドレアムにはたどり着いたものの、Kとの競争は敗北に終わった。敗北の苦渋は、苦かった。
オートセーブは便利だ。それに100時間、200時間と遊んだオープンワールドゲームのデータがそう易々と消えちゃ困る。でも、セーブデータが消える体験も今となってはいい思い出だな……と思ったけど、「ドラクエビルダーズ」のデータ返せよ！ルビスさまのばか！
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