第13期ヴィンテージ神決定戦の調整録~墓荒らし~
お久しぶりです。わきをです。
この度第13期ヴィンテージ神決定戦に参加し、幸運にも入賞する事ができたため、本大会の調整内容を残したいと思い、本記事を執筆しました。
お見苦しい点もあるかと思いますが、よろしくお願い致します。
1.墓荒らしの型
そもそもヴィンテージにおける『墓荒らし』デッキとは、青黒緑の優秀な低マナ域のクリーチャーを、カウンター・除去・ドロースペルを用いてバックアップするデッキの事です。また【不毛の大地】やアンチアーティファクトのカードが採用されており、マナ否定戦略の側面も持ち合わせているのが一般的です。
『墓荒らし』には大きく分けて二種類の型があり、ボブ型とよばれているものと、探査型と呼ばれているものがあります。どちらの型もデッキの根幹となる戦略は同じですが、アドバンテージをとるカードの選択に大きく差があります。
1.1.ボブ型
ボブ型は上記の画像のように【闇の腹心】をアドバンテージ源として採用しているタイプです。
他フォーマットとは違い、ヴィンテージ環境においてはクリーチャー除去が極端に少ないため、一旦場に定着した【闇の腹心】は延々とアドバンテージを取ることができます。また当然ながら【闇の腹心】はクリーチャーであるため、毎ターン2点クロックとしても活躍できます。【Mox】等を経由して、1ターン目に【闇の腹心】をプレイできると、相手に早急な対応を求める事ができます。
一方でアドバンテージを得る際に失うライフは不確定要素が高く、マナコストの高い【意思の力】が4枚入っているため、思わぬダメージを受けがちです。そして【闇の腹心】のタフネスが1であるため、【歩行バリスタ】や【若き紅蓮術士】のトークン等、天敵も存在します。またこの型はどうしてもブルーカウントが少なくなってしまいがちになり、【意思の力】をピッチで打ちづらい状況になる事もあります。
1.2.探査型
探査型は上記の画像のように探査を持つアドバンテージスペル【宝船の巡航】と【時を超えた探索】を採用しているタイプです。
探査の呪文を唱えるため、使いきりのソーサリーやインスタントの比重が増えています。またボブ型と比べて安定性が高く、ブルーカウントも25枚前後と十分な数を確保できます。またこの型は、ボブ型よりミッドレンジ~コントール寄りの展開となりがちです。
しかし安定性が高いというのは、爆発力に欠ける事の裏返しであり、再序盤から大きなプレッシャーをかける事はあまりできません。また最近流行りの【アゾリウスの造反者、ラヴィニア】や【覆いを割く者、ナーセット】が場にいると、ドロースペルが極端に弱くなったり、そもそも唱えれない状況に陥ったりします。
1.3.型のまとめ
ボブ型と探査型のメリット・デメリットは上記の通りです。たまに【闇の腹心】と【宝船の巡航】・【時を超えた探索】を併用している型もありますが、非常に不安定なため、私は使っていません。
2.今回のリスト
第13期ヴィンテージ神決定戦に参加したリストは、上記の通りです。今回はボブ型を選択しています。
ボブ型を採用した理由として、やはり【アゾリウスの造反者、ラヴィニア】や【覆いを割く者、ナーセット】の存在が気になったためです。後述する『ドレッジ』や『サバイバル』デッキの躍進により、それらに刺さりやすい上記2種のカードの使用率が上がると思い、ボブ型としました。
また【闇の腹心】は『MUD』系のデッキが使う【歩行バリスタ】に極端に弱く、このマッチでは不要牌になりがちですが、モダンホライゾンで追加された【活性の力】や【溜め込み屋のアウフ】で『MUD』系のマッチアップは十分にカバー可能である事が判明した点も大きいです。
2.1.メイン
メインボードの構成はモダンホライゾンのカードが採用されている以外はオーソドックスな構成であると思います。
プレインズウォーカーに関しては、【精神を刻むもの、ジェイス】を二枚とるか、【覆いを割く者、ナーセット】を入れて一枚ずつの構成にするか悩みましたが、【覆いを割く者、ナーセット】はアドバンテージを得つつ(クリーチャーの多いこの構成ではスカる事もありますが・・・)、『MUD』系のデッキ以外には場に出るだけで大きな影響力があるため採用しました。【悪魔の教示者】があるためサーチ用に1枚ずつにした側面もあります。
2.2.サイド
サイドボードの構成は、今までのカードと大きく変更しています。今まで墓地対策のカードと言えば、『ドレッジ』や『サバイバル』の動きを止めつつ、『オース』の対策にもなる【墓堀りの檻】が一般的でした。しかし【墓堀りの檻】では、モダンホライゾンで追加された【活性の力】で簡単に対応されてしまうという事が判明したため、置物ではなく呪文やクリーチャーで対策しようとなりました。
墓地対策の合計枚数は5枚で、『サバイバル』戦で有用な【外科的摘出】が2枚、『ドレッジ』戦で有用な【貪欲な罠】が1枚、どちらのマッチでも有用だが少し遅い【イクスリッドの看守】が2枚、という構成にしました。
【外科的摘出】と【貪欲な罠】の枚数は最後まで悩みましたが、デッキとして不安定な『ドレッジ』よりも『サバイバル』の方が勝ち上がる事が多いだろうという考えと、『ドレッジ』戦は【死儀礼のシャーマン】、【不毛の大地】、【瞬唱の魔導士】と組み合わせる事で【外科的摘出】でも対処可能であると結論付け、これらの採用枚数としました。(『ドレッジ』側が7枚キープだと【外科的摘出】ではとても対応できませんが、それは他の墓地対策カードでも同じ事が多いので、そこは割り切りました。)
他に珍しいカードと言えば【マナ喰らいのハイドラ】が採用されている事でしょう。【マナ喰らいのハイドラ】は横に伸びる【僧院の導師】とは違い、縦に伸びるため単体除去に脆い面もありますが、相手の呪文でも大きくなる特徴があります。このカードは主に【戦慄衆の秘儀術士】をベースとした青赤系のデッキの対策です。
【戦慄衆の秘儀術士】デッキの除去は【稲妻】が多いため【マナ喰らいのハイドラ】は除去されにくく、相手が呪文を連打させる事を躊躇させる事ができるため採用としました。また放置していると3ターンほどで手が付けられないほどのサイズになるため、クリーチャー同士でコンバットしあうデッキにもサイドインします。
3.大会備忘録
第13期ヴィンテージ神決定戦の挑戦者決定戦は、6/22(土)の朝から開催のため、6/21(金)の夜に夜行バスで大阪を出発し、当日東京に到着しました。その後夜行バスに乗った際にいつも利用する朝風呂に赴き、朝ご飯を食べて、高田馬場に向かいました。この朝風呂は御茶ノ水駅近くにあり、とっても便利のため、紹介しておきます。
3.1.予選ラウンド
■1R:Bye
幸運なことに自然Byeスタート。
■2R:サバイバル
1G:後手スタートのところに、1ターン目に【Bazaar of Baghdad】から【日を浴びるルートワラ】×2、【復讐蔦】と展開される。こちらも何とか【不毛の大地】や【タルモゴイフ】で応戦するも、早い段階でライフを詰められた事が敗因となり負け。
2G:お互い【死儀礼のシャーマン】が並び、【タルモゴイフ】と【復讐蔦】がにらみ合う展開に、こちらが展開力とライフで負けているところに【毒の濁流】を何とか引き、盤面を【タルモゴイフ】だけにして勝ち。ただ相手のプレイングが最適やったら恐らく負けていたはず・・・。
3G:相手が【Bazaar of Baghdad】スタートするも、引きや展開が弱く事故気味(いわゆるバザーキープ)のところを【タルモゴイフ】でビートしつつ、【死儀礼のシャーマン】で蓋して勝ち。
■3R:青赤緑コントロール
1G:先手ワンマリ後、相手【不毛の大地】+【レンと六番】にハメられて負け。
2G:微妙ながら7枚キープするも、キープ基準になった【トレストの使者、レオヴォルト】があっさり除去られ、【戦慄衆の秘儀術士】に呪文を使い回され、アドバンテージでも差を付けられて負け。
■4R:白青赤コントロール
1G:こちらのマナ基盤となる土地やMoxを、【不毛の大地】や【断片化】でことごとく潰されて負け。
2G:記憶にないものの普通に勝ち。
3G:相手が基本地形を採用していない事が分かったので、【マナ喰らいのハイドラ】を展開しつつ、【不毛の大地】や【暗殺者の戦利品】で相手の特殊地形を割りまくって勝ち。
■5R:ヘルムDD
1G:初手から【虚空の力線】スタートされ、【演劇の舞台】と怪しい展開されるも、【暗黒の深部】をコピーした【演劇の舞台】の生贄能力が誘発した時点にきっちり【暗殺者の戦利品】をプレイする等丁寧なプレイングを心がけて勝ち。
2G:今回も【虚空の力線】スタートされる。【演劇の舞台】を基本地形にコピーされる前に【不毛の大地】で破壊と、一つずつ丁寧にプレイして勝ち。レガシーでの『ダークデプス』戦の経験が活きました。
■6R:オース
1G:相手いきなり【Mox】連打と【禁忌の果樹園】から【ドルイドの誓い】をプレイ、これには【意思の力】で対応する。【禁忌の果樹園】を【不毛の大地】で割ると、相手がそのまま事故となり、もらったトークンやその他クリーチャーでビートダウンして勝ち。
2G:相手ワンマリガンスタートするも土地と【Black Lotus】で【精神を刻むもの、ジェイス】をプレイ。ここも【意思の力】で対応する。すると相手が数ターン土地をプレイできずに、事故ってるうちに盤面を整えて勝ち。
■7R:ID
8位までが15ポイントで、9位以降が12ポイントだったのでIDでSEへ。
3.2.SE
■SE1:ドレッジ
1G:相手7枚キープのうえ、こちら後攻のため何もできずに負け。
2G:こちら先攻で5枚キープ、相手2枚キープスタート。初手に【死儀礼のシャーマン】と【不毛の大地】があったため、相手に一回の【Bazaar of Baghdad】起動を許すも【死儀礼のシャーマン】での蓋が間に合い勝ち。
3G:こちら後手で5枚キープ、相手3枚キープスタート。こちらの初手には先ほどと同じく【死儀礼のシャーマン】と【不毛の大地】セットがあるが、相手が先攻のため【Bazaar of Baghdad】の最低1回の起動を許しつつ、その捨てたカードの中に発掘用のカードがあると、墓地が肥えていく可能性が高いリスクのある初手でスタート。結果的に【ゴルガリの墓トロール】の発掘を2回許しましたが、サイド後のためか相手の自動リアニメイト用のクリーチャーの墓地への落ちが弱く、何とか【死儀礼のシャーマン】での蓋が間に合って勝ち。
■SE2:オース
1G:相手ワンマリガンの上、こちら先行で1ターン目に【闇の腹心】をプレイ。これが通ったので勝ったなと思っていると、相手の2ターン目に【修繕】から【鋼の風のスフィンクス】が出てきてしまい、対処できずにそのまま負け・・・。
2G:初手の土地はフェッチランド一枚のものの、【定業】と【精神的つまづき】があり、2マナ域も【闇の腹心】があったためキープ。【定業】をプレイすると土地はないものの、【Mox Emerald】があったためそのまま貰う。次ターンには【闇の腹心】をプレイと考えていると、まさかの相手が【露天鉱床】スタート。フェッチから持ってきた【Underground Sea】が割られ、次の土地を引くま前に、相手に盤面を先に作られる。相手の【業火のタイタン】や【ドルイドの誓い】はなんとか除去して、トップ勝負に持ち込むものの、再度【ドルイドの誓い】をプレイされ、【パルン、ニヴ=ミゼット】が出てきて負け。
4.終わりに
第13期ヴィンテージ神決定戦は予選ラウンド5-1-1の、SE2没という結果でした。今回の大会は久しぶりに、きっちり75枚を調整し、各アーキタイプ別のサイドイン・アウトメモも作成した上で結果を残すことができて、とても満足感があります。
次回のヴィンテージの大きな大会は8月にあるエターナルウィークエンドアジアとなりますが、ロンドンマリガン適用後のため、恐ろしいメタゲームになるのではないかと、今から戦々恐々としています。
最後になりますが、今回調整を手伝ってくれた宅君(@terykathuragi)に感謝の意を表して、終わりにしたいと思います。
もし本記事で意見等あれば私のツイッターアカウント上で質問等をいただければ幸いです。
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