ノマドプロダクションの新体制と、ささやかなコロナ対応の意図
昨晩、法人化して7年目となった団体公式サイトのリニューアルを行い、団体のアカウントでnoteも開始しました。
サイトのお知らせには最新のトピックとして「新体制のお知らせ」「メンバー募集」「アートフリーランスエイド開始」を掲載させていただいています。それぞれぜひご覧いただきたいのですが、ここでは代表の橋本自身の言葉で、まとめてその意図をお伝えさせていただきます。
試行錯誤を重ねていた運営体制
橋本・及位・米津の3名のフリーランスが30代前半に立ち上げたノマドプロダクションですが、それぞれでの仕事を続ける志向やプロジェクト志向が強かったため、組織の成長よりも個を重視する、組合的なあり方を基にしたスタートでした(以下はお披露目的なパーティ)。
そうはいっても芸術祭・アートプロジェクトブームの最中。法人がひとつでき、そこに人材(あるいはその情報)が集まっていることが明らかになると、ありがたいことに様々な団体様から相談をいただく機会が増え、頼まれごとをまわすだけで手いっぱいの状態が続いていました。とはいえ年度単位でのお話も多く、まとまる話のものが頓挫して、プロジェクトチームの調整をせざるおえない場面に追い込まれたこともありました。
この分野の仕事は非常にやりがいもありますが、その分不安定なのは分かっていたことでもあります(橋本は法人化前にのべ5年間のフリーランス経験あり)。そんな中でもここまで何とかやってくれたのは、機会を見つけてお声がけいただいた方々はもちろん、メンバーである・なしに関わらず、限られた条件の中でうまくリソースを捻出いただき、志高く仕事に取り組んでくれたフリーランスの方々のおかげであると言っても過言ではありません。
やはりそれぞれが自立しながらも、個では得にくいビジネスチャンスや情報交換・学びの機会をえたり、時には実験的な活動に取り組んでみたり、困りごとがあった時に様々なレベルで助け合える場としてノマドプロダクションが機能するー。それが身の丈にあった、自分たちにとって持続可能な運営スタイルだと改めて認識しているところです。
一方で、理事に限らずメンバーでライフステージが変わる者、個人での仕事・活動が忙しくなる者も多く、足並みが揃いにくくなってきたという状況もありました。
そういったわけでここ1年ほど、見直しを進めてきた体制が今回のリリース内容となります。
志あるメンバーと「稼げないプロジェクト」を増やしたい
これまで正会員やアクティブメンバーという形で、フリーランスで働くプロフェッショナルを中心としたメンバー制度を運営してきました。今回からその前提を取り払い、「現代社会と芸術文化をつなぐ」志のある仲間をさらに募ります。
これは様々な取り組みを進める中で、意義のあるプロジェクトは必ずしもメンバーやプロの手だけから生まれるわけではないー。そうではなくとも、私たちのことを知る方々が持ち込む(あるいは自ら取り組む)現場も実に豊かに花開くことがあるーそれを実感しているからです。
それはプロの手のみによって生み出されるものよりも、様々な意味でコストがかかり、必ずしも稼げるものではないかもしれません。しかしそこにある可能性の芽も大事にしながら仕事・活動を続けられたらどんなに幸せなことでしょうか。普段から、そんなコミュニケーションを交わせるメンバーがいることで、よりたくさんの芽が花開くようになればいいなぁ、と思います。もちろん、プロ同士が安心してコミュニケーションできる場も引き続きつくっていきます。
ノマドプロダクションでは、メンバーや同業者をアサインして進める請負事業を「コーディネート事業」、メンバーや参加者が売上だけによらない価値を得られる事業を「ネットワーク事業(=稼げないプロジェクト)」と位置づけています。稼ぎを無くしてはネットワーク事業も立ち行かなくなるので誤解を招いてもいけませんが、よりこちらの充実をはかっていきたいと考えています。例えば勉強会や芸術祭ツアー、楽しいですよ(以下は例)。
核になる(かもしれない)フリーランス支援をできるやり方で
最後に、今回いちばんお伝えしたい、新プロジェクトについてです。5月に入り様々な自治体のアーティスト支援策などに加え、クラウドファンディングを活用してフリーランスを支援する「Arts United Fund」(発起人・ケイスリー株式会社 取締役 落合千華)が立ち上がるなどの動きも出てきています。
ノマドプロダクションが関わることの多い、芸術祭・アートプロジェクト分野でも実に多くのフリーランスの方が活動しています。そのそもそものあり方と重要性、現状の厳しさについては、このサイト上でも非常に明晰に数値・言語化されています。
自分が若かった頃のことを思い返しても、ただでさえ2,3ヶ月先が見えない生活をしていた時期がありますし、近年でも一時的に厳しいキャッシュフローに追い込まれることがありました。生活も心配ですが、心が折れてしまわないかが心配です。メンバーの中にも、影響を受けている方がいるようです。
今回に限らず、いざこのこのような状況が訪れると、困っている人は「○○円欲しい」とは言いにくい。「○○円なら応援できる」という人も、誰の肩をたたけばいいのか分からなかったりする。それを最短でつなぐようなことをしたいと思いました。
私たちも中長期的な収益の見通しがたてにくい中ではありますが、幸いにもランニングコストが小さい団体です。無理がない若干の予算を確保し、少額で対象は少人数ながらも(初動は遅くなりましたが)迅速な支援に挑戦します。共感いただける方は、これにオンしていただけたらとてもうれしいです。
できることをできるやり方と規模感で。原資(50万円)に加えられる資金と支援を受けたいフリーランスの方を募り、新理事3名の合議で支援者を決めていきます。いずれも顔が見える方々からが中心になるのでしょうが、「こんな人もいるのか」という新たなつながりもつくりたいです。
多くの方々の共感を呼び、支援策の存在を広く知らしめ、多くの人数へ公平に分配するという仕組みではありませんし、税制優遇措置もありません。しかし、だからこそできるやり方だとご理解いただければ幸いです。
noteや他のメディアの使い方
初回にして長めの投稿になってしまいましたが、今後noteでは、理事をはじめとするメンバーの声や、公式サイトで紹介する機会が減っていた各プロジェクトのミニレポート(特にネットワーク事業)を掲載していければと考えています。
公式サイト…主要なお知らせ、プロジェクトのアーカイブ
メールマガジン「ノマドのマド」…ノマドプロダクションからのお知らせや活動報告など
アートプロジェクトラボ通信…メンバー限定サービスとしてEDIT LOCAL LABORATORY アートプロジェクトラボとの協働によりお届けするアートプロジェクト情報やコラム
facebook…各種告知だけでなく、事務所に届いた寄贈資料の紹介なども
Twitter…各種告知中心、プロジェクト・メンバー関係のRTも。諸事情で5/12現在、ロックがかかっています
Instagram…芸術祭・アートプロジェクトの現場の雰囲気。ノマドプロダクション関連プロジェクトのPlaybackなど
2020年5月12日
一般社団法人ノマドプロダクション
代表理事 橋本誠