【レポート】働き方を考える会:「ART JOB」のいまとこれから
ノマドプロダクションでは、「仕事と生活のバランスをどのように両立させるか」「インボイス制度にどのように対応すべきか」など共通の悩みを持ち寄って話す。ゲストを招いて勉強会を行う。などの形で永遠のテーマとも言える「働き方」を考える場を設けています。
これまではメンバーのみで対話を行う会を中心にしていましたが、7月20日(木)は、ゲストに高山健太郎さん(アートプロデューサー/キュレーター)を招いてオンラインでお話しする会を設けました。その様子を簡単にレポートします!
高山さんのキャリアと「ART JOB FAIR」
はじめに、高山さんに自己紹介とART JOB FAIR立ち上げにいったた経緯をお話しいただきました。
1982年生まれの高山さんは、就職氷河期の時代に社会に出ました。高校時代に現代アートに出会い、ニューヨークに出て英語を習得しながら、音楽や美術のマネジメントに携わる道を模索されたそうです。日本(大阪)に戻って、自らギャラリー的な場をつくってみたり、働き口や経験値が積める場所を探しているうちにたどり着いたのが、当時(2004年)に地中美術館を開館しようとしていた福武財団のボランティア募集だったそうです。当初は短期間の参加を考えられていたそうですが、瀬戸内国際芸術祭の準備も始まる中でそちらにも関わるようになり、アルバイト→契約社員→正社員とキャリアを積むことができたそうです。
3.11後に瀬戸内には観光客が来なくなったり、観光に頼らない地域の文化芸術やまちづくりのようなことに興味が出てきていた頃に、財団の元上司に金沢で工芸を現代化したり、国際発信するような会社を一緒にやらないかということでそちらに転職。そこでは8年ほど経験を積んだ後、2021年に独立(株式会社artness)されたそうです。同時期に、コロナ禍で開催されていたアーツカウンシル東京が主催する「キャパシティビルディング講座」に参加。それぞれにキャリアを積んでいる16名の受講生の方々と半年間対話を重ねるうちに、美術系に限らず芸術文化関係のそれぞれの世界で、キャリアアップの問題や人材の雇用や育成の問題が共通していることに気づいたそうです。
それを受けて、講座で諸外国や日本の行政の取り組みも知る中で、民間の立場からできることはないかという視点でART JOB FAIRの立ち上げにいったとのこと。2023年1月の開催に続き、2024年1月の第2回開催へ向けてクラウドファンンディング中。ぜひ応援しましょう!
※ART JOB FAIRの概要や第1回の開催結果については上記のサイト内で紹介されています
メンバーからのコメントや意見交換
メンバーからは、ART JOB FAIRの現場に足を運んでみて、「日本で仕事を探している外国籍の人」「スーツを着てちゃんと就活に来ている学生」「カジュアルに情報を集めに来た人」「仕事を探しているわけではない関係者」など様々な人が参加していた様子が印象的だったというコメントがありました。
高山さんからは、「仕事を探している人をどのように集めるのかが難しい」「オンラインで行ったプレイベントも含めて、トークイベントの内容自体やゲストが魅力的に見えるようにした」などの苦労話もうかがいました。第2回は会場アクセスが東京駅から徒歩3分と便利な「東京ビル TOKIA 西側ガレリア」として規模も大きくし、より多様な出会いを提供できる仕組みを検討されているようです。
他には、それぞれが「ロールモデルにしてきた人や、影響を受けた人はいるか」「アートを支える仕事を続けている理由やきっかけはあるか」などのような話題が盛り上がりました。
メンバーも多様なプロジェクトに取り組んできた方が多いので、モデルというよりは影響を受けた人、という感じの方の名前が多く挙がりました。高山さんも「成功例というよりは、たくさんのロールモデルを紹介したい」と考え方をお話しされていました。
またそれぞれの仕事の指向として、「支える」というよりは、アーティストと共に新たな作品や場を作り上げるような、起業家精神のある人が多いのではないか、という話にもなりました。
高山さんからは最後に「キャリアオーナーシップという言葉がありますが、皆が自由なキャリアを描ける状況になっていけたらいい。そうなれば、面白い社会になるんだろうなと思います。」とコメントをいただきました。