薪の科学。
【大杉江戸古民家の里創生プロジェクト】
〜 広葉樹の薪✖️針葉樹の薪〜
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築170年の古民家をホテルにリノベーションするプロジェクト。
ホテル内の暖房設備。
ゲストルームは個別空調(ようするに家庭用エアコン)。
パブリックスペースは業務用エアコンとガスストーブ併用である。
けれど個人的には、暖房器具は「薪ストーブ」が一番好きだ。
ホテルの周辺一帯は杉林が広がる。
だから“燃料”は潤沢にある。
導入したかったが、コスト面と法規面で課題が多くかなわなかった。
せめて自慢の「大囲炉裏」では、大杉産の良質な木炭を大いに活用したい。
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ストーブに薪を焚べながら、ビールやオンザロックをちびりちびり呑む。
天板でバゲットやチーズを温め、また呑む。
その時間は誰とも話したくはない。
こうして薪ストーブの前一人、ぼぅっと過ごす冬の夜の幸せ。
男性諸氏ならきっと解ってくれると思う。
男は、無言でただただ火を見つめているだけで癒される動物である。
きっと、狩猟時代も男たちは夜、焚火を見つめながら今日の狩りの反省などしていたと思う。
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そこで、火力があって火持ちも良い薪が重要となってくる。
ホームセンターではなかなか揃わないが、薪の「大原則」がある。
まず「広葉樹の薪」は身が詰まっているので密度が高く、硬く、火持ちが良い。
だから、コナラ・クリ・クヌギ・桜などの材がベストである。
杉・マツ・ヒノキなどの「針葉樹の薪」は広葉樹に比べ、単位あたりの密度が低く、油分や空気を多く含んでいる。
油分でよく燃えるので、火起こしなどの「焚き付け」に適している。
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火持ちが良い広葉樹の薪ではあるが、マッチで直接火を付けることはなかなか難しい。
だから、最初はどうしても「焚き付け」が必要となる。
斧での薪の「割り方」としては、
・小割り(幅2〜3cm)
・中割り(幅7〜8cm)
・太割り(幅10〜12cm)
の大きく3種類がある。
薪を細かく割ることで 「表面積」が大きくなる。
表面積が大きいということは、「酸素と結びつきやすい」=「火が付きやすい」ということ。
よって、
【針葉樹の細い「小割り」は火がつきやすく、「焚き付け」に最も適している。】との結論が導かれる。
ロウソクならぬ「薪の科学」である。