迫りくる中ボス(締切が近いレポート)に冷や汗が止まらない男
十三時、いつも通りゲーム類で埋まる主戦場。
いつもと違うのはカーテンと窓が開いているから、部屋が明るくて風通しが良いところだ。
その中心で、ひげも伸びっぱなしで髪もぼさぼさなまま、黙々とノートパソコンを操作している男がいた。
「何をしているんだ?」
そう問いかけられた男は、相手のほうを振り向くこともなく抑揚のない声で答えた。
「見たらわかるだろ。課題だよ」
男の顔には、幾分か焦りが見られ、その様子もせわしなかった。
ディスプレイの端から端までせわしなく眼球を動かしている。
行き詰っているときには、机の端を指でトントンと子気味良く鳴らし、たまに、「もうやめだ!」そういいながら部屋を出ていっては、すぐに思い直して帰ってくるなどと、意味のない行動を繰り返していた。
誘惑とプライドバトルなど考える暇もなく、側にあるPS4に見向きもせずに、俺にしては珍しく真面目に課題をしていた。
なぜなら、締切が迫っている課題が多くなってきたからだ。
それに、昨日の日記で書いたとおりレポートの課題も二つあり、それらの執筆にも取り掛からなければならないのに他の課題で手一杯になっている現状を冷静に分析してみると、まずい(小学生並感)という結論に落ち着いた。
だから、柄にもなく課題消化祭りを開いていたのである。
解せぬ。
今日は十一時に起きた。アラームをつけなくても起きる時間は変わらないということが分かった。お役御免だ!
そして、父上が俺のためにアイスボックスを買ってきてくれた。さすが俺の好みを把握している。
だがしかし、アイスボックスに注ぐブツ(炭酸飲料)がない。
いつもなら、ジンジャーエールと化合させるが、今回は仕方がないので、近所の百円自販機にあるやたらでかい缶ジュースを採用した。
これが思った以上においしかった。俺が好きなアイスボックスの組み合わせで一位に食い込めるほどに病みつきになりそうだった。ただ一つ欠点は、ジンジャーエールは七十数円なのに対して、この缶ジュースは百円もするということだ。
俺はランキングからこいつを外した。