2限から眠れる獅子の超健康意識高い系大学生
今日は地獄の週に一度の対面授業の日だ。
いつも通り、2限3限4限の、授業時間にして合計四時間半だ。
対面授業の日は、大抵少し遅く起きる。細胞が投降拒否しているのだろうか。
だが、今日はいつもよりも少しだけやる気があった。コンタクト様がお早めにお入れられになられたからだ。
そんな小ウキウキな俺はジンジャーエールを横目に、三ツ矢サイダー片手に大学へ向かった。
片道二時間。
大名行列と言っても差し支えない、まるで出頭するときのような無の感情。
二時間も移動させられれば、一般ダメ大学生こと超健康意識高い系大学生(外に出ない)の俺のまぶたを半殺しにするには容易な運動量だった。
こうしてたまった運動エネルギーを、睡眠エネルギーに変換した。
これがエネルギー保存の法則だ。
世は大課題消化時代。
激動の時代では、何が起こっても不思議ではない____。
「ジンジャーエール朝が堕ちた!」
脳内でミニオンズが騒いでいるのが耳に入った。
その時俺は、対面授業時の登校ルーティーンである、イオンで飲み物を買うというサブクエストの途中だった。
そう、いつも通りの飲料コーナー。そこで何がどうなったのかわからないが、玉座(俺の手)にはいつものジンジャーエールはそこになかった。
王の玉座に、三ツ矢サイダーが座っていたのだ。
悲しげな眼をしながら俺のことを見てくる陳列されたジンジャーエールの姿に、俺は頭が真っ白になった。
だが、足は止まらない。手は三ツ矢サイダーを掴んで離さなかった。
そして、淡々とセルフレジを操作する俺の体は、完全に制御権を奪われているとしか説明が出来ない。
このようにして、幕府は敗れ、その溝を新たに埋めた、三ツ矢サイダー朝が発足した。
飲むまではジンジャーエールの口だったが、久々に飲んだ三ツ矢サイダーの味に、俺は浮気を余儀なくされた。