暑さでやる気が蒸発し、身体が液状化(床でごろごろ)してしまった大学生
近所の公園で子供たちがはしゃぐ声が窓から通り抜けていく。
日差しにさらされ、室内といえども、蒸し暑い部屋の中心に男が一人、今日もノートパソコンをせっせと操作していた。
必死の形相で暑さを耐えている男の額には珠が出来ていた。たまに頬に垂れてきたのをうっとうしそうに拭って、これまたディスプレイに向き合った。
ノートパソコンの吐いた息、体感では三十度を優に超える室温、そして、男の課題消化に対する熱意が合わさり、男の周囲を覆うように熱のドームが覆っていた。
影がゆがみ、熱と蜃気楼で男の存在がだんだん不確かなものになっていく。
というのは過剰表現だが。(要約:暑くて課題に集中できないという話)
六月二十日月曜日、晴天。
今日は定休日がないのだが、アラームをつけ忘れて十二時まで寝てしまっていた。
誰だアラームいらないとか言ったやつ!
解せぬ。
歯磨きをして、朝食という名の昼食を食してから、今日も真面目に課題を消化した。徐々に中ボスの討伐をする算段を立てていく。
いかんせん雑魚敵が多いのだ。(貯めているというかやらないから)
先生が言うには、既に終わらせている生徒もいるという。そんなことを言われてしまっては汗りを禁じ得ない。
俺が一般的、ましてや模範的な大学生でないことは、わざわざ自己分析をすることもなくわかりきっていたことだが、もしやダメな大学生群の中でも課題をやるのが遅い方なのでは? ボブは訝しんだ。
だからここ数日は、少し前と比べて一日当たりの課題消化率が高いのだ。
課題が嫌いだと言っても、やり始めさえすれば、誘惑に負けずに意外と熱中してやる。面倒くさくないわけではないが。
しかし、最近は誘惑以外にも課題の壁となる存在が新たに出現してきた。だんだんと夏にも近づいてきて、さらに俺の部屋にはクーラーがついていないことによる課題をする手を阻害する要因。そう、暑さだ。
俺の自室というか主戦場というか監獄というか自失スペースには、先ほど言ったとおり、クーラーが設置されていないのだ。窓を開けたり、扇風機もどきを回したりしても、暑さはそうそうしのげない。
だから、ついやる気をなくしてゲームをやり始めたとしても仕方がないよなぁ?(そうだといってくれ)