ある日、課題に追われる男の姿があった。
本や機材や配線、あるいはゴミ。
あらゆるものが煩雑に置かれている物置のようなスペースだが、ここが俺の主戦場だ。
今年から大学に入学して、俺のやる気は次第に失速してきた。
今も、傍らにスマホ、耳にはイヤホン。一応、机の上のノートパソコンには、やるつもりで開いていた課題が映っている。
そして、マルチモニター用に導入したサブモニターには、ノートパソコンからの拡張画面が映っている。
というわけではなかった。
手にはコントローラー。サブマシンガンのマズルフラッシュが燦々と眼鏡を照らし、フィールドのあるところは火災が起きている。
イヤホンからは銃撃戦のや足音などが絶え間なく鳴り響いており、時々、強烈な爆発音とともに画面が揺れる。
この男、モニターにノートパソコンを接続しているのではなく、PS4に接続していたのである。
きっかけは些細なことだった。
納期が迫っていた課題をいくつか終わらせて、一息ついた俺はこう考えた。
「そろそろ休憩じゃね?」
そうして何を思ったか、おもむろにPS4を起動した。
環境は既に整っていた。
モニターとPS4の電源、HDMI、及びコントローラーの充電は常時接続してあり、課題をしながらも机の上にはコントローラーとモニターがいつも置いてある。
あとはコントローラーから遠隔起動するだけである。
これは今に始まったことではない。俺は学ばずにこのサイクルから抜け出せないでいた。
休憩で一日が溶けることもある。
この惨状には、当事者の俺にも思うところがあった。
これは、更生を目標に生きる一般ダメ大学生の失敗を記録する、戒めの日記である。