『死にがいを求めて生きているの』/ 朝井リョウ
堀北雄介のことを、どうしても否定できない自分がいた。彼は争いが排除された平成の世の中で対立相手を失い、死ぬまでの時間に役割を求めた。仲の良いはずの智也を運動会の組が違うというだけで目の敵にし、やったこともないジンパの復活運動、住んでもいない寮の自治運動でリーダーになり、陰謀論にも身を投げていく。彼は作品全体で、不快感を煽り、薄気味悪い存在として描かれている。
でも、どうしてだろう。彼のことを否定できない。自分も下手したら雄介のような行動を起こしてしまうかもしれない。いやむし