母のギフト
昨日は母の命日だったこともあり、夫との話しはだいたい母のこと。
夕方の散歩の帰り道に夫が
「お母さんが生きてたら最初は僕の家に住んでたかな」っと聞くので、
「それはあり得ないよ。私たち知り合ってないだろうから」
「???」
そう、母が亡くならなければ、私はすんなりとロンドンに戻って独身を謳歌していたか、ロンドンの地で知り合った人と結婚してたかであろうから。
母が亡くなった後もロンドンに戻ろうとも思っていたが、父も母の5年前に亡くなっていたので、実家の相続の件やら両親の遺品整理はたまた兄弟姉妹が結婚して実家に置いていったものの整理に追われていてすぐ日本を離れるわけにはいかなかった。
また弟家族が置いていって母が世話をしていたシーズー犬2匹が居たのであるからその子たちの世話も私の日課となっていた。
一年も一緒に居るとその子たちには心をすっかり奪われていたので、置いてロンドンに戻るわけにもいかないとも思っていた。
母が亡くなってからロンドンからの友人たちが毎月のように日本を訪れ、私の実家に宿泊するので、その世話で忙しくして母を亡くした喪失感は紛れていた。
日本に住んでいる外国人の友人たちとも会う機会もあり、そこで知り合ったのが、夫である。
夫のことや結婚のことはまたの機会に書くとして、日本にいなければならなった本当の理由は。
昨日の散歩の会話の続きに戻ると、
「あなたはお母さんからのギフトだからね」
というと夫は手を握り返して暗くて見えなかったが微笑んでいたのであろう。
そう母の死も私にとっては大事な意味を持っていたのだと思う。