永遠の海
誕生日おめでとう。
彼には永遠に言えない言葉。
彼が好きだったhi-liteも
彼が好きだった甘ったるいだけのカルーアミルクも
もう合法にはならない。
最近、思い出に浸ることが増えた。
過去は過去として楽しむのが好きだったのに、
今は戻りたいと思ってしまっている。
今が楽しくないわけじゃない。
けど、大事なものが抜け落ちてしまった。
現在を楽しむのにはとてつもなく大事なものが。
彼との未来は無くなった。
彼との記憶は全て過去になってしまった。
本当は今日この日だってお前とすごしたかった。
この先、出来ることが増えていくと思ってたんだけどな。
彼の時間は止まってしまった。
これからは僕だけが歳をとっていく。
絶対に離れることの無い距離だったのに。
一緒に歩んできた彼との道はいつの間にか僕が追いかけることになっていた。
彼がいる遠い最果ての地までいったい何年かかるかは分からない。
でも、笑って再会を果たせるように。
そう誓って
僕はタバコに火をつけた。
待ってろ、僕がそっちに行った時
お前は永遠に合法じゃない。
ってからかってやるから。
この1本を彼への手向けとしよう。
一応言っておくよ
誕生日おめでとう。
永遠の海を彷徨う、海になった君へ。
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