🗂️ Design Materials : 複雑な問題の根本原因を特定しよう!特性要因図とは?
例えばあなたがカフェのオーナーで、常連客からクレームが入ったとします。
今朝、テイクアウトのコーヒーを注文したが、スタッフの対応もいまいち、頼んだコーヒーもあまり美味しくなく、歩いている途中でコーヒーがカップからこぼれてしまい、嫌な気分になってしまった。
この問題の根本原因を特定をしたいとしたら、あなたはどうするでしょうか?
これにはさまざまな要因があったはずだと理解しているあなたは、その意図しない結果をもたらした原因を探し出そうと考えるでしょう。思わしくない結果をもたらす要因として、不適切な管理や考え方、対策、または怠慢など問題が含まれているもののことを「原因」と呼びます。
あなたは問題の原因を考えるかもしれません。
人材
→ 不適切なバリスタの行動
→ バリスタが機械の使い方をよく理解できていなかったのではないか?
→ バリスタのトレーニングができていなかったのではないか?
→ 不適切なスタッフの怠慢な態度
→ 若いスタッフのトレーニングが行き届いていないのではないか?
→ お給料が安すぎるのではないか?
→ バリスタとの関係性がうまくいっていないのでは?
材料
→ そもそもミルクが新鮮ではなかったのではないか?
→ コーヒーの豆を煎る時間がが長すぎたのではないか?
→ 水、ミルク、またコーヒーの量を間違えたのでは?
→ カップのリッドがちゃんとフィットしていなかったのではないか?
→ カップが汚れていたのではないか?
機器(設備)
→ 機械が故障していたのではないか?
メソッド
→ 不適切な管理
→ フィルターサイズを間違えて、グラインドしてしまったのではないか?
このようにさまざまな方向から原因を探ることができます。
さまざまな問題の原因を見つけ出す「特性要因図」とは?
特性要因図(とくせいよういんず)の歴史は古く、1956年に東京大学の教授を務めていた化学工学者の石川馨氏が考案しました。特性と要因の関係を系統的に線で結んで表した図です。出来上がった図が魚の骨のような形をしているため魚の骨図(フィッシュボーン・チャート、fishbone diagram)、また石川氏の名前をとったIshikawa diagramとも呼ばれています。
特性要因図はもともと製造業で起こり得る問題の原因を特定し、有効な対策を探るための手法として広く用いられてきました。この手法は現在でも潜在的な問題を見つけるための手法として広く応用されています。
特性要因図の特性とは結果のことを指し、要因とはその結果をもたらすのに影響を与えた要素のことです。特性要因図は、結果である特性がどのようにしてもたらされたかを図式化して、そこに潜んでいる問題点をあぶり出すのに用いられる手法のことです。
特性要因図は、問題の根本原因を特定することで問題を解決するのに役立つ優れたツールです。このツールは複雑な問題に取り組むのに特に効果的です。今回は特性要因図の作成法を調べていきたいと思います。ぜひご一読ください。
特性要因図の使用方法
この図の作成は、いくつかの簡単な手順で構成されています。これは、ワークショップとしてグループで行うこともできますが、あなた個人でも行うこともできます。
必要な材料:マーキングペンとホワイトボード、オンラインでのワークショップの場合はMiroやFigmaなどのコラボレーションツール
1)問題を定義しよう
まずは、問題を定義することから始めましょう。次に問題の左または右に線を引きます。これは、次のステップで要素を追加するためのものです。
2)要因またはカテゴリーを特定しよう
解決しようとしている問題の原因となっている可能性のある要因/カテゴリをリストアップします。それらをメインラインに沿ってプロットします。
独自の要素を考え出すことも、一般的なカテゴリ、例えば、メソッド、機器(設備)、人材、材料、環境などを使用することもできます。
分類は、複雑な問題を分類し、さまざまな視点からそれらを見るのに非常に役立ちます。
3)各要因に関連する考えられる根本原因を見つけよう。
「なぜこの事態が起こっているのですか?」と尋ねます。それぞれのアイデアを、関連する要素の下に線として書き留めます。ここでは、「5つのなぜ」法を含む第一原理思考が役立ちます。
チームメンバーそれぞれのアイデアが与えられると、ファシリテーターはそれを適切なカテゴリーからのブランチとして書きます。原因は、いくつかのカテゴリに関連している場合、いくつかの場所に書き込むことができます。
特性要因図の作成で大きなポイントとなるのが、「なぜなぜ分析」です。大骨となる要因に小骨を入れる際に出ているのは、「なぜ」という問いに対する答えです。特性要因図を作成にするには、少なくとも 5 回は「なぜなぜ」を繰り返してみて、そこから答えを導き出すのがセオリーとされています。
💡問題の根本原因は1つだけではなく、複数ある可能性があることに注意してください。したがって、部分的であっても、問題を説明する可能性のあるすべてのものをキャプチャすることが重要です。
👉要因は客観的に考えましょう
原因を特定するための特性要因図なので、そこに書き入れる要因に主観が入らないようにすることが大切です。主観を入れてしまうと原因の追求が難しくなることがあります。そしてその主観こそが最大の「原因」であるという構図になってしまいます。あくまでも客観的な視点や事実、データなどに基づいて答えを導き出しましょう。
👉要因を構成しているさらに細かい要因が見つかった場合
要因を細分化しながら書き入れていくにあたって、要因を構成しているさらに細かい要因が見つかった場合も、分解する階層に制限はないので、ダイアグラムに書き出しましょう。
この時点で、完全な図ができているはずですが、明確な答えはまだありません。
4)図を分析しよう
最も重要なステップは、考えられるすべての根本原因を調べて分析することです。
この時点でできることはたくさんあります。おそらく、根本原因の候補ごとにさらに多くのデータ、証拠を収集するか、最も可能性の高いものをすぐに特定して、それをすばやく解決しようとすることができます。これは、特定の問題と特定された考えられる原因によって異なります。
👉完成した特性要因図から原因を特定する方法
特性に対する原因とは、「管理不適切、怠慢、手抜きなどによって起きるもの」と定義されていると言われています。ここまで書き出してきたさまざまな要因の中から、上記に該当しそうなものに印をつけましょう。あまり要因が見つからなかったカテゴリーはそれしたいが原因である可能性が高いので、こうした要因にも印をつけます。
実際にツールを使ってみましょう
それでは、これを実際の例に適用する方法を見てみましょう。
あなたがプロダクト・マネージャーであり、新規登録がますます少なくなる傾向を解決する必要があるとします。 この定義から始めて、次に要因を特定します。
この例では、ランディングページの問題、コンペ、マーケティングを要因として特定しました。
次に、各要因の下で考えられる特定の根本原因を見つけましょう。
これは単純化された例ですが、この図ははるかに複雑な問題に確実に使用できます。
もう一度それぞれの原因について「なぜこの事態が起こっているのですか?」と尋ねてみてください。原因から分岐する副原因を記述します。続けて「なぜ?」と尋ねます。より深いレベルの原因を生成します。枝の層は因果関係を示します。グループのアイデアが足りなくなったら、チャート上のアイデアが少ない場所に注意を向けます。
思いつく原因すべてを書き留めたら、問題の発生場所の分析を開始できます。 この例では、トラフィックが少ないにもかかわらず、コンバージョン率が安定しているかどうかを最初に確認できます。 次に、サインアップフローをチェックしてリークを見つけ、場合によってはそれを合理化することができます。
参考資料
How to create cause and effect diagram
原因と結果の図を作成する方法
まとめ
特性要因図は、問題の根本原因を見つけるための簡単なフレームワークを提供します。物事の因果関係を整理し、本当の問題点がどこにあるかを見つけることができます。
1. 問題を定義する
2. 要因またはカテゴリを特定する
3. 各要因に関連する考えられる根本原因を見つける
4. ダイアグラムを分析する
考えられる全ての原因を検討するということは、現実に起きている問題への解決策だけでなく、いまだ起こっていない問題について予防策を考えるのにも使うことができるので大きな強みだと思いました。
私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。
メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。
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