📘️ Book Club：CAPTCHAとアクセシビリティ。CAPTCHAをすべての人が利用できるようにするには？

2022年2月2日 07:52

CAPTCHAとアクセシビリティ

CAPTCHAのようなビジュアル・チューリング・テストは、Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン（WCAG）で許可されています。

しかしいくつかの重要な注意事項があるようです。
テクノロジーは過去30年間で大幅に進歩しました。最新のテストの多くは、レガシーCAPTCHAの主要な問題のほとんどを解決していますが、デベロッパーはCAPTCHAを慎重に使用する必要があります。

今日はCAPTCHAをすべての人が利用できるようにするにはどのようにするべきか気になったので、CAPTCHAとアクセシビリティについて調べてみました。

CAPTCHAを使用する上での注意事項

まず、CAPTCHASを使用するサイトは、さまざまな障害に対応するために「さまざまな種類の感覚知覚に出力モードを使用する」代替手段を提供する必要があります。また非テキスト・コンテンツの目的を識別および説明する代替テキスト（CAPTCHAを説明するテキスト）なども必要です。

言い換えるとガイドラインではCAPTCHAが許可されていますが、WebサイトではCAPTCHAを慎重に使用し、障害を持つ人間のユーザーにも使いやすくする必要があります。 可能な限り、ウェブマスターは画像ベースのCAPTCHAテストの使用を避ける必要があります。これにより、解決するよりも多くの問題が発生する可能性があります。

CAPTCHAとは？

CAPTCHA（キャプチャ）とは「Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart」の略でプラットフォームを実際の人間が操作しているか確認する仕組みです。

CAPTCHA：コンピューターと人間を区別するための完全に自動化されたパブリックチューリングテスト

ゆがんだアルファベットの画像や、人間には理解できるけれど、プログラムでは解析しにくい情報を提示して、何が書かれているかをユーザーに入力してもらい、正しく答えられているかチェックする仕組みになっています。

これを使用するとボットやスパムからプラットフォームを保護することができます。

CAPTCHAのアクセシブルな代替手段

ユーザーが代替の出力モードにアクセスできる場合でも、CAPTCHAにはイライラしてしまう可能性が出てきます。たとえば、スパムを防ぐには、オーディオCAPTCHAを複雑に設定する必要があります。

オーディオCAPTCHAには、歪み、奇妙なボーカルトーン、およびユーザーを苦しめる可能性のあるその他のアーティファクトが含まれている可能性があります。ボットトラフィックを妨げる同じアーティファクトは、人間のユーザーがサイトにアクセスするのを妨げる可能性があるためです。

GoogleのreCAPTCH v2では、ユーザーが「私はロボットではありません」チェックボックスをクリックする必要があり、ユーザーに画像認識の課題を提供できます。

reCAPTCHAreCAPTCHAはGoogleが提供している無料のCAPTCHAです。今までに3度の改良を重ね続けてきました。2018年12月にv3が公開されました。高度なリスク分析手法を使用して、人間とボットを区別します。初期バージョンは文字認証が複雑化し、人間でも読み取ることが難しくなったため提供は終了しました。

reCAPTCHA v3はバックグラウンドで実行され、ユーザーの行動に基づいてスコアを生成します。スコアが高いほど、ユーザーは人間である可能性が高くなります。ウェブマスターは、ユーザーのスコアが特定のしきい値を下回ったときに、ブロックするか、チャレンジするか、何もしないかを決定する必要があります。

ユーザーはボックスをクリックしてサイトにアクセスします。
reCAPTCHAフィールドは、reCAPTCHAフィールドは、主要なスクリーンリーダーで解釈できます。またボックスにはキーボードからもアクセスできます。これは、特定の移動性や認知障害のある人に役立ちます。

ユーザーの人間性を確認するために、reCAPTCHAはアルゴリズムを使用してユーザーの動きが自然であるかを判断します。このアルゴリズムは、ユーザーのIPアドレス、特定の時間枠内に送信されたリクエストの数、およびその他の情報も分析しようとします。

他のCAPTCHAの代替手段は、他のパラメーターを使用して、ユーザーに迷惑なフォーム・エントリを提示せずにユーザーを評価します。最も人気のあるreCAPTCHAの代替手段であるhCaptchaは、機械学習モデルを使用して人間のユーザーを検出します。

CAPTCHAをすべての人が利用できるようにするには？

CAPTCHAを使用する場合は、テクノロジに関係なく、次の点に注意してください。自動的にアクセスできるツールはありません。

CAPTCHAは本来、アクセシビリティの問題を引き起こすようにデザインされています。新しいテクノロジーを使用しても、CAPTCHAにはリスクが伴う可能性があります。

サイトにアクセスしやすくし、何百万もの潜在的なユーザーを締め出さないようにするには、セキュリティ機能をどのように実装するかを注意深く検討する必要があります。覚えておくべきいくつかの考慮事項があります。

正当な理由なしにCAPTCHAを使用することは避けましょう。

まず、最初にCAPTCHAが実際に必要かどうかを判断しましょう。これは明らかなステップのように聞こえるかもしれませんが、多くのサイトは正当な理由なしにチューリングテストを使用しているように感じます。

大規模なeコマースサイトを運営している場合は、スパム・トラフィックを制限しようとする正当な理由があり、reCAPTCHAまたはhCaptchaが唯一の解決策である可能性があります。ただし、小規模な会社のWebサイトを維持している場合は、ボットがサーバーをオーバーランするのを防ぐためにCAPTCHAは必要ない場合があります。フィルターとボット軽減ツールを使用して、同じ効果を得ることができます。 CAPTCHAの形式を使用する前に、ユーザー・フレンドリーな代替手段を探してください。

障害の全範囲を認識しましょう。

従来のCAPTCHAは画像ベースのテストを使用しており、視力に問題がある人には明らかな課題がありました。
アクセシビリティは「目の見えない人々のためのデザイン」を意味するという考えはウェブサイトのアクセシビリティの最も一般的な考え方です。

真にアクセスしやすい考え方はそれだけではありません。特定の種類のテストでは、キーボードを使用してWebブラウザを操作する人にも問題が発生する可能性があることを忘れないでください。

精神的障害のある人は、誤ったCAPTCHAエントリに圧倒されていると感じる可能性があり、短期記憶の問題がある人は、複数のステップで複雑なCAPTCHAを追跡できない可能性があります。

すべてのユーザーのニーズに対応するには、テストがどのように機能するかを考えてください。テストのいずれかの側面が不必要な負担を生み出すかどうかを検討し、実際のユーザーに影響を与える前にそれらの懸念に対処しましょう。

時間制限のあるCAPTCHAは避けましょう。

タイムアウト制限に注意してください。時間制限はすべてのユーザーにとって苛立たしいものになる可能性があり、一部の人々は短い時間枠内でCAPTCHAを完了できない場合があります。 CAPTCHAフィールドがフォームの最後にあることを確認してください。

もちろん、この問題を防ぐ最も簡単な方法は、制限時間がないCAPTCHAテクノロジーを使用するか、ユーザーの直接の操作を必要としないテストを使用することです。

他のアクセシビリティの問題も考えよう。

比較的アクセスしやすいCAPTCHAテクノロジーを選択した後でも、責任は終了しないことを忘れないでください。たとえば、多くのWebサイトは、スパム・フォームの送信を防ぐためにCAPTCHAを使用しています。

フォームに時間制限がある場合、CAPTCHAを追加すると、一部のユーザーがその時間制限を超える可能性があります— WCAG 2.1では、ユーザーが簡単なアクションで時間制限をオフ、調整、または延長できるようにすることを推奨しています。

同様に、フォームでは自動進行を使用しないようにする必要があります。これにより、一部の障害者にとって深刻な障害が発生します。すべての入力要素には、明確かつ明示的にラベルを付ける必要があります。

まとめ

最終的に、CAPTCHAタイプのテクノロジーは、それらを注意深く利用し、サイト全体のアクセシビリティを優先する場合に役立ちます。ただし、CAPTCHAテクノロジーは頻繁に変更されるため、新しいセキュリティコントロールを実装する前に、慎重に計画する必要があります。

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

［参考資料］