🗂️ Design Materials：機能的リテラシーを持たない人々のためのUXライティングEasy Englishとは？

2022年1月19日 20:45

インクルーシブは包括的という意味で、万人のニーズに対応する包括的なデザインを施すという意味で使用されています。さまざまな機関で障害のある方々の社会参加に向けたデザインの研究などが研究されています。

UXデザイナーにとって、ライティング・スキルをあげることも大切な義務だと言われています。これはユーザーがデジタルサービスを操作する際に必要となるテキストを書く技術です。そしてデザイナーにとってアクセシブルで理解しやすい言葉で書くこともとても大切です。

最近よくEasy Englishという言葉を耳にします。これは基本的には機能的なリテラシーを持たない方々のために書くという意味で使われているアクセシビリティに関する言葉です。今回はEasy Englishの概要、またライティングのガイドラインをまとめてみました。

Easy Englishとは？なぜ今必要なの？

Easy Englishは、Easy Read、Easy to Read、Aphasia-friendly（失語症フレンドリー）、またはAccessible Written Information（アクセス可能に書かれた情報）としても知られています。

💡aphasiaは失語症を意味します。高次脳機能障害の1種である失語症は主に脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢の言語野が損傷されることにより、獲得した言語機能がしっかりと活動しなくなってしまった状態のことを意味します。

誰もが書面による情報を理解し、社会に完全に参加する権利を有するので、Easy Englishは、英語のリテラシーが低い人々がこのプロセスを簡単に行えるようにするために開発されました。

Easy Englishを調べてみると、大抵PDFのダウンロード形態をとって提供しています。そのPDFのドキュメントはとても簡潔で理解しやすくあり、また、見出しや重要な概念などの重要なテキストをサポートするための画像も含まれています。

コロナウイルスのパンデミックは、私たちの生活に大きな変化をもたらせました。それに従い私たちはさまざまな情報を生み出しました。多くの情報源が利用可能ですが、それらはすべての人を念頭に置いてデザインされていたとは思えません。

こんな時にEasy Englishが非常に重要な役割を果たします。Easy Englishは、人口の44％が識字能力が低いという事実に基づいて制作されています。
知的障害のある方々だけではなく、さまざまな理由で英語のリテラシーが低い方々のためにもEasy Englishを用いることはとても大切なのです。

例えば下記は、コロナウイルスのパンデミックの中で、年金の引き下ろし額のルールが変更された時に、お年寄り向けに作られた退職金に関するガイドのEasy Englishの例になります。

Easy Englishを必要としている方々

多くの方々は、例えば政府からの手紙、申請書、指示書などの日常の書面による情報を読み、理解するのが難しいと感じています。

2013年、オーストラリア統計局（ABS）によると、オーストラリアの成人、15歳から74歳までのオーストラリア人の44％が英語の文章を読むことが難しいと考えています。彼らは日常生活のニーズや雇用タスクを管理するために、基本的なレベルを超えて読み書きすることはできません。

2013年、オーストラリア統計局（ABS）は、24か国で成人の識字率調査を実施しました。その結果、6つの識字レベルのうち約730万人が、レベル2以下の識字スキルを持っていることがわかりました。

レベル2では、参加者は、テキストの概要や結論をさまざまなデジタル資料や印刷物を使用してテキストと情報を照合するように求められました。

Easy Englishは、英語のリテラシーが低い人が必要な情報にアクセスするのに役立つと言われます。

次の理由により、英語のリテラシーが低い場合があります。

知的障害または認知障害がある
学習障害がある
脳卒中、脳損傷、変性状態などの後天性障害がある
義務教育を受けなかった
文化的および言語的に多様な背景を持つ
精神疾患または急性疾患を持つ
老化など…

以上のような症状を持つ方々が文章を読む時には、理想的には彼らと彼らの家族、友人、介護者などのサポーターの間で行われる場面もあります。Easy Englishは簡潔で理解しやすく、また重要なテキストをサポートするための画像も含まれているので、サポーターはそれらの画像なども使用して説明できます。

Easy Englishは機能的リテラシーを持たない人々に重要なメッセージを届け、必要に応じて読者が情報に基づいた決定を下すのに役立ちます。

Easy Englishのメリットは、上記の人々だけにとどまりません。それは、時間が足りず、すぐに情報を求めている人々にまで及びます。実際、私たち全てがEasy Englishの恩恵を受けることができます。

Easy Englishのメリット

簡単で分かりやすい英語で書くと、誰もが情報にアクセスしやすくなります。シンプルで明確な方法でコンテンツを提供するため、より多くの方々の日常のニーズが満たしやすくなります。

読みやすく理解しやすい情報は、消費者にとっっても、情報を提供する側ににとっても有益です。

情報の消費
聴衆と消費者
情報が使いやすいものであれば、人々は製品やサービスに自信と信頼を感じるでしょう。
情報の提供
企業および組織
明確な情報は、ユーザーのニーズを満たし、フラストレーションを減らすのに役立ちます。シームレスな体験を提供することで、製品やサービスの利用が増加します。

Easy Englishの主な特徴は？

アクセス可能な簡単な英語コミュニケーション機能

アクセス可能な簡単な言語

重要な情報を基本的な言語と文法で説明
シンプルで日常的な言葉を使用
ドットポイントを使用し、短い文章で、簡潔にまとめる
最小限の句読点を使用
テキストをなるべく分割、箇条書きに
難しい言葉を使用する場合は説明文を加える

アクセサブルなデザイン

シンプルなレイアウト
セクションと見出しをクリアにする
簡素化された、大きなテキストサイズを使用
アクセサブルな色
たくさんの空白の使用
画像を多く用いる
重要なメッセージを説明する画像
各ポイントをサポートする画像

キーポイント

まず大切なことはEasy Englishを用いる場合には、基本のドキュメントとサポート情報をよく理解する必要があります。

日常の言葉で書く
単純な文型を使用する
意味のあるイメージを添付してメッセージをサポートする
製品と会社情報の機能的な消費者レビューを書く
マーケティングと情報メッセージについて明確にする
重要なメッセージを説明する場合には、シンプルな英語、たくさんの余白、また画像を使用し説明します。

ユーザビリティテストが大切

各オーディエンスグループの情報ニーズはさまざまです・したがって、コンテンツはそれに応じて構造化され、優先順位が付けられます。

これが、コンテンツの成功にとってユーザビリティテストが重要である理由です。これは、コンテンツが効果的であり、視聴者のニーズを満たしているかどうかを確認する上で最も重要なステップです。

インクルーシブ・デザイン・アプローチでは、コンテンツの作成全体を通じてターゲット・オーディエンスを関与させることが大切です。視聴者のテスターは、コンテンツが明確で使用可能かどうかを確認できます。明確に伝達された情報は、より包括的であり、より多くの聴衆にとっても有用です。

フレッシュ・キンケード可読性テスト

Flesch-Kincaid readability test（フレッシュ・キンケード可読性テスト）
点数が高いほど、読みやすく、理解しやすい英文であることを示します。点数が低いほど、読みにくい英文であることを示します。

これを使用して、ターゲットオーディエンスにとってコンテンツがどれほど読みやすいかを確認できます。もちろん、このベースラインチェックの後にコンテンツを公開することもできますが、問題ない場合もあります。それでも、それが実際の人にとって有用であるかどうかは本当にわかりません。

エッジユーザーでコンテンツをテスト

エッジユーザー（特別な問題を抱えているユーザー）でコンテンツをテストするのが理想的です。エッジユーザーとは、次の理由で英語を読んだり理解したりするのが難しい人です。

身体的または知的障害がある
識字率が低い
高齢者であり、認知能力に変化がある可能性があります
第二言語として英語を話す方々

一緒に、何がうまく機能し、何がうまく機能しないかを見つける必要があります。成功は、ユーザーがニーズを満たすために情報をナビゲート、読み取り、理解するのがいかに簡単かによって測定されます。

［参考資料］

［PDF資料］

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

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