患者さんの主観を知るという事
先日、衝撃の事実を知りました。
ある外来リハの一コマ。
右痙性麻痺で、歩くとCrow toe(足の指が握りこんでしまう事)となってしまう方。
立脚初期~中期で足関節底屈→膝関節過伸展→股関節屈曲→体幹屈曲となり、足関節によるロッカーファンクションが機能されていない。
よって、重心の前方移動が出来ておらず、それに対する過剰応答の結果として、Crow toeが出現していると仮定し、その過程をご説明し、介入させていただきました。
介入中、「右の後ろに倒れそう」という表出も踏まえて臨床推論を立て、足底内の知覚探索をしていただくとともに、動作を阻害している二次障害へのアプローチをさせていただいたところ、短い距離であれば裸足でもCrow toeは見られなくなりました。
まだまだ改善・介入する要素は沢山あるその方。
元々は、他施設を拒否され、MSWからも「ちょっとクセのある方らしい」との情報があり、「外来リハ継続は難しいかも知れない」と言われていました。
初回介入時、ご家族と共にいらっしゃったその方は、明らかに不信感満載の顔。ご家族も、いろいろなご質問をされる。
真摯に向き合わせていただき、ご対応させていただいた結果、
「こんなに話を聞いてくれて、説明してくれたことはなかった」
と。
私は、療法士の腕としては全然普通ですし、特別なことは何もしていません。
ただ、その方の主観(訴え)をお聞きし、セラピストの評価と合わせ臨床推論を立てただけ。
その方が、リハ終了時にボソッとおっしゃいました。
「今までの人は、こんなに聞いてくれなかったな…」
「前の担当者なんて、指が曲がるっていったら、歩いてる途中に足に手をかざして、『曲がるなー!』って念じよったんや。ふざけてんのかと思ったよ」
衝撃の事実。
それ、どういうアプローチ?
そんな経験をしてきたら、そりゃあリハに対する不信感は強まるし、懐疑的になるのもしょうがないと思うのです。
最早、憤りを感じました。
外来リハ開始時に、MSWから「クセのある人らしい」と紹介されたその方は、
以来3カ月間、外来リハを休むことはありませんでした。
懐疑的な眼差しはなくなり、笑顔で色々な話をして下さるようになりました。
つまり、自身の訴えだけでなく、目の前の事象にすら真摯に対応してくれないセラピストが、不信感を生み出していたのです。
もうやめにしよう。
そんなもの、仮にも国家資格を持っている人間の行うことではない。(てか、資格関係なくひどいよね…)
患者さんとセラピストが並列関係で目的を共有し、進んでいけるように。
4月27日(土)に開催するイベントは、そんな想いを込めて開催させていただきます。
多くのセラピストの方に来てほしい。
きっと、明日からの臨床が、変わるはず。