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Mrs. GREEN APPLEについて

突然ではあるが、Mrs. GREEN APPLEについて語りたいと思う。念のために説明すると、Mrs. GREEN APPLEは昨年レコード大賞を受賞したバンドである。詳しく知らない人でも、『ダンスホール』や一昨年レコード大賞を受賞した『ケセラセラ』、そして昨年大賞を受賞した『ライラック』など、どこかで耳にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。


私は大学1~4回生くらいの頃、大ファンだった。
毎朝大学に通う時は必ずMrs. GREEN APPLEの『In the Morning』を聴いて通っていた。更には出不精であまりライブに行きたいと思わない私が、Mrs. GREEN APPLEは生で見たいと思い、独りでチケットを取ってライブに行こうとしたほどである(結局足の手術のために行けなくなってしまったが)。
何故「大ファンだった」と過去形で述べているのか。
その一方で最近再び彼らの音楽に魅了され、ほぼ毎日聴くようになったのか。
この経緯について、詳しくお話ししたいと思う。

彼らの来歴について

まず、彼らの経緯について軽くお話しする必要がある。
2020年に「フェーズ1完結」と宣言し、活動を休止した。
その後2022年には活動再開を果たし、「フェーズ2開幕」を宣言したのである。しかしその後、ベースとドラムスのメンバーが脱退し、現在は3人体制での活動を続けている。
テレビなどでは全く触れられていないように感じるが、元々は5人での活動を行っていたのだ。

また、活動休止中にはボーカル兼ギターの大森元貴さんがソロデビューを果たすなど、様々な挑戦をしていた。

心が離れてしまった理由

以上を踏まえて、私がMrs. GREEN APPLEから心が離れていった理由はいくつかある。
まず第一に、好きなバンドが一旦とはいえ活動休止してしまったことである。活動再開はしたものの、一度活動休止となると、相当な熱量がなければ、どうしても少しは冷めてしまうものだ。

次に第二の理由として、ソロデビューした際の曲の雰囲気が私が好きだったMrs. GREEN APPLEの雰囲気と全く異なっていたことが挙げられる。
ソロデビューの1曲目は聞いていなかったが(申し訳ない)、2曲目『Midnight』は曲を聴き、ミュージックビデオも見た。これを見た時に、復帰しても私が追いかけてきたMrs. GREEN APPLEとはかなり変わってしまうのではないかと思わざるを得なかったのである。その時期には、バンドとしての復帰があるのかどうかも不透明であり、それもあってさらに気持ちを持ち続けることができなかった。

最後に、第三の理由として、大好きだったドラムスの方が脱退してしまったことがある。

このような一連の出来事が重なり、私の心が徐々に離れてしまったのだ。

フェーズ2スタート

そんな私の気持ちを置いてけぼりにされたまま(被害者意識がすごい)フェーズ2ではよりMrs. GREEN APPLEが流行っていたように感じる。この頃は昔の曲をたまに聴くくらいになっていたが、2022年に『ダンスホール』、2023年には『ケセラセラ』が街中で流れるようになった。これらの曲は、Mrs. GREEN APPLEそのものの曲調で、ノリのいいメロディーに惹かれる部分も多かった。しかし、私の中のMrs. GREEN APPLEとはなんだか違う気がして、気持ちが完全には戻りきれなかったのだ。

音楽番組で彼らを見たときも、かなりヴィジュアルが変わっていて、特に3人という姿がとても寂しく感じられた。そのため、かつてのように心から彼らの音楽を楽しむことが難しくなってしまった。私の中では彼らの活動の変化を受け入れることは容易ではなかったのである。

転機

私が再びMrs. GREEN APPLEを好きになったのは、最近のことだ。2024年に発表された『ライラック』がレコード大賞を受賞した。この曲があまりにも流行していると耳にしたため、流行っているものはとりあえず聴いてみる主義の私も聴き始めた。なんとなく聴いてみたが、私は驚愕した。曲調が非常に好みだっただけでなく、何よりその歌詞が心に深く響いたのである。「あの時の私が好きだったMrs. GREEN APPLEだ」そう感じた。

その感動の理由は、歌詞の「陰」の部分がこれまでのフェーズ2のどの曲よりも強く表現されていると感じたからである。大森元貴さん本人もおっしゃっていたように、彼は陰か陽かで言うと「陰」のタイプであり、フェーズ1の楽曲ではその陰の部分を飾らずに表現しつつ、それでも希望を感じられる歌詞が多かったと思う。
特に印象に残るのが『僕のこと』という曲であった。


僕らは知っている
奇跡は死んでいる
努力も孤独も
報われないことがある
だけどね
それでもね
今日まで歩いてきた
日々を人は呼ぶ
それがね、軌跡だと

(僕のこと/Mrs. GREEN APPLE)

この歌詞を何度も聴いて生きていく勇気を貰ったことをよく覚えている。

フェーズ1のその他の曲でも、深い悲しみを一度味わったからこそ書けるような歌詞や、疲れた心に寄り添って光を与えてくれるような歌詞が多く見受けられた。(勿論「サママフェスティバル」のような陽たっぷりの曲もあったが)
私はそんな「陰な私の心に寄り添ってそっと元気をくれる」Mrs. GREEN APPLEが好きだった。
フェーズ2においては、私の視点から見ると「陽」の印象が強い作品が多かったように思う。時には陰の要素もあるが、全体的には底抜けに明るく「大丈夫人生楽しいよ!」みたいな前向きなメッセージを強く持つ曲が多かったのである。
(私の語彙力が酷すぎて稚拙な表現で申し訳ない)

ところが、『ライラック』はどうであろうか。私には、先述の通り、非常に陰の部分が強く出ていると感じられた。
その特に強く感じた部分が、歌詞の中のこの部分である。

影が痛い
価値なんか無い
僕だけが独りのような
夜が嫌い
君が嫌い
優しくなれない僕です
光が痛い
希望なんか嫌い
僕だけ置いてけぼりのような
夜が嫌い
一人が怖い
我儘が拗れた美徳

(ライラック/Mrs. GREEN APPLEより)

この後の歌詞の展開もいいのだが、この陰の部分が私は「あの時私が好きだった歌詞だ」と再び心を掴まれるような感覚があり、Mrs. GREEN APPLEの音楽へのあの熱量がまた戻ってきた。

そこからフェーズ2の今までの曲を聴き漁ったが、私の感覚ではやはり『ライラック』が1番良かった。
とは言いつつ好きなアーティストの曲は全て聴いておきたいので、今フェーズ2の知らなかった曲を聴き始めつつフェーズ1の時に聴いていた曲をまた聴き直している。

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これはあくまで私の感覚の話であり、また歌詞的な好みの問題でもあり全員が共感できる話ではないと思う。「いやずっとそんな感じの歌詞でしたよ」と言われればそうかもしれないと思うかもしれないが、それでも私の中ではこの『ライラック』という曲は今までの『ダンスホール』や『ケセラセラ』よりも「悲しいことも辛いことも沢山あって傷だらけでも、貴方はなんとか立ち上がっている、大丈夫進めているよ」と背中を押してくれるような曲だと感じている。
(語彙力が無さすぎて私がかくと薄っぺらいが何となく感じ取って欲しい)

私は『ライラック』を聴くまでは、
「Mrs. GREEN APPLE?あー昔の方が好きだったわ~」と言い続ける老害になってしまうのかなとか思っていたが、このようなきっかけがあってまたファンの1人としてかえってきて、あの時沢山曲に支えてもらった感動を取り戻したようで心から嬉しい。

もう私は若くない(とこういう時は言っておく)ので、ライブには行こうとは思わないが、沢山Mrs. GREEN APPLEの曲を聴いて沢山元気を貰おうと思う。

こんな再開の仕方もあるのかと感動したのでメモがてら書かせていただいた。
(ちなみにサムネはフェーズ1完結した頃、まだMrs. GREEN APPLEをよく聴いていた頃の写真です。)

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