父親くらいの年代の男の人が怖い。
ずっと父親が怖かった。
大人になって色々理解できるようになって、頭では『不器用な人なんだな』と思っても恐怖心は消えない。
無理矢理、理解して仲良くしようとしているだけだ。
ダメ人間。
クズ。
ゴミ。
生きてる価値がない。
何をやらせてもできない。
くだらない人間。
ずーーっとそう言われてきたから、そうなんだと思っていたし、理不尽に怒られて叩かれてもクズだから仕方ないと思っていた。
でも、きっと彼なりに『真っ当な子供』を育てたかったのだと思う。
それはもしかしたらコンプレックの裏返しか?
もしくは彼も愛されたかった。
まあ、いい。
弟が障害を持ったことでそのストレスや期待はわたしにかかったのだろう。理解はできる。
たくさんがんばってここまできたのに、まだ、ふとした瞬間に恐怖心がよぎる。
それは父と同じ年代の男の人に接する時だ。
穏やかな人ならまだ平気だけど、傲慢だったり怒鳴るような人に対峙すると逃げたくなる。
怖くて震える。
大声で言われると泣きそうになる。
多分悪気はないのだろう。
普段からそんな人なんだ。多分。
でもこの怖さはどうしようもない。
仕事中に出会うお客はこのタイプが多い。
モゴモゴと滑舌が悪いのに早口でイライラと話されると聞こえないし、聞き返すと怒られる。
電話なら間違ったフリをして切りたくなる。
近寄られると冷や汗が出る。
何かを答えて「ああっ?」って返されると気を失いたくなる。逃げたい。泣きたい。でもどうしようもない。
父親に対してもそれは変わらない。
怒らせないよう、機嫌良くなる話題を探して、でも親子だから少し親密さを出しながら油断しないよう。
親しそうにしつつ怖さを手懐ける。
わたしも母になって色々わかるようになったから近寄れるようになったけど、芯の部分ではまだ怖い。嫌いって気持ちもある。
でも、わかりあいたい。
お父さん大好き! って人に会うと信じられなくて羨ましい。
反面、年上の男の人に甘えたくて愛されたい願望もあって、なかなか人の心は難しいものだ。