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店主が留守の間に
普段、とにかく1人で店を切り盛りしているものですから、タイミングを逃したら「今日はお昼を食べられなかった…」という日も少なくありません。
「もうちょっとあとでいいや」と思っていたら、結局あとになって「あの時が食べ時やったかー!」という日も多々あるわけです。
まさにギャンブル・ランチ。
ご飯の話ではありませんが、先日、どうしても急用があり夕方ほんの数分だけお店を離れなきゃいけないことがありました。
いつもなら「すぐに戻ります」と書いた看板を出してちょっとだけ出かけていくのですが、その日はすでにお店に小学生のA君が1人座って本を読んでくれていました。
なので私はA君に、
「A君、ごめんな!ちょっとだけ行ってこなあかんなってん!ほんとにすぐ帰ってくるから、本読んで遊んでてな」
と言い残し、ほんの2、3分店を離れました。
そして用事をすませて走って帰ってきたら、なんとその間に新たなお客様がご来店くださっていたのです!
「すみません!」とあわてて話しかけたら、お客様が(はっきりした言葉は忘れてしまいましたが)
「今、棚のこととか教えてもらってました」
と、A君を見ているではありませんか!
へ?
は?
うそーっ!!
「A君、お客様に説明してくれたん?」
と聞くと、ニッコニコの笑顔でうなずきながら嬉しげにジャンプしてました。
なんとなんと、私がいない間にお客様がいらっしゃったので、A君は私の代わりに棚のカテゴリー分けについて説明してくれていたのです!!
もうもう!
嬉しいし、笑えるし!!
A君はよく来てくれているので、私がいつもお客様に説明していたのを聞いてくれていたのですね。
そして、入ってきてくれたお客様にいつものように説明してあげようとしてくれたのです。
いや、実際にしてくれたのです!
一瞬留守にしてしまってお客様には大変ご迷惑をおかけしましたが、何とも微笑ましくてありがたい出来事に、「ほんとに幸せな環境で本屋さんをさせてもらってるなぁ…」と心から嬉しくなりました。
後日、A君に「前さ、お客様になんて説明してくれたん?」と聞くと、ニヤニヤしつつ「棚のテーマのこととか…」と言ってました。
どんなこと言ってくれてたのかなぁ。
今度は私がお客さんになって、A君のお店紹介を聞いてみたいです。