腸の調子が脳で制御されている。って、よく考えたらどういう仕組み?
さぁ来ました、専門分野トーク。これはなかなかアツい研究報告です。
腸脳相関という言葉がありまして。"緊張したときにお腹が痛くなる"に代表されるような、心理現象と身体現象が繋がっている例として、身に覚えがある話です。
他方、腸内には大量の腸内細菌たちが生息していて、いわゆる共生状態にあることも、またご存知の通り。腸内細菌の生態によって生成される代謝物などが、人体への影響を及ぼしていることも、これまたご想像の通り。
つまり、腸内細菌が脳に対して間接的に影響していることが想定されるワケですけども、これがまた実証が難しい領域なのです。関連するファクターも多いですし、腸内に菌が存在しない人間の個体なんていないのですから、単純な比較が難しいってぇ話です。
そこで活躍しているのが、今回の実験でも使われている「無菌マウス」という存在です。当然腸内細菌も不在の生命体でして、かなり不自然な存在ではあるものの、有菌のマウスと比較して異なる点がいくつか知られていることは大変興味深いのです。
この記事によれば、無菌マウスは腸が活発に動いているらしいのですが、果たして彼らの腸は、どういうメカニズムで"内部に菌がいない"ことを感知しているのだろう?という素朴な疑問が湧いてきます。湧いてきますよね?笑
簡単に解説しますが、ご興味あれば記事の方もどうぞー
単純に話せば、以下のイメージです。
腸内の脂肪酸レベルを腸内の神経が感知
↓
脳にシグナルを送る
↓
脳から腸の活動を調整するシグナルが出る
まぁ当たり前ですよね。当たり前なんですけど、これは結構なことなんです笑
すなわち、人類が、腸内細菌の活動を感知できる仕組みを持っている可能性が高いんですよね。細菌との共生は歴史は、腸管の歴史とほぼイコールですので、大変長い期間です。相互に作用する仕組みが構築されていて何も不思議はない。しかし、ここの関係がなかなか分からなかったんですよ。
そしてもう一つ、腸管内というのは「人体の外」です。はて?と思うかもしれませんが、よく考えれば"腸管の表面"は"皮膚の表面"みたいなもので、外界と接しているんですよね。つまり、腸管内の状態≒腸の状態を人体が知るためには、何かしらの感知方法が必要です。何を、どうやって、感知してるのか、さっぱり分からなかったんですよね。
(腸管から様々なものを取り込んでいるので、結果的に発生した身体現象-血糖値の上昇とか-によって、間接的に知るメカニズムがあることはご存知のとおりです。)
いやはや、どちらも体感的には当たり前に感じるものの、キッチリ科学的に説明できる発見をすることが非常に難しいんだよね。
という!この想いを!を伝えたい!ww
僕の文章スキルではこんなもんが限界です、というかまだ頭が整理しきれていないフシがあるのかもしれない。。。ちょっと今度、音声配信でガチガチに語ってやろうと思います。よかったら聞いてねw
あ、記事の最後にも書いてあるとおり、腸の活動に関わるシグナル経路は過敏性腸症候群という、原因不明の腸疾患に関連する部分があるとか。
この辺の解決に至る部分があるとすれば、かなりの人々が救われるはずです。。。。が、そう簡単にはいかないでしょうね。。
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と、ここまで書いてきておいて、こういう話は一部の食事療法というか、健康派閥というか、そんな方々が変な反応をしないかと心配になったりしまして。
腸活とかね、そういう類の考え方ありますけど。健康を意識すること・健康である努力をすることは、大変ステキな姿勢だと思っているのを前提に、一応、個人的な意見を申し上げておくと。
腸内環境に関して、万人に当てはまる健康法や食生活はありません。本当に自分の身体にとっていい影響が出ているのか、しっかりと観測しながら色々なものを試していくことが何よりも大事です。
腸には発酵食品がいい、とかって言いますね。ヨーグルトとか?まぁ分からんではないんですけど、この通説も、人によります。
SIBO(小腸細菌異常増殖症)においては、発酵食品が悪影響を及ぼすこともあります。お腹の調子が悪いからと、ヨーグルトを食べると、さらに調子を崩す可能性もあります。
とは言え、人にはプラシーボ効果というものもありますので、お好きなものを信じたらいいとも思います。科学もある種の宗教的な要素を持ちますので、押し付けるワケではありません。ただ、何かに悩んでいるなら、その悩みとしっかり向き合って、一定の確からしさが確認された知識を収集して、さらに自分の身体で試してみるというプロセスを経ることが合理的なのだと思うのです。
およそここまで読んでいただけているとは思ってもいませんし、そもそもそういう方を対象にして書いていないのですが、念の為。でした。
体調って加齢や周囲の環境によって、どんどん移り変わりますよね。
昨日まで合ってたものが合わなくなるなんてこともあります。
細かい変化に、ほどよく感度を上げながら、健康的な日々を過ごしていけたら素敵ですね。そしてぜひ、科学的見地からも生活を見直す習慣を。
なんてね。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
お相手は わたくし
納木 まもる でした。
次回も楽しんでもらえますように。
<編集後記>
オタク気質はアレですね、専門分野で生き生きしちゃいますね笑
これまで折に触れて「うんことか書いときゃ、そりゃ面白いよ。僕はそれとは違う面白さを楽しみたい。」とかって言って、お下劣な文章を暗に遠ざけてきてるんですけど。。
よくよく考えたら僕は『うんこのガチ勢』だったということをある時思い出しました笑
無菌室でバイオハザードスーツみたいなの着て、マウスの糞を回収して、そこから腸内細菌のDNAを抽出して解析してました。3ヶ月くらいの経過実験で。ガチ過ぎ。マウスが糞をするのを待っている時のあの気持ち。。。忘れられないなぁ。。。ガチだったなぁ。
しかしさ、世の中にはエセ科学によるエセ健康法が跋扈してるじゃないですか。文中で書いた話もそう。
おばあちゃんの知恵袋、みたいなこともいいんですけど。賢明な友人の皆様には、鵜呑みにせず、キッチリ説明できるのか自問自答していただきたい。
夏野菜が身体を冷やす、とか。身体を冷やすってどういう現象を言ってるんでしょう?身体が冷えたとして何が悪いと認識してるんでしょう?夏野菜に共通する物質って何なんでしょう?他の野菜でその現象が発生しないのはなんででしょう?
原理はともかく、食べたことでどんな不調が出てるか、が大事ですから。
身体は千差万別。他人の意見は恐ろしいほど当てになりません。何なら科学だって所詮は「統計学的に確からしい」領域から出ることはできません。
自分の身体は自分だけのもの。
誰も代わりに生きてくれないのだから、自分でどうにかするしかない。
ということで、何故か最後ちょっと刺々しくなっちゃいましたが、一緒に色々勉強していきましょう笑
何か面白い話があれば、僕にもぜひ教えて下さーい
読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。