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SNSで流行ってると思ったのに、リアルでは誰にも通じない問題、はなぜ起こるか

「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」なんて言葉がちょっと前に話題になりましたね。

表現が端的を極めすぎているので、真意を掴んで受け止めるのは意外に難しかったりしますが、科学を囓った経験があれば「数字を解釈する際は条件も含めて考慮する」重要性は嫌というほど味わってきているものです笑

体感と実際の数字が異なるケースに関して、受け止めやすい記事が出ていました。大変面白いと思います。

タイトルの内容「多数派の錯覚」を、理論的に説明した研究結果が紹介されています。

乱暴にまとめてしまうと、
フォローしている人数のうち、該当する投稿をしている人の割合が多ければ、さも「SNSで流行っている」と感じてしまう
ってわけです。

これはネットワーク理論と言われる領域の研究です。
生物群集、インターネット、社会学的な観点など、分野を横断して活用される考え方だったりします。


トリビア的に楽しめるネタとしては、"ケヴィン・ベーコン数"が有名でしょうか。下記リンクから該当部分に飛べます。

ハリウッドで活躍する有名な俳優さんですね。
彼と共演した役者さんを"ケヴィン・ベーコン数=1"として、1を持った役者さんと共演した役者さんは"ベーコン数=2"になります。

数字が小さいほど、ケヴィン・ベーコンさんと距離が近いことになります。
(あくまで共演したかどうかで、面識があるという意味ではありません)

で、これで世界中の俳優さんを数値化していくと、数値を持っている役者さんはさほど多くなく、最大値は膨大な数になりそうなものですが、なんと。

2016年8月現在、IMDbに記載された約430万人の俳優のうち「ベーコン数」を持つ人物は約215万人。3303人がベーコン数1を持っており、約176万人(「ベーコン数」を持つ者のうち約81.8%)が3以下である。

※上記Wikiから引用

なお、 最新情報によれば、最大値は9で該当はわずか16名。4までに97.5%が収まってしまうという驚異的な数字です。


これは、つまり、
人と人との繋がりに代表される複雑ネットワークは、繋がりを辿っていく回数の制限を6回程度まで伸ばせば、そのネットワーク上のほぼほぼどこにでもいけるという話です。スモールワールド現象などという呼び方もあります。

身近な話に落とすと、
知り合いの知り合いを紹介してもらうことを6回繰り返したとしたら、ほとんど世界中の全員と繋がることができる。みたいなことですし、
Wikipedia上のリンクを6回踏めば、どこの記事からどこの記事に飛ぶことも可能である。みたいなことです。
(6次の隔たり、なんて呼ばれています。理論はWikiをどぞー)


いけない、脱線が過ぎましたが、ネットワーク理論って面白いですね。

まぁ今回の記事はスモールワールド現象とは別のことなんですが、これもネットワーク理論によって研究・解釈される領域ですよ、ってことでした。


今回の話題は、"自分の常識がみんなの常識"と思いやすい現象を説明してくれているとも言えます。

個人が関わる世界なんて、とても狭いもので、狭い人間関係の中では価値観も共有される傾向にあるワケですから、さもみんなも同じ様な価値観であると思いやすいのでしょう。

まして、日本は単一民族性が強く、公教育が普及していて、信仰心もさほど強くないので、均一性はかなり高いと言えます。つまり、この傾向が助長されやすい環境と言うこともできるワケですね。

まぁだから何ってことではなく、
自分がいかに世の中を主観的に見ているか、数学的に説明されてしまうと、身につまされる想いですね。


実は同じ内容をインタラクティブかつ分かりやすく学べるサイトがあります。5分くらいかかった気がするので、どこかのタイミングでやってみると理解が深まるかもしれません。
個人的にはめちゃくちゃ楽しかったです!オススメ!

このサイトは昔、大学からの友人に教えてもらったんですよね。僕がこういうことを楽しむと分かっていて、かつ、本人も楽しんだから。

僕の周りにはこういうことが楽しいと思う人が多いのです。
すなわち、僕は「世界中みんな楽しいよね、こういうの!」と思っていてもおかしくないんですが、残念ながらそうでないことは既に痛いほど知っています笑

なんてね。


ということで、お付き合いいただきありがとうございました。

お相手は わたくし
納木 まもる  でした。

次回も楽しんでもらえますように。

末尾ハンコ

<編集後記>
キナリ杯ってすごく盛り上がってましたけど、リアルの世界で"キナリ杯"って口にする人は結構少なそうですよね。
盛り上がりを否定するわけではないですし、僕も大変楽しみましたし、岸田さんには多大なる敬意を持っていることは断っておきますけども、
でも、

一部の界隈が何かでめちゃくちゃ盛り上がってても、実世界から見ると小さいことってのはよくあることです。
今回の件はそんなお話でした。

なお、SNSの炎上を主体的に動かしているのはネットワーク上の1%にも満たないみたいな話がありますが、炎上の当事者が事態を大きく感じる現象はまったく別の話ですので混同されないよう、気をつけなはれ!

あとね、ケヴィン・ベーコンじゃなくてもよかったんです、あの研究は。
これをサミュエル・L・ジャクソンにすると、もっと数値の偏りが低い値に寄るみたいです。
ご興味あれば下記のリンクを見てみてくださいまし笑

あーあ、一生分の"ケヴィン・ベーコン"を今日で書ききってしまった。










読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。