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読むセラピー 『家族ゲーム』
わかりやすい本です。
あまりにもストレートでわかりやすすぎるのが「玉に瑕」と思う人もあるかもしれません。
私は子供のころにこの「動画」を見ました。ような記憶があるのです。ドラマだったか映画だったか、そのようなものでした。
作品の主要な登場人物は5人です。
4人は家族で
やたらと父親ふうに怒鳴るけれどまったく逃げ腰な父。
神経質で潔癖症の母。
A髙に通っている優等生の兄。この人が主人公でこの人の主観を通して物語られます。
その弟は「問題児」で、いじめを受けて成績がふるいません。
そしてその弟のためにつけられた「暴力家庭教師」。
弟は出来が悪く、兄の出来がよいのです。それで弟に「暴力家庭教師」がつけられることになりました。それが物語の始まりです。
父母はどうやらこれまでにも弟に家庭教師をつけたのですが、誰もうまくやることができませんでした。
弟は「母親」の後ろに隠れてしまうからです。そこに逃げられるとふつうの家庭教師では手が出せなくなってしまいます。
そこでふつうではない「暴力家庭教師」という特別な人物が登場します。
余談ですが、私が中学生だったころはまだこの種の「暴力」に対してアンビバレントな時代でした。いまならとうてい許されないでしょう。しかし暴力に肯定的な意見がまだまだ強い時代だったのです。
「どう?成績を上げたいかい」
家庭教師は眼を弟に据えまた尋ねた。
弟はテーブルの中央を見たまま、「はあ」と弱く息を吐くように唇を動かす。口のなかに唾液を溜め、指をまわすのはやめてしまっている。
「どうなの、ちゃんと答えなさい」
「ええ、ま、まあ、そ、そう、です、よ」
弟は母を経由して初めて口を開いた。手のひらが固く握られている。口許から落ちそうになった涎が、慌ててワイシャツの袖口で拭われる。
「学校は、面白いかい」
「ま、まあ、ふ、普通、です」
今度は手のひらを膝で擦りながら、項垂れた姿勢を崩さず、上眼遣いに相手を眺めた。
「どの教科が、好きかい」
「ま、まあ、ふ、普通、です」
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