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朝起きるのがつらいのは……

Hは、自分が物欲の強い貪欲な問題児であり、保護者を要することを認めた。また自分には死の本能と生の本能の相克があり、朝起きて生きた現実に目覚めて実生活や仕事の中に入っていくことを憎悪すれば、自己陶酔の死の世界から抜け出せなくなることを自覚した。(p168、太字は佐々木)

起きたくないことの原因をこんな「自己陶酔の死の世界」に執着するせいだ、などと考える人はいまどきめったにいないでしょう。

もちろん寝不足も、食べすぎも、スマホの見過ぎも、起立性不耐症も、検討要因として立派なものです。

でも、それらがあるならなおのこと「起きられない要因を追加」しないほうがいいと思います。

たくさんの用事や仕事をいちいち反芻して、ことごとく嫌悪したりすれば、それらに向かいたくなくなるのは自然の成り行きです。

起きて現実と格闘するより、そのままでは「生きていけない」とどこかで知っていながらも、妖精のような異性に口元をなでられながらまどろんでいたいと願うのもしかたないように思います。

そういう自分がどうしても「起きて生きなければならない」のであればクリーンな香りがする空調設備や、高速でキビキビ動くMACが欲しくなるのです。

たしかに貪欲な問題児なのかもしれません。

嫌えば嫌ったイメージが対象に貼りつきます。小学校時代にどうも苦手な担任の先生がいました。その人は赤い自動車に乗って登校していました。

だから今でも赤い自動車を目にすると車線を変えたくなることがあります。

「仕事を嫌う」とコストがかかります。嫌いな投影をするくらいならせめて、いっさい考えないでおきたいところです。