教育実習生との最後がまさかの話
今年、初めて教育実習生を担当させてもらいました。教員5年目の私に教えられることなんて何もないと思ったけれど、Noとは言わない私ですから、そりゃやります。
実習生は、とにかく子どもが好きな女性。明るく笑顔で子どもと接する姿に、子ども達も信頼を寄せていました。
本当に真面目で、とてもしっかりしているんだなと感心。
ちなみに、自分はだいぶ生意気な実習生でした。研究授業で勝手にオリジナル問題をねじ込んで怒られたりしました。でも、「目の前の子どもに適していると思ってやったんだよ。悪いかよ。」って。尖りまくってました。笑
その後、実習生は着々と力をつけて、大きな成長を見せてくれました。子ども達が意欲的に話し合う国語の活動や、子ども達が真剣でひたむきな姿を見せてくれた道徳など、私から言うことは何もないくらいでした。
さぁさぁ、いよいよ近づく最終日。実習生へのサプライズ企画は、子ども達の成長を促す大きなチャンスでもあります。子ども達と話し合って内密に準備が進んでいきます。
プレゼント担当は、空いた時間に絵を描いたりメッセージを描いたり、折り紙で花束を作ったり。自宅で沢山作ってきてくれる子もいました。
飾り担当は、黒板のレイアウトを考えたり、飾りつけの折り紙を作ったり。
遊び担当は、こっそり実習生の好きな遊びをスパイして、ルールを考えていました。
漫才担当は、休み時間にネタ合わせ。お笑い係に加えて私も参加し、2つのコンビが「〇〇先生ありがとう漫才」を作りました。
また、「先生1学期の最後にムービー作ってたやんか?ムービー作ったら〇〇先生も喜ぶんちゃう?」と子ども達から。
まさかの仕事追加に焦る担任。急いで写真を集めたり動画を撮ったりして、血眼になりながらギリギリで完成させました。笑
ついにやってきましたサプライズ当日。
チャイムが鳴っているのにも関わらず、「教室まだ誰もいないから、こっちで遊ぼう!」という謎の理由で実習生を引きつけている間に、一気に飾りつけや黒板メッセージを進めて準備は完了。
とにかく子ども達が盛り上げてくれて、楽しく遊ぶことができました。爆弾ゲームでは、負けた人が実習生との思い出を語り、感謝の気持ちを伝えていきました。何でもバスケットでは、実習生の隣の取り合いになりました。きっと、実習生との最後の関わりを噛み締めたかったのでしょう。子ども達の気持ちがこんなにも溢れるのだな、そんな関係を作ることができた実習生は、本当にステキだなと感じました。
漫才も、みんなよく笑ってくれました。一つだけ後悔したことは、
子:「〇〇先生には、感謝の気持ちでいっぱいいっぱいです。」
私:「いや、いっぱいね!いっぱいいっぱいって余裕がないって意味やから。そこ間違えたらあかんとこやろ!」
というサンドイッチマン風のボケがややウケだったこと。もっと分かりやすくした方が良かったのかな。笑
そして、先生からのプレゼントとして、メッセージ動画をみんなで見ました。子どもがスパイしてくれた情報によると、実習生はGReeeeNとゆずが好きらしい。
それならば、動画で使う曲は「キセキ」と「栄光の架け橋」だ!
動画を流す前に、とても元気な男子がこっそり声をかけてきました。
「先生、俺泣くかも。やばいかも。」
「泣いてもいいんだよ。泣くくらい悲しいってステキなことじゃないか。」と返しました。
いよいよ動画スタート。すると、ものの1分で
「ぐぅぅ。うえぇん。」
「ヒクッ。」
と後ろの方から啜り泣く声が…
それは、遊びや漫才を考えて盛り上げてくれた男子たちでした。
それを皮切りに、号泣する子どもが続出。動画を見ているのに、啜り泣く声と嗚咽の音が教室に響き渡りました。結局、ほぼ全員が泣いていて、私ももらい泣きしてしまいました。
普段の学級はとにかく明るく元気いっぱいなので、こんな終わり方になるとは思いもしませんでした。それでも、誰かの悲しさに悲しくなれる子ども達は本当に素晴らしかったです。
こんなに学級で感情を共有できる瞬間は二度と来ないかもしれません。それができたのは間違いなく実習生の4週間が本物だったからです。それを感じていたからこそ、子ども達は最高のお別れに向けて準備をして、お別れに本気で悲しむことができたのでしょう。
相手意識や人との繋がりが、子どもにとって強い「成長のきっかけ」であることを改めて感じました。そして、こんな関係を児童同士の「横の関係」でもつくっていきたいと思いました。
実習生もプレゼントを用意してくれていて、最後は全員に手紙を渡してくれました。そして、実習生も大粒の涙を流していました。彼女は、来年採用試験を受けるそうです。
教師以外の仕事を経験している私としては、
「教師は世の中の仕事のうちの一つでしかない。教育学部だからって、教師になる必要はないんだよ。」
と思う部分もあります。私も転職して教師になったし。それでも、教育の道に進むならまたどこかで会えるかもしれません。実習生には、自分の道を自分で強く歩いていくことを願っています。
実習生さん、4週間本当にありがとうございました。