自然のこと85 | 秋分、天孫降臨の地にて雷鳴轟て雨。
高千穂。現代の読み名は「たかちほ」だが、その昔は「たかちお」と呼ばれていたという。その名を口にするだけで、神話と現代が交錯し目に飛び込んでくる風景が微睡んでくる。天孫降臨の地として記紀において最古の歴史を誇るこの地は、猛々しい山々に囲まれ、その深い谷は毎朝濃い霧に包まれる。この地の中心とも言える二上山は、男岳と女岳ふたつの岳がひとつになっている。神々が降り立たちし処と言われ、多くの神話が未だに息吹をもって語り継がれている。一見穏やかに見える二上山だが、その峰々は古代より鬼と神々が戦いを繰り広げた場所としても有名だ。ここに伝わる「鬼八(きはち)の伝説」は、神話に隠された真実をスリルをもって物語っているかもしれない。
鬼八とは、この地に君臨し、村々を支配した恐るべき鬼神と言われている。村人たちは鬼八の暴虐に怯え、日々祈りを捧げていた。しかし、ついに天孫降臨に随伴した武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鬼八に挑む。両者の戦いは壮絶で、二上山の頂きにて激突する。鬼八の力は神々すら恐れさせたが、武甕槌命の剛剣が鬼神を斬り伏せ、山に平和が戻った。という逸話がある。しかし、この話を鬼八の側から眼差してみると元々住んでいた土着の民たちが、その土地を奪われた侵略された歴史にもみえてくる。どちらの見方が真実か高千穂の山々のみぞ知るではあるが、現代においても古からの土地神の氣配を強く感じるこの場所においてリアリティがあるのは鬼八だと感じる。
足元が見えなくなるほどの濃密な白霧が山を包み、神々と鬼が再び目を覚ますような激しい雨と雷が轟き響く山々にいると、ここが生態系生命体が息を吹き込み産まれ出るイノチの源泉だという確信にも似た感覚を得るのだ。一瞬、雨雲と濃い霧が晴れ、高千穂の山々に雲海が広がる。それは、神々の世界と地上の世界を分かつ境界が、目の前に現れたかのような光景だった。現代においても伝説が息づく地として、過去と未来は今を紡ぎ、そして、今もなお、神の耳元で鬼は囁くのだ。
▷Location Data:
緯度経度: 34°45’ 10” N / 135° 14’ 3 "E
カメラ角度: 165° S / 標高: 740m / 気温: 21℃ / 湿度: 98%
時空間: 2024.09.07. 5:00〜6:58 AM
▷Access:
▽Production Cooperation
HELIO COMPASS 地球暦®
▽Snap:
本節も、最後までご覧いただきありがとうございます。
All for the next Dimension.
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