春と秋

光の鼓動が、せかいを揺らし霞ませる
常に鼓動しているから、一瞬たりともせかいはとまらない
息をとめてみて、続かないこと、息をしようとして、うまくいかないこと、それぞれが矛盾なのか正常なのかわからないまま仕方ないけれど結局は息をしている
夏の熱の残りものでは寒さはしのげない
冬の冷たさに夏の熱は勝てない
たしかに飛行機は飛んでいるのに視認できないもどかしさにあふれている
ないものねだりの僕ら、支えあわないと生きていけないらしい僕ら、補いあいながら欠けたものを手にしたがる
透明になる寸前の空は希望に満ちあふれていて、でも希望は必ず打ち砕かれることを知っている
小さな永遠の積み重ねが時代を奏で、愛の積み重ねが孤独を奏で、そうやって人類は生きてきた、生き延びてきた
愛じゃないんです
生きることができるのは愛があったからじゃないんです
愛とともに生まれる激しい孤独が僕らを生かしているんです
ぼくらのあいだにはどれほどの隙間があるだろう
夜空が美しいといって、月が綺麗ですねといって、共感したような気になって恋をする
夏と冬が恋い焦がれてもせかいを滅亡させない限り叶わない恋だね
永遠の遠距離恋愛の果てに、つかみとる永遠の愛
太陽が白い雪を反射し、きらきらとアスファルトに溶けてゆく
それこそ、あぁ、美しい愛かな

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