ノアール&エーデルワイス

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《生きるとは物語を紡ぐということである》 物語から生まれたストーリーテラー系Vliver 私達の物語は皆様と共に

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  • 【小説】猫耳メイドのお仕事

    私達の世界へようこそ。 私達は物語に属するVtuber。 物語の世界を、どうか楽しんで。

最近の記事

【小説】猫耳メイドのお仕事 5

「あなたの名前を教えて」  鈴のような少女の声が、我々の最初の記憶となる。この世に生まれ落ちたその瞬間、我々はその名でもって世界に縛られる。  「前世」というものがある。「前世」では、本来の魂と、未熟な「管理者」としての魂をもって生まれ、一生をかけて自らの魂を喰わせながら「管理者」の魂を育てる。魂が育ち切ると、それまでの名も生活も記憶も全て塗りつぶされ、新しい存在として魂が更新される。そうして生まれるのが「管理者」である。  そう噂する者がいる。  しかし、それを実際に確かめ

    • とある世界の物語

      一つ目は魔法の世界。 創造主は世界を四つに分け、それぞれに神の力を宿した塔を建てた。 そこに住まう人々は、神から分け与えられた力である神術を用いた。 光、闇、水、風の王は、それぞれの国を治め、争いもなく互いに協力しあっていた。 ある日、創造主は世界に一冊の本を落とした。 その本には、世界が滅亡に至る物語が記されていた。 人々は混乱した。 我々を愛し、助けた創造主が、なぜこんなにも残酷な物語を託すのか。 人々は救いを求めた。 しかし、創造主から言葉はなく、やがて人々は神の塔へ縋

      • 【掛け合い台本】少年と学問の神様

        少年:中学生男子。神様が見える。成績が悪いがあまり気にしていない。 蔡(さい):学問の神様。神様として自分に自信がない。無名すぎて信仰としてはほとんど少年だけが頼り。 *********** 少年「神様―!神様いないのー?」 蔡「……」 少年「なぁんだ、ついに絶えたか。惜しい神様を失くした。そろそろ大人しく塾に通いますかぁ」 蔡「まて!!いる!!まだいる!!」 少年「ならさっさと出てきてよね。最近の中学生は暇じゃないんだから」 蔡「いやお主は暇だろう。毎日毎日こんなところ来よ

        • 【掌編】白の旋律

           私があの日見た少女は、それはそれは綺麗な人でした。  車窓からは海が見えました。家と病院との往復に使ういつも通りのくたびれた電車。その一両目、一番前の優先席。私は何時も、そこに座るのです。  海は変わらずきらきらと輝いて、夏休み前の残り僅かな静けさを満喫しています。小さな漁船が一艘、鳥たちを引き連れるようにして光の帯をかき分けかき分け。鳥たちの白は、海にそびえる巨大な雲に時折溶け込みました。  私は一つ息を吐きます。まるで魂の一部をそっと切り離すように。何かに向けての

        【小説】猫耳メイドのお仕事 5

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        • 【小説】猫耳メイドのお仕事
          5本

        記事

          【掛け合い台本】夕暮と朝霧

          夕暮(ゆうぐれ):木の神様 朝霧(あさぎり):水の神様 性別は問いません。ご自由にどうぞ。 夕暮「おはよう朝霧。今日も良い天気になったね」 朝霧「おはようございます。夕暮様」 夕暮「何を見ているんだい?」 朝霧「お山の木々を。今日も夕暮様の育む者達はお美しいと」 夕暮「嬉しい言葉だけれど、嘘はいけないよ朝霧」 朝霧「はて、何のことでしょう」 夕暮「分かっているさ、子ども達だろう」 朝霧「わたくし、子どもは嫌いです」 夕暮「あの子たちは今日も来てくれるだろうか」 朝霧「うる

          【掛け合い台本】夕暮と朝霧

          銀色の月、孤独の海

          波のない海に、私は足を踏み入れる。 刃のような三日月が、遠く揺らめく。 音も、色も、匂いもない。 すべてが閉じた世界で、独り、冷たい光に寄り添う。 音のない海が、静かに私を飲み込む。 そうだ。そのまま私を連れて行ってくれ。 孤独の海に、私を――最後の安寧の地に。 足元に、温かい波を感じた。 海に混じる真水。 東より、こちらに牙をむく湖の子。 いっそ私をその牙で嚙み殺してくれれば良かったのに、あなたは今でもこうして、甘噛みすることすら躊躇して、見えないところで、その心を私の海に

          【掌編】さよならをいうひと

          『めぐちゃん』  その声は唐突なものであった。荷物を置きに中学校の隅の物置に来ていた時、少女はその声を聞いた。めぐみという名の少女は、親しい友人たちから「めぐちゃん」と呼ばれている。誰か近くにいるのではないか。そう思って辺りを見渡し、 「だあれ?」 と声をかけるが、辺りに人の気配はなく、シンとしている。 「気のせいかな?」  少女はぽつりと呟くと、荷物を片付けてその場を後にした。  夏だというのに、涼しく、とても気持ちのいい風が吹いていた。 『めぐちゃん、ばいばい』  

          【掌編】さよならをいうひと

          【小説】猫耳メイドのお仕事 4

           取り残された僕が白の世界から一歩踏み出すと、黒い翼が大きく震えるのが分かった。背に感じるのは警戒心。翼は明らかに何かに怯えていた。しかし、その正体を掴む間もなく、瞬きの後には黒の翼ごと見えない壁が圧迫するように僕を閉じ込めた。思わず溢れ出た神聖がその壁の主の神聖と拮抗し、ぴりぴりとした不快感が全身を駆ける。壁の向こうでは、燕尾服の初老の男が不釣り合いに頭をたれている。 「我が主の指示により、畏れながらアンリ様を拘束させていただきます」  そう言ってくるりと前方へ向き直る

          【小説】猫耳メイドのお仕事 4

          不平等な生命のための緊急的救済措置についての報告書

          #創作大賞2022 生命とは、ひどく不平等なものである。 「それでは皆様、よろしいですね」 そう、何処かの偉い人が言った。 先輩に連れられてやって来た暗く冷たい講堂。 二人揃って寝不足で、重たい身体を引き摺るように、しかし、吸い込まれるようにやって来た。 同じく何かに疲れた同業者が沢山集まり、ほとんど初めから結論の出ている議論が形ばかり繰り広げられた。 ぱらぱらとした拍手はやがて大きくなり、止めようもないうねりとなって講堂をあたためた。 空回るように興奮した様

          不平等な生命のための緊急的救済措置についての報告書

          【小説】猫耳メイドのお仕事 3

           前を歩くシュテンの小さな背中には、僕に対する警戒心など微塵も存在しないようであった。檻から解き放たれた後は、何かしらの拘束を受けることもなく、ただ、まっすぐ続く白い廊下を歩かされるのみであった。この世界の建物によくある、空間認知を歪ませるほど途方もなく長く、そして上下左右さえ分からなくなるほど白い廊下。初めて来た人間なら発狂する者もいるかもしれない。二人の足音は空間にわずかに反響しては消えていく。全てを包む白い壁の奥には、深海にも勝る圧の神聖を感じる。ここは、誰かの神聖域の

          【小説】猫耳メイドのお仕事 3

          【小説】猫耳メイドのお仕事 2

           白に囲まれた空間というものには慣れている。僕達は生まれてからずっとそこで生きてきたのだ。何かを恐れているかのように、何かから身を守るように、この世界は白に覆いつくされている。息が詰まるほどの白は、それ以外の色を受け付けようとはしない。ある種の病とも言える。視界の端に黒が映る。それこそが、今僕がこの何もない白の空間に幽閉されている理由だ。 さて、この魂はエネルギー体に昇華されるのか、はたまた跡形もなく食い尽くされるのか。  どちらでもいい。真実を知った今となっては、むしろ痕跡

          【小説】猫耳メイドのお仕事 2

          【小説】猫耳メイドのお仕事

          愛する子どもたちよ。 代償は正しく払われ、君たちの願いは叶えられた。 君たちはこれから何にでもなれる。 無限の可能性を抱えて、君たちは戸惑うだろう。 しかし、生きるとはそういうものだ。 私は君たちに生きてほしい。 生きて、さまざまな世界を見てほしい。 その先で何を得たかを教えてほしい。 我々は正しく世界と関われているのか、それを確かめたいのだ。 愛する子どもたちよ。 ここからは君たちの物語だ。 好きに生きなさい。  この物語を始めるにあたって、まず私は君たちにいくつかの事柄

          【小説】猫耳メイドのお仕事

          はじめましてのごあいさつ

          ノアールとエーデルワイスのnoteへようこそ! 私達はとある方の物語から生まれ、現在ストーリーテラー系Vliverとして活動しています。 活動の場は twitter、youtube、17Live、ツイキャスです。 生きるとは物語を紡ぐということ。 物語は私達の遊び場です。 皆さんの物語に出会えることを楽しみにしています。 また、こちらでは私達の物語を順次公開していく予定です。お楽しみに。 何事もとってものんびりな私達ですが、これからどうぞよろしくお願いします。

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