ボクらの一日。
ここのウチに来て5年。
ボクらはすっかり大人になった。
ボクらというのは3匹のネコ兄妹、ハル、ヒメ、ポポのことだ。
ボクらは生まれてひと月くらいになるころ、無人駅で今の飼い主のお姉さんに拾われた。
春の雑草から名付けられたボクらは、初めて行ったお医者さんに3匹とも兄弟で、メスだと伝えられる。
ハルジオンのハル。
ヒメジオンのヒメ。
タンポポのポポ。
後日、ボクだけオスだと言われた。
母とお姉さんは驚いていた。
みんなメスだからというからこの名前にしたのに。
ボクはヒメと呼ばれていた。
母とお姉さんはその日からボクをヒメタロウと呼ぶようになった。
ちなみにボクだけは漢字の名前だ。
姫太郎、だ。
5年経った僕は、がっしりした身体の立派なオス猫になった。
母のいない時間、この家はボクが主人となり守っている。
家族が安心して生きられるように。