【Dota2】TIについてダラダラ話します【世界大会】
ついに10/7からTIが始まりますね!と言ったところで果たして何人の方が「そうですね!」と返してくれるでしょうか。
Dota界のワールドカップ(いや形式的にはチャンピオンズリーグでしょうか)が始まろうというのに、日本での盛り上がりはマイナーな国のリーグ戦レベル…
ということで、今日はこのTIについて「そもそも何なの?」っていうところから説明多めに語っていきます。
1. TIって?
正式名称は"The International"。
名前からは国際的な何かであること以外は何も伝わってきませんが、この大会こそがDota2の世界一を決める最高の舞台です。
1.1 Dota2って?
キャラが121種類いてマップが広大で試合中にアイテムを買う必要があるポケモンユナイトです。
雑にもほどがある上に順序が逆な説明ですが、MOBA系ゲームの説明をポケモンユナイトに頼るってのを一回やってみたかったので今日のところはこれで許してください。
2011年にドイツのゲームショウの1イベントとして始まったこの大会は、その後独立したイベントとなり、昨年やむを得ず中断するまで毎年開催されてきました。
そして今やこんなことになっています。
短くてもいいから雰囲気がすごそうなのが伝わる動画無いかなと思ったらピッタリのものを公式が出してました。
解説するようなもんでもないので見て雰囲気だけ感じ取ってください。
2. 賞金額が凄いらしいね?
その方面だけは日本でもそこそこ知られつつあるような気がします。
今までに開催された全てのeスポーツの大会を、賞金額の合計でランク付けするとこのようになります。
1位: The International 2019(Dota2)
2位: The International 2018(Dota2)
3位: The International 2017(Dota2)
4位: The International 2016(Dota2)
5位: The International 2015(Dota2)
参考:https://www.esportsearnings.com/tournaments
念のためもう一度言いますが、全てのeスポーツの大会が集計対象です。
Dota2のみの集計ではありません。
2.1 どうしてこんなことになるの?
色々と理由はあると思いますが、よく言われているのはユーザーの課金も賞金額へ還流される仕組みがあるから、という点です。
具体的にはバトルパスの購入金額の25%が賞金額へとプールされます。
ユーザー数が多い→大会の賞金額・規模が大きくなる→大会を見てゲームをやりたい人が増える→ユーザー数が増える→繰り返し という、いい方向性の循環を生み出しています。
他にも、大会の歴史が長いのでスポンサーが定着しやすかったり、新しいスポンサーも参入したくなったりするという面もあると思います。
こんな風に公式大会を10年開催できるようなeスポーツタイトルがどんどん増えていってくれれば、業界全体の活性化にも繋がっていくのかなと個人的には思っています。
今大会の賞金総額は4000万ドルを上回る予定。
あくまで総額なので優勝チームが獲得する賞金額は1800万ドルといったところですが、なんかもう桁が大きすぎて何が何だか分かりませんね。
ちなみにこの金額は過去最高額だった2019年のTIを上回っています。
3. どうやって世界一を決めるの?
賞金額を先に書いて大会の形式を後から説明する辺り、私の文章もだいぶ俗っぽいなぁなんて思うわけですが、まぁそれはそれとして。
大会に参加するのは18チーム。
その内12チームは今年のプロ大会の成績上位による招待枠です。
その他の6チームは各地区予選からの勝ち上がりです。
グループステージ、メインイベントの順に戦っていき、メインイベントの決勝戦(Grand Final)に勝ったチームが世界一です。
3.1 グループステージ
参加チームを9チームずつ2つのグループに分けます。
グループステージは各2試合ずつの総当たり。
対戦相手は8チームいるので、各チーム16試合の成績で順位を付けます。
なんとなくですけど、ホーム&アウェーで開催するサッカーの大会みたいですよね。
TIに関してはずっと同じ会場なのでホームもアウェーもありませんが。
この時点ではまだ先ほどの動画のようなメイン会場ではなく、会場近くの別の場所(ホテルの一室?)での試合となります。
そしてなんと各グループ最下位の1チームずつはここで脱落となり、メイン会場にたどり着くことなく大会を終えます。
この方式残酷にもほどがあると思うんですが、2017年以降これで定着しちゃってるので、今後もしばらくはこれでやっていくのかなと思います。
何はともあれ、グループステージからは9チーム中8チームずつ、計16チームが勝ち抜けてメインイベントと呼ばれる次のステージへと進みます。
なおここでの順位が1~4位の場合と、5~8位の場合ではメインイベントでの立ち位置が変わってきますが…それは次の項目で。
3.2 メインイベント
ダブルイリミネーショントーナメントです、の一言で済めばいいんですが、あまり日本では有名ではない方式のトーナメントなので解説していきます。
イメージとしては、敗者復活戦も並行して進めていくトーナメントという感じです。
本戦トーナメント(Upper Bracketと呼びます)を開催しつつ、負けたチームは敗者復活戦(Lower Bracket)に回ります。
2019年のトーナメント表はこんな感じです。
敗者復活という表現は簡単にイメージできるようにするための例えで、正確なものではありません。
このメインイベントでは、いきなりLower Bracketからスタートするチームがいるからです。
しかもこのLower Bracketの一回戦はBO1、つまり一発勝負です。
トーナメントのその他の試合はほとんどBO3、3本勝負(2本先取)になります。
そしてUpperとLowerのそれぞれを勝ち上がった両者による決勝戦、Grand FinalはBO5、5本勝負(3本先取)で行われます。
このダブルイリミネーショントーナメントは以下のような特徴があります。
個人的には色んなゲームの大会で流行ってほしいなぁと思っています。
◎一度負けてもLowerを勝ち上がれる可能性が残るため、いわゆるトーナメントの"当たり運"に結果が左右されにくくなる。
◎3位決定戦を行わずに3位が決まる。
→Lower Bracket決勝の敗者が3位。
〇試合数は通常のトーナメントより多く、総当たりより少ない。
△既に行った試合の再戦が発生することがある。特にトーナメント終盤ではかなりの確率で発生する。
→再試合というヒューマンドラマを生み出す一方で、一度決着がついた試合をやり直すことに白ける選手・観客もいる。
→カードゲームのように情報の公開度が重要な要素となるゲームでは、再試合によるゲーム性の変化が大きいこともある。
×(少なくとも日本では)有名な方式では無いため、参加者への説明・周知が必要となる。
というわけでプロアマ問わず大会に採用する場合のメリット・デメリットを挙げるとこんな感じかなぁと思います。
特に非公開情報を含むゲームでは再試合の可能性があるということがゲーム性を大きく変化させることもあるので、その辺りは注意が必要です。
どんな規模であれ大会を開催する方の参考になれば。
4. 今大会の注目チーム/選手は?
私のことをよく知っている人なら、私が次に何の話をするか予測がついたことでしょう。
はい、OGの話をします。
4.1 Topson、Ceb、N0tail(OG所属)
とは言え今までも彼らの話はし過ぎているくらいしているため、今回は過去に書いたnoteを紹介して話はほどほどにしておきます。
今年のプロツアーではあまりいい成績を残せなかった彼らは、今回は西ヨーロッパ予選からの勝ち上がりという形でTIに出場します。
TI8,9で前人未到の2連覇を達成した当時のメンバーからは2人入れ替わっていますが、残った3人と新加入の2人で夢の3連覇なるか、注目です。
そういえば、この3連覇を意味する英語として"3-peat"というのをTwitterでちょいちょい見かけるんですが、私はこういうの好きです。
こういうのは説明するもんじゃないと思いつつも一応説明すると、threeとrepeatで上手いことかけてあります。
4.2 Puppey(Team Secret所属)
プロツアーポイント8位の招待枠、Team Secretのキャプテンとして参加する彼は、なんと第1回大会からの連続出場記録を継続中の唯一の人物です。
なお前回大会まではKurokyという選手と2人で9連続出場記録でしたが、Kurokyが予選で敗退したため一人でこの記録を継続することになりました。
そんな彼が率いるTeam SecretはTI以外の大会では圧倒的な成績を残していながらも、未だTIでは決勝進出すらありません。
今大会はどうでしょうか。
(なお、Puppey自身は栄えある第1回TI優勝チームの一員です。)
4.3 Ame(PSG.LGD所属)、Somnus丶M、fy(Elephant所属)
前回TI3位、前々回TI2位と好成績を立て続けに残したPSG.LGDですが、大会後にメンバーが大幅に入れ替わり、エースのAme以外は別のメンバーで今年のTIに臨みます。
そんなかつてのPSG.LGD所属だった選手のうち、Somnus丶Mとfyの両選手はElephantというチームで層の厚い中国予選を突破しました。
4.3.1 Dota2における中国
数の暴力で色々な業界を席巻する中国ですが、Dota2においても一大勢力を築いています。
そもそも他の予選が西ヨーロッパとか北アメリカとか、それなりに広い地域で予選を開催しているのに、中国だけは一ヶ国で予選をしているというその事実だけでもポテンシャルの一部が窺えます。
(なおアジア枠はこの他に東南アジア予選があります)
中国の選手/チーム事情はあまり詳しくないので、彼らの移籍に関してどんなバックストーリーがあったのかは分かりませんが、かつてのチームメイトとの戦い、それも2年連続で好成績を残した強豪チームの仲間ともなればそれだけで熱いものです。
また、中国チームとして久々の優勝を目指すという点も注目ポイントです。
第1回から第7回までのTIでは中国勢とその他が交互に優勝していて、ジンクスだとも言われていました。(2,4,6回目が中国勢の優勝)
しかし2018年、今年は中国の番かと思われていた大会の決勝ではフルセットの死闘の末に2-3でPSG.LGDが敗北。
さらには地元上海開催となった2019年TIでもUpper Bracket Final、Lower Bracket Finalの両方で1本目を取りながらも1-2で敗れるというこれまた悔やまれる敗戦。
2020年に開催が無かったとはいえ、遡ると実に5年前、2016年のTIを最後に中国出身のチームは優勝から遠ざかっています。
Dota強豪国の王座奪還なるか。
5. どうやって見たらいいの?
この記事を読んでいる方は恐らく多くが日本に住んでいる方だと思うので、「今からルーマニアに行って現地で見る」のはあまり現実的ではないでしょう。
オンラインで観戦しましょう。
公式サイトではありませんが、Liquipediaは非常に見やすく、選手や過去の大会成績などの周辺情報も充実していて更新も早いのでオススメします。
このサイトではFPS系を中心に他のeスポーツの情報も取り扱っています。
そちらがどの程度詳しいのかはすみませんが私には分かりません。
さて、今はグループステージの組み合わせも発表されていないため、あまりこのページに情報はありませんが、組み合わせと試合日程が決まれば更新されていくはずです。
ちゃんとブラウザかOSの情報を読み取って日本時間で試合時刻を表示してくれるのでその点も安心。
ちなみにルーマニアとの時差は6時間だそうです。
そして試合をやっている時間になるとTwitchのアイコンが出てくるので、それを押せば観戦できます。
実況解説その他もろもろは英語です。日本語の実況解説は公式には無く、このページからは飛べませんのでその点はご了承ください。
どうしても日本語での実況解説が見たい!という場合には、時々有志の方がこうした大型大会を日本語で実況解説をしていることがあるのでそれを見つけ出す必要があります。(やるかどうかは配信して下さる方次第なので、必ずあるとは限りません…)
時々Twitterに流れてくるので私も確認出来たら拡散しようと思います。
なおゲーム内の観戦機能を使って観戦することもできますが、それができる人はこんな記事を見るまでもなくTIについて知っているでしょうし、そちらは割愛しました。
6. 最後に
タイトルの通りダラダラと語ってきました。
最後にまとめるような内容でもないので、ささっと結びます。
当初の予定から数えると延期すること1年と2ヶ月。
熟成に熟成を重ねた1年越しのTIがいよいよ開幕します。
記念すべき10回目のTI。
何かしらのドラマが起きることはもう決まっているようなものです。
私の関心は、「どんな」ドラマが待っているか、これに尽きます。
それではまた。