なんちゃって「こびりっこ」を作りました
「こびりっこ」という食べ物をご存知でしょうか?
南部地方のおやつで、南部せんべいに甘いお赤飯を挟んだものです。農家さんが農作業の合間によく食べているそうです。私はanne_coさんの記事で初めて「こびりっこ」を知りました。
「こびりっこ」の作り方や、その材料についての起源など、郷土食を紹介する記事として大変面白かったです。
この記事を見て、私は「こびりっこ」というものを食べてみたくなりました。
温かいうちに挟んだお赤飯の湿気で南部せんべいがしっとりとした食感になるというのが気になります。
そして、中に挟むお赤飯は、私が普段食べているものと違い、小豆の代わりに甘納豆の入った甘いものだというのが珍しい(南部地方の他、北海道でよく食べられているそうです)。この甘いお赤飯と塩気のある南部せんべいとの組み合わせがおいしいらしいのです。
まずは味見程度にひとつだけ食べられれば良いのですが、anne_coさんのレシピ通りだと大量に出来てしまいます。うるち米と餅米を合わせて2合ですからね。
実は私は甘いごはんというのがあまり好きではありません。甘いものもごはんも両方好きなのですが、別々に食べたい人なのです。だから、甘納豆入りのごはんを炊いてもたぶん持て余します。第一、餅米の買い置きがありません。
そこで、少量だけ作る方法を考えました。市販のお赤飯のおにぎりに甘納豆を混ぜて南部せんべいに挟むのです。これなら手軽にすぐできます。
通りがかるたびにラップの上から指で押して硬さをチェック。2時間くらい経って全体的にしっとりしました。
ラップをはがして、半分に切ってみます。
断面を見て「あれっ」と思いました。
anne_coさんの写真と違って、お赤飯の粒がベッタリと潰れているような…。
とにかく食べてみましょう。
一口かじって、シコシコとした食感に驚きました。南部せんべいは湿るとこんな風になるのか。乾いていた時はパリパリだったおせんべいが、ものすごく噛みごたえがあるのです(歯の弱ったお年寄りはダメかもしれない)。ふやけて柔らかくなった状態を予想していただけに、これは意外でした。
中に挟んだお赤飯も、水分がおせんべいや甘納豆に吸い取られてだいぶ食感が変わっています。しかも、何度も上から押してみたせいなのか、ごはん粒が潰れてふやけた甘納豆との一体感が生まれています。ねっとり練られた感じで、もはやお赤飯ではなく、限りなく「金時豆の餡」に近いです。
ひょっとしてこれは失敗作だったかもしれません。私は本来の「こびりっこ」を知りませんが、それとは少し違うものが出来てしまったことは何となくわかります。
でも、これはこれでおいしかったです。黒胡麻入り南部せんべいの香ばしさや塩気と、甘いお赤飯が合わさって生まれる味のハーモニーは、とても素朴で親しみがもてます。
後で調べてわかったことですが、「こびりっこ」に挟むのはお赤飯に限らず(例えば白いごはんなど甘くないものもアリ)、また作りたてでおせんべいがパリパリしているうちに食べるのを好む人もいるということです。
お赤飯があと半分残っていますので(とりあえず冷凍しておいた)これも「こびりっこ」にして食べようと思います。
ただ、炭水化物で炭水化物を挟むこのおやつ、そこそこカロリーがありますから要注意です。上記の材料で作った場合、約250kcal。およそお茶碗一杯分のごはんのカロリーに相当します。これは農作業の時のおやつにふさわしいわけです。