「謎解き」に潜むクリエイティブを松丸亮吾さんに聞く!
木曜の晩は、こちらのイベントを会場で見るために、麴町に行きました。
謎解きクリエイターとして活躍中の松丸亮吾さんのイベントです。司会進行は、しずる村上さん。村上さんは以前、note社で開催された、ぼる塾イベントから信頼しているので、もう安心の布陣。
松丸さんと、松丸さんが代表をしている謎解きクリエイター集団RIDDLERの皆さんが作った謎解き問題と、その問題になる原案の謎解きを見ながら、話が進みます。
松丸さんの名刺の裏にある問題
掛け算の謎解きが流行った時期、掛け算使った問題なんて「わかりやすいよね」みたいなことを言われてカチンときた、で、アングリー精神(しずる村上さん命名)で謎解きを作ったそうです。
東大ナゾトレに収録された問題を使った解説
(掲載の問題1)
(原案1)
(謎解き制作のコツ1)
・一文字ヒント:ちょうどいいヒント、小さい謎から中心の謎に誘導する
・「答え」と「謎」の間に、関連性があったほうが問題を解く側の納得性が高い
(掲載の問題2)
(原案2)
(謎解き制作手順2)
原案の穴埋めは、穴埋めを解決する「作業問題」になっていたと言います。そこに「気持ちよさ」が感じられません。穴埋めの原案から、掲載問題を見ると飛躍があります。
掲載問題になるまでどうするんですか? という村上さんの質問。
・まず問題がかわいくない
・解きたくなる見た目がほしい
・この問題制作の発端は、ディズニーの企画だった
・ディズニーのアトラクションでよく見かけるレンガの背景を作った
・あ、このブロックは使えない?
という流れだそうです。
(謎解き制作のコツ2)
・答えが先にある
・この答えに納得できる?
・じゃあ、こういうヒントがあればいい
・問題文・絵をこうしちゃえば、こういうヒントできる!
・答え終わった後、あざやかさを感じるといい
「謎解き」が生まれた理由
(聞いた内容を受け取って書いています。正確な時系列はよくわかりません。今、「謎解き」を作っている根っこの部分には以下のような理由があるということでご理解ください)
謎解き問題を世に出した後、クイズ番組のオファーも多かったそうですが、クイズに強すぎる出演者も多いし、クイズ番組では自分の色が出せないと感じたそうです。ではクイズを作る側はどうか? クイズを作るには膨大な知識が必要です。松丸さんは自分の特性として暗記ものも得意じゃなかった。膨大な知識が必要とされることも”違う”と感じたそうです。
お兄さんのDaiGoさんは「マジシャン」というラベルでテレビに出だしたそうです。でも「マジシャン」は世の中にもテレビに出る人にもたくさんいたので、「メンタリスト」と名乗ることにした。結果、心を読む系の仕事が増えたそう。松丸さんも「クイズ」とは言わず、問題を解く以外の「謎解き」というワードを使ったそうです。クイズは知識がないと回答できませんが、「謎解き」なら、そこに謎があれば、解いて回答することができます。結果、「謎解き」で呼ばれるようになったそうです。今ではわかりやすい「東大生」というラベルも表に出していないそうです。自分の特性に合わないレッテルは積極的に剥してきたそうです。
「謎解き」はチームワーク
松丸さんは「謎解きでコミュニケーションが生まれる」ことを大事にしていると言います。松丸さんはポケモンが大好きで、コミュニケーションを通じて、世界が広がることを大事にしています。実は、謎トレがバズったのはSNSではなくて、小学校から。誰かが黒板に書いた問題をみんなで解くようなムーブメント起きて、教室から、その兄弟にムーブメントが広がったそうです。
「謎解き」は、解くためのコミュニケーションを重要視していますが、実は問題を作るほうが、その二倍三倍、コミュニケーションしているそうです。問題から受け取る感覚は千差万別。複数の人間の認識の違いをすり寄せながら、問題を解いた時の納得感を作りこみます。
そして、「謎解き」は、そのすり合わせするチームで制作をします。複数人の意見を尊重するために、打合せのグランドルールとして「参加者を減らさない」ことを心がけているそうです。例えば、10人で打合せするなら、10人の人件費を考えると馬鹿にならない。そのコストを無駄にしたくない理由もあって、発言が少ない人にも、発言を振るそうです。だから小さな意見も出てきます。
そして出てきた意見を「批判しない」ことも大事にしているそうです。すべての発言を間違う人なんていません。人格を否定することはしません。もし批判をするなら代案を出してください、とお願いしているそうです。代案を出せなくてもその批判をしたいなら「ごめん、こう思っちゃう」と謝罪の「ごめん」を挟むそうです。いいものをチームで作るためには、円滑なコミュニケーションが必要ですね。
「謎解き」は、一つのひらめきでできると思われがちですが、実際には、それをいろんな人に受け入れられる形にして、解く人の納得を作りこむ作業が大事といいます。そこに複数人が関わることで、原案の発案者からは出てこない気づきも出せるし、指摘ができます。
感想
しずる村上さんの司会進行も松丸さんを立てつつ、でかい笑いを求めず、進行と松丸さんを邪魔しない感じがとてもよかったですし、もっと話が聞きたい約一時間でした。会場で聞いていましたが、視聴する側の心構えとして、時間通りに終わってくれないと不満を感じやすい私も、もう少し、時間を延長してでも、話を聞きたい時間になりました。note社の運営の皆さん、しずる村上さん、松丸さん、素晴らしい時間をありがとうございました!